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第二章 2002年 春
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 77
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第二章 2002年 春
77 バンコクへ
Y子さんと一旦別れた僕は、早速ネットカフェに飛び込んだ。
今朝ビエンチャンのネットカフェでメールやホームページの掲示板をチェックをしているが、旅先ではどうも日本の状況が気になり、ヤフーニュースなどを見てしまう。
三十分程でネットカフェを出たところで一人の日本人女性と出会った。
彼女のほうから僕に近づいてきて、「こんにちは、ガイドブックを持っていませんか?」と訊いてきた。
「地球の○き方なら持ってますよ」と僕が答えると、少し見せてくださいと言う。
ネットカフェの前に設置されていた椅子に僕たちは座った。
彼女はノンカイ市内の情報を読んでいたようだが、読みながら僕にどこから来てどこに行く予定で何日の日程かなどを訊いてきた。
警察の尋問を受けているように思いながらも、十日くらいの日程でラオスを少し回ってタイに入り、バンコクでゆっくりする予定だと答えた。
すると彼女は僕が訊きもしないのに、「私は中国を一ヶ月程旅していたのです。でもラオスも行ってみようと思って中国との国境からずっと下って来て、ついでにこうなったらタイにも少し入ってみようと思ってノンカイに来たのです。だからガイドブックも何も持っていなくて」と話し始めた。
このあとの話では、彼女は年令が三十六才、既婚で子供はなく、夫は日本で仕事熱心だ、私は旅が好きで今回も一ヶ月間だけ夫の許しを得たが、既に二ヶ月近くになってしまった、夫が怒り出した・・・などと嬉しそうに語るのだった。
彼女の風貌は、要するに失礼だがかなりの肥満でありまして、それにペラペラとよくしゃべる人でありまして、簡単に申し上げると僕の好みのタイプとは残念ながら大きくかけ離れていた。
本来なら日本の女性と異国で出会えば、余程のことがない限りお茶くらいはお誘いをするのだが、この時は言葉が出なかった。
彼女は首からかなり高価そうな大きな一眼レフカメラをぶら下げており、少数民族の写真を撮るのが好きなのだと語り、このあとはもう一度ラオスに戻って南下しようか、或いはバンコクに出て夫が怒っているからすぐに帰国しようか悩んでいるとのことだった。
僕に対し、「どう思いますか?」と訊くので、僕には全く興味のない話だったが、「そりゃあ、ご主人のもとに帰ってあげた方が良いと思いますよ。ご主人は寂しくて仕方がないのでしょう」と、心にもないことを言葉にして彼女とその場で別れた。
そのあと市内をブラブラしたが、特に何もないし、早めにバスターミナルに戻った。
チケット売り場でY子さんを待っていたが、午後六時を過ぎても戻って来ないし、既にバンコク行きのバスが到着していたので僕は自分のバックパックを背負って先にバスに乗った。
後で考えてみると、先に一人だけバスに乗り込んだことで冷たい男と思われたかもしれないが、旅とは基本的には一人なのだから仕方がない。
バスは一応指定席だが、VIPバスではないので前の席とは非常に狭い。
それにたまたま僕の前には若いタイ人のカップルが座っていて、彼らはシートを思いっきりリクライニングするので、ますます僕は窮屈になってしまうのだった。
日本だったら、「ちょっとあんたらもう少し後ろの人のことを考えんかい!」と、絶対にクレームをつけるのだが、ここはこの人達の国だし、タイ語が分からないので我慢して座っていた。
ほどなくY子さんが来て一番前の席に座り、バスはノンカイを出発して一路バンコクを目指して走り出した。
暗闇が少しずつ覆ってきた街並みは、夕食を屋台やレストランで楽しむ人々で溢れかえり、一つの街の慌しい日常風景として僕の目に焼き付き、何故か切ない気持ちになってしまうのだった。
77 バンコクへ
Y子さんと一旦別れた僕は、早速ネットカフェに飛び込んだ。
今朝ビエンチャンのネットカフェでメールやホームページの掲示板をチェックをしているが、旅先ではどうも日本の状況が気になり、ヤフーニュースなどを見てしまう。
三十分程でネットカフェを出たところで一人の日本人女性と出会った。
彼女のほうから僕に近づいてきて、「こんにちは、ガイドブックを持っていませんか?」と訊いてきた。
「地球の○き方なら持ってますよ」と僕が答えると、少し見せてくださいと言う。
ネットカフェの前に設置されていた椅子に僕たちは座った。
彼女はノンカイ市内の情報を読んでいたようだが、読みながら僕にどこから来てどこに行く予定で何日の日程かなどを訊いてきた。
警察の尋問を受けているように思いながらも、十日くらいの日程でラオスを少し回ってタイに入り、バンコクでゆっくりする予定だと答えた。
すると彼女は僕が訊きもしないのに、「私は中国を一ヶ月程旅していたのです。でもラオスも行ってみようと思って中国との国境からずっと下って来て、ついでにこうなったらタイにも少し入ってみようと思ってノンカイに来たのです。だからガイドブックも何も持っていなくて」と話し始めた。
このあとの話では、彼女は年令が三十六才、既婚で子供はなく、夫は日本で仕事熱心だ、私は旅が好きで今回も一ヶ月間だけ夫の許しを得たが、既に二ヶ月近くになってしまった、夫が怒り出した・・・などと嬉しそうに語るのだった。
彼女の風貌は、要するに失礼だがかなりの肥満でありまして、それにペラペラとよくしゃべる人でありまして、簡単に申し上げると僕の好みのタイプとは残念ながら大きくかけ離れていた。
本来なら日本の女性と異国で出会えば、余程のことがない限りお茶くらいはお誘いをするのだが、この時は言葉が出なかった。
彼女は首からかなり高価そうな大きな一眼レフカメラをぶら下げており、少数民族の写真を撮るのが好きなのだと語り、このあとはもう一度ラオスに戻って南下しようか、或いはバンコクに出て夫が怒っているからすぐに帰国しようか悩んでいるとのことだった。
僕に対し、「どう思いますか?」と訊くので、僕には全く興味のない話だったが、「そりゃあ、ご主人のもとに帰ってあげた方が良いと思いますよ。ご主人は寂しくて仕方がないのでしょう」と、心にもないことを言葉にして彼女とその場で別れた。
そのあと市内をブラブラしたが、特に何もないし、早めにバスターミナルに戻った。
チケット売り場でY子さんを待っていたが、午後六時を過ぎても戻って来ないし、既にバンコク行きのバスが到着していたので僕は自分のバックパックを背負って先にバスに乗った。
後で考えてみると、先に一人だけバスに乗り込んだことで冷たい男と思われたかもしれないが、旅とは基本的には一人なのだから仕方がない。
バスは一応指定席だが、VIPバスではないので前の席とは非常に狭い。
それにたまたま僕の前には若いタイ人のカップルが座っていて、彼らはシートを思いっきりリクライニングするので、ますます僕は窮屈になってしまうのだった。
日本だったら、「ちょっとあんたらもう少し後ろの人のことを考えんかい!」と、絶対にクレームをつけるのだが、ここはこの人達の国だし、タイ語が分からないので我慢して座っていた。
ほどなくY子さんが来て一番前の席に座り、バスはノンカイを出発して一路バンコクを目指して走り出した。
暗闇が少しずつ覆ってきた街並みは、夕食を屋台やレストランで楽しむ人々で溢れかえり、一つの街の慌しい日常風景として僕の目に焼き付き、何故か切ない気持ちになってしまうのだった。
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