【完結・R18】弟は私のことが好き

6 どう…しよう…

その日は大学を休んだ。
とても、出席できるような精神状態じゃなかった。

連絡をくれた友達に、ノートのコピーだけ頼んだ。



どう…しよう……どうしたら…


昨日…私は透と…

思い出すのは昨日のことばかり。
私は昨日………

顔を両手で覆う。
どうしたらいいのか分からない。
だって、私、昨日…

最初は拒めていた。
嫌がって、透の行為を、向けられる気持ちを拒んで…
でも途中から……

与えられた快感が蘇って身体が震えた。
…中がじわりと潤む。
まるでもう一度、透にして欲しいと言ってるみたいに…

頭を強く振る。
今度こそ、透も満足したかもしれない。満足して、もういいやって…
だって、男の人は手に入れたら興味を失うって聞く。

昨夜、私は透を求めてしまった。
本意ではないにせよ、透に抱かれて気持ちよくなってしまった。
だから満足して、もういいや。次は別の子にしようって…だって、透くらいの歳の男の子なら…


ふと、腕が視界に入った。
噛み跡のたくさんついた腕。
脚にも、それ以外の箇所にも、たくさんつけられた跡。
透に、身体中につけられた跡。
怒った透が、私を思いきり噛んだ跡。

「もう二度と…俺の気持ちを疑ったりしないって…約束して」

透の切なげな声が耳に蘇る。
真剣な声。

私じゃなければダメだと言ってた…
思い出したそれに、嫌悪どころか微かな喜びを感じてしまって焦る。

ダメ…こんなの…ダメ……

そう思うのに、私の身体は透に触れられた記憶を勝手に思い出した。

胸をそっとつかんで
唇に優しく触れて
中に挿れられて
奥まで挿れられて
「好き」って言われて
何度も気持ちいいところを突かれて
数えきれないほどイかされて

思い出しただけで息が荒くなってしまう。

「透………」

思わず、名前を呼んだ。
昨日は声にならなかった音。
弟の名前を、思いもよらないほど切なげな声で呼んでしまった。
その声に、昨夜自分がどう感じていたのかも思い出す。

もっとして欲しいって
もっと透に気持ちよくして欲しいって。
そう願った。

そして。
私の中で果てた透に、愛しさを覚えた。
本来決して、弟へ向けるようなものではない愛しさを…


どう…したら……いいの…………


わからなかった…