サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

Pero

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サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 ⑰

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      第一章 2001年 春

 ◆今日の話のラストはこんな感じになります。↓二十年も昔なので画像の悪さはお許しを。(笑)

 


 



        十七

 トゥクトゥクの男性と別れてから、宿の部屋に戻らずにそのままメコン川近くのレストランで昼食にすることにした。

 僕はフライドライス・ウイズ・ヴェジタブルにビアラオを飲み、N君はせっかくラオスに来たのだからラオス料理を食べたいと言って、地球の歩き方に載っているラオス料理を店の人に見せた。

 ところが店の人は苦笑いをして、ガイドブックの料理の画像を見ても首を振るばかりであった。

 結局、彼は日本でいう焼きそばみたいなものを食べて、ビアラオをグビッと飲んでいた。
 ともかく朝から昼過ぎまで動いてかなり汗をかいたので、ビールが旨かった。

 N君が宿に帰って昼寝をするというので別れて、僕はネットカフェに立ち寄って再びホームページに書き込みを行った。
 何も更新していないのに毎日七十から八十ものアクセスをもらっていて、本当にありがたいと思った。

 ネットカフェを出て宿に戻ると、入口の石テーブルでふたりの日本人女性がビアラオを飲んでいた。
 僕が近づくと、「お疲れさまぁ」と言ってくれたので、ゲストハウスの女将さんからペプシを買って彼女達のテーブルに座った。

 ちょっと厚かましいかなとも思ったが、せっかく声をかけてくれて、しかも日本の若い女性だったので部屋に戻る手はない。

「どうもコンニチワ、ちょっと話をしていいですか?」と、宗教の勧誘みたいな言い方をしてペプシとビールで乾杯をした。

 早速、自己紹介と今回の旅の簡単な経過などを語った。

 彼女達も一人旅で、タイとラオス国境付近でどちらからともなく声をかけ、一緒に宿を探してきたらしい。
 いずれも普通の会社員さんで、ゴールデンウイークを利用して十日間前後の短期の旅とのことだった。

 ふたりとも関東の人で、一人はFさんもう一人はHさんといって、いずれも社会人である。
 年令はこの旅行記にはあまり関係がないので明確には述べないが、Hさんは二十代後半で、Fさんは彼女より少しだけ年上とのことであった。

 僕と同様に上司などに嫌味を言われながらもバックパッカーとしての旅を貫徹しているとのことで、本当は長期の旅に出たいけど、仕方がないですよねぇとため息をついていた。

 あれこれ話をしていると、今度は日本人の青年三人がサイスリーゲストハウスを訪ねてきた。

 ひとりの青年が「コンニチワ」と挨拶をして、「ここのゲストハウスは綺麗ですか?」とさらに訊いてきた。

「まあまあじゃないですか」と僕が返事すると、分かりましたと言って彼等は中に入って行った。

 結局、彼等はそれぞれシングルルームをひとり三ドルで(この料金でホットシャワー、エアコンつきらしい)借りて、荷物を降ろしてから再び外に出てきた。

 昨日はシングルルームがフルだったのに、なぜか空いていたようだ。

 彼女達はメコン川のほとりのレストランで夕食を食べたいと提案してきた。
 ちょうどそのときN君が昼寝から起きて出てきた。

 では少し時間が早いけどブラブラ行きましょうということになり、総勢七人でメコン川の土手の方に歩き出した。
 N君はいつの間にこんなに大勢の日本人が集まったのかと、不思議そうな顔をしてニコニコしていた。

 夕方だというのに相変わらずビエンチャンの日差しは強烈で、僕はバンダナを頭からはずせない状態だった。

 昨日N君と夕食を摂ったところまでは随分遠いので、土手に上がって少し歩いたところに何軒か並んでいる野外レストランの一軒に入ることにした。

 最も川側に突き出した位置のテーブルを二つくっつけてもらって、男性五人、女性二人の計七人が、とりあえずビアラオを注文して、ラオスと日本とそしてここでの出会いに乾杯をした。

 青年三人はやはりいずれも一人旅で、ビエンチャンに入る前にバスなどで知り合ってそのまま同行するようになったらしい。

 僕達と同じ社会人であったが、三人とも数か月前にキッパリと会社を辞めて長期旅行の途中であった。

 しばらくビアラオを飲み、各自が注文した料理を食べながら、再度自己紹介のあと雑談をした。
 これまでの旅のエピソードや、仕事を辞めるまでの苦悩や決心に至るまでの経過等々。

 僕は彼等に、「この中で最も将来の可能性を秘めた立場だね」と羨ましさを込めて言ったのだが、三人とも口を揃えて「無職のプーですよ。でも言い方もあるものですね」と変な感心をされてしまった。

 夕陽がメコン川の向こうに沈んだ。

 しばらくして彼女達がボーダー付近で一緒になって、ビエンチャン市内に着いてから別れたという男性二名と女性二名の話になった。

 聞けば、ナンプ広場で午後六時頃に待ち合わせているというので、じゃあ呼んできて一緒に食事をしようよということとなった。

 結局、最終的には男性が七名と女性が四名の計十一人の賑やかな夕食となり、我々のテーブルの横にはビールケースが置かれ、その中に次々と飲み干すビアラオの空瓶が増えていった。

 十一人の日本人の内訳は男性が、N君(33才)、青年達(30才、25才、もう1名不明)、あとで来た中国在住の現地法人副社長(35才くらいだったかな、ちょっとオタク風で怪しげだった)、カップルのうちの男性(23才くらいかな)、それに僕。
 女性が同じ宿の二人とカップルのうちの女性(23才くらい)、そしてもう一人の美人(24才、この女性は本当に綺麗だった)である。

 一通りそれぞれの旅話をしたあと、職業についての話となり、中国に在住している現地法人副社長の偉そうな出世話を聞いている時は、無職の三人の男性は複雑な表情をして黙っていた。

 しばらくして三人のうちのひとりが僕に対して、「どのようなお仕事ですか?」と訊いてきた。

「いや、それが実は怪しげな仕事なんだよ」

 うやむやにして逃げようと思ったが、さらに別の青年が教えてくださいよと重ねて言う。

 仕方なしに「探偵をやってるんだ」と返事したら、途端に皆身を乗り出して、「えっ何ですか?何?探偵っていう職業って本当にあるんですか?松田優作さんのようにバイクに乗って尾行なんかするのですか?」と、矢継ぎ早に質問攻めにあってしまった。

 だから言いたくなかったんだ。(笑)


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