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2章〜10年前の出来事〜
5.対面
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そこにはまさにこれぞ愚王といったような男が玉座に鎮座していた。あろう事かこの神聖な間に妓女を何人も呼び込み、酒を飲みながら楽しく会話しているではないか。先王のエリック殿下は非常に聡明な方であったのに、なぜこのような男に育つのか分からない。怒る心を無理やり沈め、下げたくもない頭をさげつつ悟られぬように慎重に話し始める。
「お初にお目にかかります。先の王より長らく王宮に仕えさせていただいております。バーネット家より参りました、マリッサ・バーネットと申します。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません」
「おぉ!これはまた珍しい客人だな!貴様がかの有名なバーネット家のものか!国王専属の秘密裏の戦闘部隊!確か…ウェルナー家の分家だったか?ウェルナーと繋がりがあるということは近いうちに死刑になるということを貴様が知らぬ訳が無いだろう。どうやら随分と死に急いでいるようだな」
意地の悪い笑みを浮かべて嘲笑うこの男に殺意さえ覚えるが、下唇を噛み締めてグッとこらえる。ここでなにか事を起こしてしまえば後々面倒だ。耐えなければならないと自分に言い聞かせ理性を保つ。
「しかし、貴様のように美人なものなら後宮に入れてやっても良い!どうだ?我の妻にならぬか?」
貴様のような屑を伴侶になどと考えるだけで身の毛がよだつだろう!バカも休み休み言えとはまさにこの事だ。
「お断り致します。私はそのよう件で参ったのではございません。もし宜しければ、ウェルナー家の内情にご興味はございませんか?」
気味の悪い誘いを断りつつ何とか話題をすり替える。上手くいったようでアーノルドは興味を示した。
「貴様まさか!…ウェルナーを裏切る気なのか?本当に面白い娘だ!」
「このように国が不安定な状態の場合はやはりこの国の最高権力である陛下側に付くのが得策と考えました。大人しくウェルナーの家に仕えるフリをして生活しますので、ウェルナーを消すことは容易くなるはずです」
あくまでも利点だけを話題にあげ、私が裏切る可能性などのデメリットに勘づかせないようにしながらアーノルドの出方を見計らった。よほど、ウェルナーの者たちが気に食わないのだろう。この話に対する食いつきは凄まじかった。
「さっそく聞かせてもらおうか?」
「お話したいのはやまやまなのですが、こちらとしてもとてもと大きな賭けとなりますので条件がございます」
「なるほど…申してみよ」
さぁいよいよ本題だ。これが承認されなければ意味が無い。はやる鼓動を抑え真の目的を口にする。
「トワシャ王女様を生かすと約束していただきたく存じます」
「………」
な、なぜ何も答えがないのだろうか。もしや失敗したかと思われたその時、衝撃的な言葉に思わず耳を疑う他なかった。
「なぜ我が我が娘である、トワシャを殺すのだ?」
「は?」
この男は今なんと言った?思わずとても無礼ととれる言葉遣いをしてしまった。
「我は娘を愛しているぞ?そのような真似するはずもない」
「大変な無礼をお許しください陛下。エリック殿下の元で育てられたトワシャ王女を酷く嫌っておられると噂に聞いたものですから」
「無礼な噂をするものもおるのだな!我はこんなにも愛しているのに」
どういうことだいまいち状況が分からない。先の王がいらした時はあんなのも無関心だった娘を愛しているだと?よく口にできたものだ…我々同様アーノルドにもなにか企みがあるのだろう。それとも本当に愛しているのだろうか…
「しかしながら、なぜ貴様がトワシャを生かすのに執着するのだ?」
怪しまれないように慎重に、このイレギュラーを修正しなければ
「決まっております!言葉を選ばずに申しますと利用価値があるからにございます。エリック派の残党は陛下がトワシャ王女を嫌っていると思い込んでおりますので、いつ殺されるかと常に考えなければなりません。故に、行動を起こしずらいはずです。当然我々の手中に王女はいらっしゃるので救出などは難しいでしょう。言うなれば人質と言ったところでしょうか」
「なるほど!確かにそうであるな!ではこのまま勘違いさせておこうではないか!貴様は本当に面白いやつだ!」
このバカめ策にかかったな。あとはこちらのものだ。
「それについて私から提案がひとつございます」
「なんでも申せ」
「私をトワシャ王女の侍女にしていただけませんか」
「お初にお目にかかります。先の王より長らく王宮に仕えさせていただいております。バーネット家より参りました、マリッサ・バーネットと申します。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません」
「おぉ!これはまた珍しい客人だな!貴様がかの有名なバーネット家のものか!国王専属の秘密裏の戦闘部隊!確か…ウェルナー家の分家だったか?ウェルナーと繋がりがあるということは近いうちに死刑になるということを貴様が知らぬ訳が無いだろう。どうやら随分と死に急いでいるようだな」
意地の悪い笑みを浮かべて嘲笑うこの男に殺意さえ覚えるが、下唇を噛み締めてグッとこらえる。ここでなにか事を起こしてしまえば後々面倒だ。耐えなければならないと自分に言い聞かせ理性を保つ。
「しかし、貴様のように美人なものなら後宮に入れてやっても良い!どうだ?我の妻にならぬか?」
貴様のような屑を伴侶になどと考えるだけで身の毛がよだつだろう!バカも休み休み言えとはまさにこの事だ。
「お断り致します。私はそのよう件で参ったのではございません。もし宜しければ、ウェルナー家の内情にご興味はございませんか?」
気味の悪い誘いを断りつつ何とか話題をすり替える。上手くいったようでアーノルドは興味を示した。
「貴様まさか!…ウェルナーを裏切る気なのか?本当に面白い娘だ!」
「このように国が不安定な状態の場合はやはりこの国の最高権力である陛下側に付くのが得策と考えました。大人しくウェルナーの家に仕えるフリをして生活しますので、ウェルナーを消すことは容易くなるはずです」
あくまでも利点だけを話題にあげ、私が裏切る可能性などのデメリットに勘づかせないようにしながらアーノルドの出方を見計らった。よほど、ウェルナーの者たちが気に食わないのだろう。この話に対する食いつきは凄まじかった。
「さっそく聞かせてもらおうか?」
「お話したいのはやまやまなのですが、こちらとしてもとてもと大きな賭けとなりますので条件がございます」
「なるほど…申してみよ」
さぁいよいよ本題だ。これが承認されなければ意味が無い。はやる鼓動を抑え真の目的を口にする。
「トワシャ王女様を生かすと約束していただきたく存じます」
「………」
な、なぜ何も答えがないのだろうか。もしや失敗したかと思われたその時、衝撃的な言葉に思わず耳を疑う他なかった。
「なぜ我が我が娘である、トワシャを殺すのだ?」
「は?」
この男は今なんと言った?思わずとても無礼ととれる言葉遣いをしてしまった。
「我は娘を愛しているぞ?そのような真似するはずもない」
「大変な無礼をお許しください陛下。エリック殿下の元で育てられたトワシャ王女を酷く嫌っておられると噂に聞いたものですから」
「無礼な噂をするものもおるのだな!我はこんなにも愛しているのに」
どういうことだいまいち状況が分からない。先の王がいらした時はあんなのも無関心だった娘を愛しているだと?よく口にできたものだ…我々同様アーノルドにもなにか企みがあるのだろう。それとも本当に愛しているのだろうか…
「しかしながら、なぜ貴様がトワシャを生かすのに執着するのだ?」
怪しまれないように慎重に、このイレギュラーを修正しなければ
「決まっております!言葉を選ばずに申しますと利用価値があるからにございます。エリック派の残党は陛下がトワシャ王女を嫌っていると思い込んでおりますので、いつ殺されるかと常に考えなければなりません。故に、行動を起こしずらいはずです。当然我々の手中に王女はいらっしゃるので救出などは難しいでしょう。言うなれば人質と言ったところでしょうか」
「なるほど!確かにそうであるな!ではこのまま勘違いさせておこうではないか!貴様は本当に面白いやつだ!」
このバカめ策にかかったな。あとはこちらのものだ。
「それについて私から提案がひとつございます」
「なんでも申せ」
「私をトワシャ王女の侍女にしていただけませんか」
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