【完結・R18】弟は私のことが好き

ハリエニシダ・レン

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1 告白

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「姉さん…好き、なんだ。」

「何が?」

深刻な顔をして、一つ下の弟が言った言葉に眉を寄せる。

「話がある」っていうから、何かと思えば。
拍子抜けした。
あんまり暗い顔をしてるから、車で人でも跳ねたのかと心配になったじゃない。

「何って…」

「うん、何が好きなの?」

甘いものが好きなのは知ってるけど、もしかして美少女アニメにはまって恥ずかしいとか?
そんなに深刻な話ではなさそうだとわかって、肩から力が抜けた。
なのに

「はあ………」

突然大きなため息を吐かないで欲しい。

「何よ」

「わかってたけどさ。ちょっと堪えるよね。ここまで相手にされてないと」

「何の話よ。さっきから」

少しイライラしてきた。
話が見えない。

「知りたい?」

「知りたいっていうか、あんたが話があるって言ったんでしょうが」

「うん、そうだね。俺には好きなものがあってさ」

「で?」

苛立ちで言い方がキツくなる。
何よ、もったいぶって

「それは、好きになったらダメなものなんだ」

けれど、そう言われて血の気が引いた。

「あんたまさか…」

「うん」

「ドラッグとか絶対にダメだからね!」

弟の表情が凍った。

「……………」

「何よ」

怒ったような顔になって黙り込んで、一歩近づいた弟に肩をつかまれた。

「姉さんさ、俺のことバカにしてる?」

「なんでよ!クスリなんて絶対にダメだからね!許さないわよ!」

肩に置かれた手をパシッと振り払う。

「ちっ!」

舌打ちされた。
怒ってるのはこっちよ!

「もう、それでもいいか…」

酷く低い、小さな呟き。

「………じゃあさ」

暗い目をした透に、もう一度肩をつかみ直された。

「クスリがダメなら、代わりに姉さんは何をしてくれるの?」

透の顔が近づく。

「え…?」

「仮に俺がクスリに嵌ってるとして、姉さんの言う通りにクスリを我慢したら、姉さんは俺に何をしてくれる?」

至近距離で見つめられる。

「何って…」

「…抱かせてくれる?クスリで得られる以上の快楽を、姉さんが俺にくれる?それならいいよ。姉さんの言うこときいてあげても」

肩に置かれた透の手に、力がこもる。

「抱くって…」

「セックスだよ。男と女がするあれ。姉さんがヤらせてくれるの?」

「何バカ言って…」

冗談の気配はない。

「姉さんが俺に脚を開いて、好きな時に好きなようにヤらせてくれるなら、クスリなんていらない」

「…」

至極真面目な顔に呆然とする。
弟がいったい何を言っているのか分からない。

「姉さんが俺を、止めてくれる?」

肩をつかむ手が熱い。

「ねぇ」

引き寄せられ、耳を甘く噛まれた。

「やめっ…」

「姉さんがヤらせてくれないなら俺、クスリに手を出すけど。それでいいんだ」

「クスリは…ダメ…だけど…」

「じゃあヤらせてよ」

「嫌っ…!」

「じゃあ俺はクスリを使う」

暗く低い声。
こんな声を出す子じゃ…

「それもダーー」

キス…されてる…?…やだっ…!

「姉さんがさ、こうやって身体を使って慰めてくれるなら…クスリなんかいらないよ…姉さん…」

熱く呼ばれて、もう一度唇を重ねられた。

「姉さん…」

押しのけようともがくけれど、いつの間にか私より大きくなっていた弟の身体は力が強い男のもので。

「嫌っ…!」

「いいよ、大きな声出して暴れても。今日も父さんと母さんは遅くまで帰ってこない」

「何血迷ってんのよバカっ…!」

なんとか、やめさせないと…

「血迷う…ね。そうかも。俺、おかしいんだ。血の繋がった姉さん以外、欲しくないんだ…」

「何言って…」

「だから、姉さんがあくまで拒むなら、俺はクスリに逃げるよ。姉さんが受け入れてくれない現実から逃げて、二度と戻ってこない」

「何…を…」

「好きなんだ。姉さんのことが…姉さんしか抱きたくない。そういう意味で好きなんだ…もう…ずっと…」

冗談を言っているようには見えない…でもこんなの…信じられない…

「バカな…ことを…」

声がかすれた。
嘘だよね…?透…こんなの…
嘘だって言って欲しいのに…

「うん。バカだよね。こんなのおかしいよね。わかってる…でも…」

透は辛そうに身体を震わせた。

「もう何年も前から、俺はずっとおかしいままなんだ…」

追いつめられたような透の瞳。泣いてしまいそうな…

「俺のこと、弟として大事?廃人になったら悲しい?」

「そんなの当たり前…」

ずっと、可愛い弟だと思ってきたのだ。少し生意気だけど、そこも含めて可愛いって。

「じゃあ、姉さんが選べるのは、一つだけだよ」

透が悲しそうに顔を歪めた。

「俺に抱かれること」

「っ…」

「俺に抱かれて、いつかその心も俺にちょうだい」

「っ…!」

弟の瞳に甘さが混じる。

「俺の心は、とっくに姉さんのものだから…」

舌が、入ってきた。突然の告白に呆然とする私の口の中に。

力が、抜けていく…拒まなきゃ、ダメなのに…口の中で動く舌が優しくて…力が抜けてしまう…

んっ…

唇を離した弟が、寂しそうに微笑んだ。

「姉さん、好きだよ」

そしてまたすぐに、唇を、舌を、重ね合わされる。

「姉さん…」

熱い舌と熱い声に、頭の中がぼんやりとしてくる。ダメ………なのに…


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