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第三章 バンコク近郊・意外展開旅行記
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 95
しおりを挟む第十話 アユタヤ その1
今回の旅はどうもおかしい。
バンコクには結局三日間滞在したが、一日だけ子供のように動き回り、おかしなお寺を見ては驚いたり、シーフードに酒池を楽しんだり、Hさんと一日中目一杯遊びまわったという感じだが、あとの二日は宿のベッドでへたっていた。
しかも昨日はインターネットカフェに大切なメモ帳を忘れ、今朝は宿の前からホアランポーン駅までタクシーで行ったが、バーツの持ち合わせが三十八Bしかなくて、メーターが四十一Bだったので三十八バーツに何を考えていたのか、二ドルもプラスして渡してしまったのだ。
二ドルといえば八十バーツではないか!
何をぼんやりしていたのだろう。気がついた時には、タクシーは疾風のごとく走り去って行ったのだった。
きっとあのタクシーの運転手は阿呆な日本人だと、公園の日陰などで車を止めて今頃腹を抱えて笑っているだろう。自分自身に嫌気がさしてきた。
そんな精神状態のままアユタヤ行きの列車に乗ったので、出発後、僕の隣に大学生風の日本人男性旅行者が座り、斜め前には中年の声の日本人女性が座って二人が話し始めても、いつもの僕なら気さくに話の中に入っていくのだが、そんな気にもならずに窓の外の景色を眺め続けていた。
二人の話の内容からすると、それぞれが一人旅の途中で、先ほど駅で初めて話をしたようだった。
女性の方が八、男性の方が二の割合で会話をしていたが、女性は一ヶ月余りかけて東欧から南欧を旅して昨日バンコクに到着し、帰国前にバンコク近郊を少し見て廻っているという感じであった。
男性の方は大学四回生で、来年就職が内定しており、いよいよ社会人となるので、今回は夏休みを利用して二ヶ月間の予定で、東南アジアを旅していると語っていた。
女性は東欧を旅している途中に日本人男性医師と知り合い、バンコクに行くなら知り合いがたくさんいるので観光案内をさせましょうと親切に言ってくれたが、実際昨日バンコクに着いてホテルにチェックインすると、その日本人医師からメッセージが届いていたのに驚いたらしい。
今朝は医師の知人がホテルまで迎えに来て、観光案内を申し出てくれたが、そこまで甘えるわけにはいかないので、丁寧にお引取り願ったと語っていた。
そのような話を聞きながら窓の外を相変わらず眺めていたが、そんなに親切を受けた女性はさぞや綺麗なのだろうと思い、期待に胸膨らませて顔を動かしてじっくり見たが、何てことはない普通の中年のおばさんだった。
そこはかとなく、ぼんやりと心に映り行くよしなしごとを考えていると、バンコクを出発して二時間弱で古都・アユタヤに到着した。
それ程大きくない駅を出て真っ直ぐ歩くとすぐに渡し舟の乗り場がある。
五バーツを支払って対岸に渡る。
再び歩き始めると賑やかな通りに出て、トゥクトゥクの誘いに囲まれる。
ともかく宿を決めることが先決なので、僕はそれらを無視して市場の角を曲がってバスターミナルの方向に出て、そこを右に曲がると宿が数軒あるとガイドブックに載っていたので、その中のP・Uゲストハウスを目指した。
その宿は通りからさらに奥に入った場所に所在していたが、ガイドブックにもあるように、最近新たに建て替えられたらしく、外観はとても綺麗だった。
靴を脱いでフロントに入ると、愛想の良い小柄なタイ人女性が応対に出てきて、三百バーツの部屋しか空いていないと言う。
見せてもらうとファンのホットシャワーシングルだが、部屋は広いしベランダもあって、これはすこぶる快適そうなのでここに泊まることにした。
バックパックを置いてすぐに町歩きに出た
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