173 / 208
第五章・ミャンマー行きの予定が何故か雲南へ
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 173
しおりを挟む
二十三話
2009年12月29日、僕の乗る大型デラックスバスは、ガラ空きの高速道路をガンガン飛ばし、一路昆明を目指していた。
僕はその途中の景洪(ジンホン)までのチケットを持っていた。
乗務員も知っているはずなので、洪景のバスターミナル到着まで二階ベッドで仰臥して窓外の景色を眺めていた。
時刻は午後4時を過ぎた。
田舎の田園風景が続く高速道路、いつになったら着くのか、宿も探さないといけないので、少し気持ちが焦る。
と・・・その時、突然バスは高速道路の路肩で停車した。
「○△■※×△!」
上方お笑い芸人の中川家の弟そっくりな乗務員が何やら僕に叫ぶ。
窓際の上段ベッドで顔を上げて「何だ?」と聞くと、「ここが景洪だ」という。
「な、な、何だって?ここが景洪って、高速道路の路肩なんだけど・・・。」
仕方なくバックパックを担いで下車すると、中川家弟は「向こうの反対側の道路に渡ってバスが来るのを待って景洪まで行け」と言うのだ。(おそらくそういう風なことを言っているはず)
僕が躊躇していると、一緒に渡ってやると言う。
車が来ていないことをしっかり確かめてから、まずは中央分離帯へ急ぎ足で渡る。
今度は反対側から車が来ていないことを再度確かめてから反対車線の路肩へ急ぎ渡った。
重いバックパックを背負って、ヨイショヨイショと渡りながら、「僕はいったい何をしているのだ?」と自問自答するのだった。
中国雲南の田舎町に似つかわしくない高速道路の路肩で、汚れたバックパックを背負って佇む一人の中年日本人。
自分の姿を客観的に観察し、自嘲に似た苦笑いが自然に出た。
中川家弟は「それじゃ気をつけて!ここで向こうから来るバスに手を振って止めて、景洪のバスターミナルまで行けばいいよ!」ってなことを、いとも簡単にできるように言った。(身振り手振りで)
そして彼は再び駆け足で中央分離帯から昆明行きのバスに戻った。
佇む僕にバスの乗客たちは手を振る。
タイ人青年も南米系アメリカ人も窓から僕に向かって「良い旅を!」とでも言っているのか、手を振るのであった。
バスは走り去った。
高速道路の路肩に残された僕。
既に陽は傾き始めている。不安が心を支配し始めた。
しかし不安がってばかりいても仕方がない。
向かってくるバスに手を振らなければ行けない。
景洪まで何とか行かないと、高速道路の路肩の周辺には民家など見えないのだ。
1台、また1台とバスが通過する。大型バスもあればマイクロバスも通る。
しかし日本の高速道路のように頻繁に通るわけではない。
うかうかしていたら日が暮れる。
そして僕は視界に入った1台の白いマイクロバスに向かって手を大きく振った。
2009年12月29日、僕の乗る大型デラックスバスは、ガラ空きの高速道路をガンガン飛ばし、一路昆明を目指していた。
僕はその途中の景洪(ジンホン)までのチケットを持っていた。
乗務員も知っているはずなので、洪景のバスターミナル到着まで二階ベッドで仰臥して窓外の景色を眺めていた。
時刻は午後4時を過ぎた。
田舎の田園風景が続く高速道路、いつになったら着くのか、宿も探さないといけないので、少し気持ちが焦る。
と・・・その時、突然バスは高速道路の路肩で停車した。
「○△■※×△!」
上方お笑い芸人の中川家の弟そっくりな乗務員が何やら僕に叫ぶ。
窓際の上段ベッドで顔を上げて「何だ?」と聞くと、「ここが景洪だ」という。
「な、な、何だって?ここが景洪って、高速道路の路肩なんだけど・・・。」
仕方なくバックパックを担いで下車すると、中川家弟は「向こうの反対側の道路に渡ってバスが来るのを待って景洪まで行け」と言うのだ。(おそらくそういう風なことを言っているはず)
僕が躊躇していると、一緒に渡ってやると言う。
車が来ていないことをしっかり確かめてから、まずは中央分離帯へ急ぎ足で渡る。
今度は反対側から車が来ていないことを再度確かめてから反対車線の路肩へ急ぎ渡った。
重いバックパックを背負って、ヨイショヨイショと渡りながら、「僕はいったい何をしているのだ?」と自問自答するのだった。
中国雲南の田舎町に似つかわしくない高速道路の路肩で、汚れたバックパックを背負って佇む一人の中年日本人。
自分の姿を客観的に観察し、自嘲に似た苦笑いが自然に出た。
中川家弟は「それじゃ気をつけて!ここで向こうから来るバスに手を振って止めて、景洪のバスターミナルまで行けばいいよ!」ってなことを、いとも簡単にできるように言った。(身振り手振りで)
そして彼は再び駆け足で中央分離帯から昆明行きのバスに戻った。
佇む僕にバスの乗客たちは手を振る。
タイ人青年も南米系アメリカ人も窓から僕に向かって「良い旅を!」とでも言っているのか、手を振るのであった。
バスは走り去った。
高速道路の路肩に残された僕。
既に陽は傾き始めている。不安が心を支配し始めた。
しかし不安がってばかりいても仕方がない。
向かってくるバスに手を振らなければ行けない。
景洪まで何とか行かないと、高速道路の路肩の周辺には民家など見えないのだ。
1台、また1台とバスが通過する。大型バスもあればマイクロバスも通る。
しかし日本の高速道路のように頻繁に通るわけではない。
うかうかしていたら日が暮れる。
そして僕は視界に入った1台の白いマイクロバスに向かって手を大きく振った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる