89 / 208
第三章 バンコク近郊・意外展開旅行記
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 89
しおりを挟む★第三話★ワット・ファウロンワ その3
「ワット・ファウロンワ!」僕は相変わらず念仏のように叫んだ。
Hさんはアホの一つ覚えのような僕の言動に呆れた顔をして、「Do you know ワット・ファウロンワ?」と屋台の娘さんに問いかけた。
するとその娘さんは、ちょっと考え込んでややどぎまぎした感じであったが、「I know it’s 16km distance.」と言うのだ。
「ここから16キロもあるって言ってますよ。どうします?」
「タクシーもトゥクトゥクも走っている様子はないからね。ここの人誰か送ってくれないかなぁ」
屋台レストランにたむろしている男性数人はバイクと車で来ているようで、レストランの外の敷地には車が一台とバイクが2、3台止まっていた。
しかし彼らは不意の訪問者を怪しげには見るが、何か困っている様子はないかなどと興味は持たないようで、すぐに仲間と賭け事に戻るのだった。
ともかくバスから降ろされた大通りに戻ってみようということになり、僕達は道路を反対側に渡ったところにあるバスの待合場所のようなところに立った。
すると屋台の娘さんもあとをついて来てくれて、僕達を心配そうに見守ってくれるのだった。
「How many buses come in one hour?」
娘さんはちょっと首をかしげていたが、数秒間考えてから、「It hardly comes.」と言うのだった。
訊くと彼女は十五才で、学校で英語は少しだけ習っているとのことで、片言なら通じるのだった。
◆娘さんとHさん、Hさんの顔はこの旅行記でさんざん公開しているのですが、この画像は顔を消してしまっています。😂
殆どバスは来ないと聞いて、僕とHさんは愕然としたが、ともかく策を考えないといけない。
こんな田舎のど真ん中で降ろされて、目的地まで16キロも歩いては行けない。
「じゃあ、こうなったらヒッチハイクをしましょう!」
Hさんは元気よく言うのだった。【強い人だ】
この道路は路線バスが走っているから国道になるのかもしれないが、いくらバンコクの郊外といっても周りは農地ばかりのド田舎だから、車自体が頻繁には往来しない。
大体二~三分に一台が通過する程度である。
僕は男らしくトップバッターで、車が近づいてきたら右手を少し上げて、親指をピン!と立てて数台に合図をしてみた。
しかし車は僕がヒッチハイクの合図をしているのを分かっているのか分かっていないのか、スピードを緩めることもなく通り過ぎてしまうのだった。
「止まってくれませんか?」
Hさんはしばらく娘さんと話をしていたが、僕が一向に車を止めないので痺れを切らして道路に出てきた。
「私がやってみましょう。ペロ吉さんはちょっと隠れていてください」
女性一人ならもしかしたら下心のある男性が車を止めるかもしれない、という狙いだ。
止まってから僕が現れて交渉をするという段取りを考えた。
僕はしばらく娘さんとバスの待合場所で待機してHさんの様子を見ていた。
しかし、無情にも五~六台の車が通過したが、キュートで可愛い彼女にもかかわらず、まったく止まる気配はない。
タイの男性は女性の魅力が分からないのだろうか?
一体どうなってんだ?と思っていたら、娘さんがトトトっと道路に出て行き、あっという間に一台のワゴン車を止めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
