実の父に裏切られて国から追放されました。

小鞠

文字の大きさ
3 / 11
2章〜10年前の出来事〜

3.10年前

しおりを挟む
とある貴族の屋敷のにて
「やはりアーノルド様が王になるのは間違いだったのだ!恐ろしい戦争が始まる…」
「今はそんな話をしている場合ではないだろう!!!!財政の話をしているのだ!キャンベル殿!!」
ざっと20人はいる大人たちの大きな声が飛び交う。年老いた者から成人したばかりに見受けられる若者まで様々な年代の男女が集まり、アーノルドの戦争宣言について議論していた。この集まりは前国王であるエリック派の残党の会合。キャンベルとはこの館の家主であり、キャンベル・アルフレッドという。エリック派の代表として大人数の貴族を集めたはいいものの、あちこちで怒りが含まれた声が飛び交いピリピリとした空気感が漂っている状況だった。そんな中、若い青年が声を荒らげた。
「まずはトワシャ王女の事を第一に考えるべきでしょう!!!!我々残党派の最後の砦なのですよ!!!!!!」
大声を出したのはオリオン・ウェルナー。ウェルナー家は由緒正しい伝統ある貴族で前王からの信頼も厚かった家だった。その為、アーノルドからは完全に敵視されてしまっている。
「すまなかった…」
キャンベルやそのほかの者たちはオリオンに誤りを入れ、場の空気は正された。
「…失礼した。改めて言わせていただきます。トワシャ王女が処刑されてしまう前になにか手を打つべきだと思うのです。」
「我々もそのことは百も承知だ。しかし、良い策が見つからないのだ…」
この場にいる誰もが頭を悩ませたその時、フードを被った女性がスッと手を挙げた。
「トワシャ王女の件について私に考えがございます」
「レディ。失礼だがフードをとってもらえはしないだろうか」
キャンベルの問いかけに女性はなんの躊躇もなくフードをとった
「失礼しました。私はここに居るウェルナー家の分家のものです。名をマリッサ・バーネットと申します。」
「バーネットだと!滅多に外に出てこない戦闘専門の家がなんともまぁ珍しい!」
「先の王には大変お世話になりましたゆえこのように参った所存にございます。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありませんでした」
バーネット家は先祖代々暗殺、戦闘などが家業の貴族である。王の専属の暗殺部隊などとして使われることが多い。その仕事内容のため社交界などの表舞台には滅多に顔を出さない貴族だ。
「もう時間もありませんので、作戦をご説明させていただきますね。」
その作戦内容はこうだ。
まず、マリッサが王に謁見し「自分は本家のウェルナー家などとは違いあなたの味方です。証明にウェルナー家の内情を随時報告いたします」と信用を得て、トワシャ姫の必要性を説明する。といったものだった。
「しかし、そう上手くいくだろうか…」
キャンベルが心配するのも無理はない。あまりにも穴が多い作戦だった。
「上手くいかなければ私が死ぬまでです。私は口は割りませんのでご心配には及びません。」
なんという覚悟かと皆は圧倒されていた。
「…分かった。よし、バーネット嬢の作戦で行こう!」
キャンベルは他の家の令嬢ならばこのような無謀とも取れる作戦には乗らないが、マリッサの覚悟と戦闘を家業とする者に期待をかけてこのような判断を下したのだった。それから、何故か成功する気がしてならなかったと言うのも多少なりともあった。
「早ければ早いほどいいはずです。決行は明日にしましょう」
「承知した。…それでは本日は解散とする!幹部は残って作戦会議を開き細かい策を練るぞ!」
「上手くいくこと願うばかりですね」
そう他人事のように淡々と話すマリッサからは少しの緊張も感じられなかった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜
ファンタジー
この世界は「アステルシア」。 魔法と魔物、そして“従魔契約”という特殊な力が存在する世界。代々、強大な魔力と優れた従魔を持つ“英雄の血筋”。 でも、生まれたばかりの私は、そんな期待を知らず、ただ両親と兄姉の愛に包まれて育っていった。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

貧乏神と呼ばれて虐げられていた私でしたが、お屋敷を追い出されたあとは幼馴染のお兄様に溺愛されています

柚木ゆず
恋愛
「シャーリィっ、なにもかもお前のせいだ! この貧乏神め!!」  私には生まれつき周りの金運を下げてしまう体質があるとされ、とても裕福だったフェルティール子爵家の総資産を3分の1にしてしまった元凶と言われ続けました。  その体質にお父様達が気付いた8歳の時から――10年前から私の日常は一変し、物置部屋が自室となって社交界にも出してもらえず……。ついには今日、一切の悪影響がなく家族の縁を切れるタイミングになるや、私はお屋敷から追い出されてしまいました。  ですが、そんな私に―― 「大丈夫、何も心配はいらない。俺と一緒に暮らそう」  ワズリエア子爵家の、ノラン様。大好きな幼馴染のお兄様が、手を差し伸べてくださったのでした。

処理中です...