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2章〜10年前の出来事〜
6.侍女長
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侍女になる件は快く承諾を受けた。トワシャ王女に万が一エリック派が近づいても私がいれば安心だとの事だった。それに私の腕前なら1人でも王女を守り抜けるだろうから侍女は1人でもいいし、衛兵も付けなくて大丈夫だろうと言われたのでむしろ好都合だ。この後オリオンたちと王女を城から助け出すにしろ何か事をおこすのに別の者がいてはやりずらい。1人なら動きやすいし王女にも色々と話すことが出来る。今は謁見の間から王女のいる離れた宮への移動中で、相も変わらず静かで冷たい廊下を歩いている。そこは随分と遠い場所なので侍女が案内してくれている。アーノルドが言うにはこの者が今の王宮侍女のトップすなわち、王宮侍女長だそうだ。無表情で冷たい印象の彼女だが、なにか聞き出せるかもしれないと淡い期待を抱き話しかける。
「先の王の時と比べて随分と人数が減ったようにお見受けしますが、今は一体何人ほどでこの広すぎる王宮を管理しているのですか?」
まずは当たり障りの無い会話からだ。相手がどこまで喋る意思があるのか否かで問う内容は変えねばならない。
「ざっと150人ほどです」
先王の時代には300人ほどいたので、思った通り多くの者が解雇されたようだ。
「随分と少ないですね!それでも管理できているのはやはり侍女長のおかげですね!」
ひとまず答えてくれたので良かったが、迂闊に城の内情など話すタイプではないな。
「先程から気になっておりましたが、私のような身分の低い侍女ごときに敬語を使うのをやめていただきたく思います。恥ずかしながら緊張致します。貴方様は特例で王女の侍女兼護衛係になられるのです。身分は貴族のままですのでお気遣いいただかなくても大丈夫です」
私が侍女になれば彼女は上司に値する。なので、あえて敬語にしたのだがそのような点も見抜かれているし気は抜けない。唯一以外だったのは彼女が緊張することくらいだろう。
「そうか、ならばその通りに致そう。…ところで、王女の件だが王は頻繁に王女と交流なされているのか?」
こういった些細なことからでもなにか掴めるかもしれないと思い、探りを入れる。
「失礼ながら、その質問にはお答え致しかねます。ペラペラと内情を話す訳にはいきませんので」
「それは失礼した。さすが侍女長と言った所だな。しっかりしている」
このような事も話せぬとはなにか事情がありそうだ。彼女がしっかりしているのも事実であろうが、おそらく王から口止めをされているのだろう。ただの玉座に座るだけの愚王ではないというわけだ。厄介な男だな…
「お答え出来ず申し訳ありません。歩きながらではありますが、仕事の説明をさせていただきます。マリッサ様には王女様のお世話がメインでのお仕事をこなして頂こうと思います。基本的には宮の掃除、王女様のお着替え、準備、洗濯、あとは…そうですね…王女様からのご要望にお答えするくらいでしょうか」
私は身分こそ貴族だが戦場は野営が多いのでそのスキルは叩き込まれている。量こそ多いがこのくらいの家事なら何とかこなせるだろう。
「やはり1人となるとやる事は山積みだな」
「慣れないうちは、私どもをお呼びいただければ対応致しますので気兼ねなくお尋ねください。ただ、今日は案内もありますので入れますが、我々は王からの許可無しに宮には入れませんのでご了承くださいませ」
随分と徹底した隔離のようだ。より好都合だな。
「前任の侍女も1人であったのか?」
私は戦闘の心得があるため1人で世話をする事はできるが、前任は一体どういった者だったのだろうか。
「エリック様のいらした頃ですと今といらっしゃる場所は別でしたし、侍女も多くおりました。アーノルド陛下になられてからは今の宮ですね。少し前までの侍女は私ですが、1人のようなものでした。中に入れるのは侍女である私1人、部屋の前に2人の衛兵がおり緊急時のみ駆けつけるという形をとっておりました」
王女を愛しているかどうかは別にしろ少なくとも蔑ろにはしていないようで安心した。ひとまず情報収集したところで王女のいる宮に到着した。扉を開け中に入る。
「先の王の時と比べて随分と人数が減ったようにお見受けしますが、今は一体何人ほどでこの広すぎる王宮を管理しているのですか?」
まずは当たり障りの無い会話からだ。相手がどこまで喋る意思があるのか否かで問う内容は変えねばならない。
「ざっと150人ほどです」
先王の時代には300人ほどいたので、思った通り多くの者が解雇されたようだ。
「随分と少ないですね!それでも管理できているのはやはり侍女長のおかげですね!」
ひとまず答えてくれたので良かったが、迂闊に城の内情など話すタイプではないな。
「先程から気になっておりましたが、私のような身分の低い侍女ごときに敬語を使うのをやめていただきたく思います。恥ずかしながら緊張致します。貴方様は特例で王女の侍女兼護衛係になられるのです。身分は貴族のままですのでお気遣いいただかなくても大丈夫です」
私が侍女になれば彼女は上司に値する。なので、あえて敬語にしたのだがそのような点も見抜かれているし気は抜けない。唯一以外だったのは彼女が緊張することくらいだろう。
「そうか、ならばその通りに致そう。…ところで、王女の件だが王は頻繁に王女と交流なされているのか?」
こういった些細なことからでもなにか掴めるかもしれないと思い、探りを入れる。
「失礼ながら、その質問にはお答え致しかねます。ペラペラと内情を話す訳にはいきませんので」
「それは失礼した。さすが侍女長と言った所だな。しっかりしている」
このような事も話せぬとはなにか事情がありそうだ。彼女がしっかりしているのも事実であろうが、おそらく王から口止めをされているのだろう。ただの玉座に座るだけの愚王ではないというわけだ。厄介な男だな…
「お答え出来ず申し訳ありません。歩きながらではありますが、仕事の説明をさせていただきます。マリッサ様には王女様のお世話がメインでのお仕事をこなして頂こうと思います。基本的には宮の掃除、王女様のお着替え、準備、洗濯、あとは…そうですね…王女様からのご要望にお答えするくらいでしょうか」
私は身分こそ貴族だが戦場は野営が多いのでそのスキルは叩き込まれている。量こそ多いがこのくらいの家事なら何とかこなせるだろう。
「やはり1人となるとやる事は山積みだな」
「慣れないうちは、私どもをお呼びいただければ対応致しますので気兼ねなくお尋ねください。ただ、今日は案内もありますので入れますが、我々は王からの許可無しに宮には入れませんのでご了承くださいませ」
随分と徹底した隔離のようだ。より好都合だな。
「前任の侍女も1人であったのか?」
私は戦闘の心得があるため1人で世話をする事はできるが、前任は一体どういった者だったのだろうか。
「エリック様のいらした頃ですと今といらっしゃる場所は別でしたし、侍女も多くおりました。アーノルド陛下になられてからは今の宮ですね。少し前までの侍女は私ですが、1人のようなものでした。中に入れるのは侍女である私1人、部屋の前に2人の衛兵がおり緊急時のみ駆けつけるという形をとっておりました」
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