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2章〜10年前の出来事〜
3.10年前
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とある貴族の屋敷のにて
「やはりアーノルド様が王になるのは間違いだったのだ!恐ろしい戦争が始まる…」
「今はそんな話をしている場合ではないだろう!!!!財政の話をしているのだ!キャンベル殿!!」
ざっと20人はいる大人たちの大きな声が飛び交う。年老いた者から成人したばかりに見受けられる若者まで様々な年代の男女が集まり、アーノルドの戦争宣言について議論していた。この集まりは前国王であるエリック派の残党の会合。キャンベルとはこの館の家主であり、キャンベル・アルフレッドという。エリック派の代表として大人数の貴族を集めたはいいものの、あちこちで怒りが含まれた声が飛び交いピリピリとした空気感が漂っている状況だった。そんな中、若い青年が声を荒らげた。
「まずはトワシャ王女の事を第一に考えるべきでしょう!!!!我々残党派の最後の砦なのですよ!!!!!!」
大声を出したのはオリオン・ウェルナー。ウェルナー家は由緒正しい伝統ある貴族で前王からの信頼も厚かった家だった。その為、アーノルドからは完全に敵視されてしまっている。
「すまなかった…」
キャンベルやそのほかの者たちはオリオンに誤りを入れ、場の空気は正された。
「…失礼した。改めて言わせていただきます。トワシャ王女が処刑されてしまう前になにか手を打つべきだと思うのです。」
「我々もそのことは百も承知だ。しかし、良い策が見つからないのだ…」
この場にいる誰もが頭を悩ませたその時、フードを被った女性がスッと手を挙げた。
「トワシャ王女の件について私に考えがございます」
「レディ。失礼だがフードをとってもらえはしないだろうか」
キャンベルの問いかけに女性はなんの躊躇もなくフードをとった
「失礼しました。私はここに居るウェルナー家の分家のものです。名をマリッサ・バーネットと申します。」
「バーネットだと!滅多に外に出てこない戦闘専門の家がなんともまぁ珍しい!」
「先の王には大変お世話になりましたゆえこのように参った所存にございます。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありませんでした」
バーネット家は先祖代々暗殺、戦闘などが家業の貴族である。王の専属の暗殺部隊などとして使われることが多い。その仕事内容のため社交界などの表舞台には滅多に顔を出さない貴族だ。
「もう時間もありませんので、作戦をご説明させていただきますね。」
その作戦内容はこうだ。
まず、マリッサが王に謁見し「自分は本家のウェルナー家などとは違いあなたの味方です。証明にウェルナー家の内情を随時報告いたします」と信用を得て、トワシャ姫の必要性を説明する。といったものだった。
「しかし、そう上手くいくだろうか…」
キャンベルが心配するのも無理はない。あまりにも穴が多い作戦だった。
「上手くいかなければ私が死ぬまでです。私は口は割りませんのでご心配には及びません。」
なんという覚悟かと皆は圧倒されていた。
「…分かった。よし、バーネット嬢の作戦で行こう!」
キャンベルは他の家の令嬢ならばこのような無謀とも取れる作戦には乗らないが、マリッサの覚悟と戦闘を家業とする者に期待をかけてこのような判断を下したのだった。それから、何故か成功する気がしてならなかったと言うのも多少なりともあった。
「早ければ早いほどいいはずです。決行は明日にしましょう」
「承知した。…それでは本日は解散とする!幹部は残って作戦会議を開き細かい策を練るぞ!」
「上手くいくこと願うばかりですね」
そう他人事のように淡々と話すマリッサからは少しの緊張も感じられなかった。
「やはりアーノルド様が王になるのは間違いだったのだ!恐ろしい戦争が始まる…」
「今はそんな話をしている場合ではないだろう!!!!財政の話をしているのだ!キャンベル殿!!」
ざっと20人はいる大人たちの大きな声が飛び交う。年老いた者から成人したばかりに見受けられる若者まで様々な年代の男女が集まり、アーノルドの戦争宣言について議論していた。この集まりは前国王であるエリック派の残党の会合。キャンベルとはこの館の家主であり、キャンベル・アルフレッドという。エリック派の代表として大人数の貴族を集めたはいいものの、あちこちで怒りが含まれた声が飛び交いピリピリとした空気感が漂っている状況だった。そんな中、若い青年が声を荒らげた。
「まずはトワシャ王女の事を第一に考えるべきでしょう!!!!我々残党派の最後の砦なのですよ!!!!!!」
大声を出したのはオリオン・ウェルナー。ウェルナー家は由緒正しい伝統ある貴族で前王からの信頼も厚かった家だった。その為、アーノルドからは完全に敵視されてしまっている。
「すまなかった…」
キャンベルやそのほかの者たちはオリオンに誤りを入れ、場の空気は正された。
「…失礼した。改めて言わせていただきます。トワシャ王女が処刑されてしまう前になにか手を打つべきだと思うのです。」
「我々もそのことは百も承知だ。しかし、良い策が見つからないのだ…」
この場にいる誰もが頭を悩ませたその時、フードを被った女性がスッと手を挙げた。
「トワシャ王女の件について私に考えがございます」
「レディ。失礼だがフードをとってもらえはしないだろうか」
キャンベルの問いかけに女性はなんの躊躇もなくフードをとった
「失礼しました。私はここに居るウェルナー家の分家のものです。名をマリッサ・バーネットと申します。」
「バーネットだと!滅多に外に出てこない戦闘専門の家がなんともまぁ珍しい!」
「先の王には大変お世話になりましたゆえこのように参った所存にございます。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありませんでした」
バーネット家は先祖代々暗殺、戦闘などが家業の貴族である。王の専属の暗殺部隊などとして使われることが多い。その仕事内容のため社交界などの表舞台には滅多に顔を出さない貴族だ。
「もう時間もありませんので、作戦をご説明させていただきますね。」
その作戦内容はこうだ。
まず、マリッサが王に謁見し「自分は本家のウェルナー家などとは違いあなたの味方です。証明にウェルナー家の内情を随時報告いたします」と信用を得て、トワシャ姫の必要性を説明する。といったものだった。
「しかし、そう上手くいくだろうか…」
キャンベルが心配するのも無理はない。あまりにも穴が多い作戦だった。
「上手くいかなければ私が死ぬまでです。私は口は割りませんのでご心配には及びません。」
なんという覚悟かと皆は圧倒されていた。
「…分かった。よし、バーネット嬢の作戦で行こう!」
キャンベルは他の家の令嬢ならばこのような無謀とも取れる作戦には乗らないが、マリッサの覚悟と戦闘を家業とする者に期待をかけてこのような判断を下したのだった。それから、何故か成功する気がしてならなかったと言うのも多少なりともあった。
「早ければ早いほどいいはずです。決行は明日にしましょう」
「承知した。…それでは本日は解散とする!幹部は残って作戦会議を開き細かい策を練るぞ!」
「上手くいくこと願うばかりですね」
そう他人事のように淡々と話すマリッサからは少しの緊張も感じられなかった。
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