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第一話
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ヴェール公爵領。
そこは、ガイア王国の国教、『ザスベエリ教』の聖地である。
それは、教祖『エリザベス』が生誕した家をはじめとして、様々な逸話を残した場所とされているからであった。
今日は、そんなザスベエリ教の教祖、エリザベスが産まれた神聖日とされ、ガイア王国全土が祝日となっている。
教祖が産まれた聖地、ヴェール領は、朝から雪がしんしんと降り積もり、街を白く染めていく………
そんなヴェール侯爵の邸宅から物語がはじまる。
「まったく、いつもいつもお前はうるさいんだ、ソフィア!私が少し家を空けたかと思えば何処に行っていたの?だの、このお金は何処から用意したの?だの、お前は私の母親か?まったく飽き飽きする!いつもいつも下らない事ばかりで、もう沢山だ!お前との婚約は破棄をする!」
ヴェール公爵令息のハルトが、婚約者であるノワール侯爵令嬢のソフィアへそんな言葉を浴びせかける。
ソフィアはショックを受け、ワナワナと手と口を震わせながら、
「そんな、ハルト様!今夜は聖なる夜、街は教祖様の生誕を祝うカップルが溢れかえると言うこんな日に、その仕打ちは酷いです!」
今にも泣きそうな表情のソフィアに、ハルトは眉間にシワをよせ、語気を強めながら、
「は?知らん知らん!早く出ていけ!お前の顔など二度と見たくもない!この違約金でも持って実家にさっさと帰るんだな!」
ハルトはそう言って、金貨がドッサリと入った袋をソフィア目掛けて投げつける!!
「いっ、痛い!」
袋はソフィアの二の腕をかすめ、床へと散らばる……。
ソフィアは金貨には目もくれず、涙を流す………。
「そ、そんな…外は雪が降って居ますこんな寒空に放り出されては死んでしまいます!」
床にへたり込み、涙を流すソフィアに追い討ちをかけるように、ハルトは口角をあげ、嘲笑いながら、
「ん~。それも良いだろう?おい!アリシアはいないか?」
そう言って、隣の部屋へと声をかけるハルト。
すると、隣の部屋のドアが開かれ、艶やかな金髪をなびかせ、真下なドレスに身を包んだアリシアが入室してくる。
「はい、お呼びになりました?ハルト様。」
アリシアはソフィアを一瞥すると、微笑をしてハルトの腕のなかに収まる。
「ソフィア、これが私の新し婚約者だ!と言うわけでお前は用済みなんだ。理解したら早く出ていってくれないか?私達はこれから『エリザベス』様に捧げるキスをしなければならない……まぁ、最後に見せてやるのも悪くないか。」
そう言って、ハルトは高笑いをすると、ソフィアの目の前でアリシアの唇を奪う!!
そのキスは激しく、端からみているソフィアにも、舌をからませるのがよくわかるほどだった。
暫くの間、アリシアと唇を重ねたハルトはキスを終えると、ソフィアに向かって、
「さあソフィア、お前は邪魔だ!早く去れ!」
そう言って手をシッシッ!とまるで犬を追い払うかのようにソフィアに向けた。
「そ、そんな……ハルト様……そうですか、貴方という人は……。」
ブチンッ!と何かが切れる音が部屋に鳴り響き、ソフィアの怒りが頂点する。
すると、バチバチと部屋の中の金属から電流が走り、部屋のあちらこちらから火の手が上がりはじめる………。
「ソ、ソフィアな、何をするきだ!や、止めるんだ!」
すっかり腰の引けたハルトが、ソフィアに声をかけるが、そんなモノはもう彼女には届いていないようだった。
そして、ソフィアの両手から稲妻の様な光が放たれ、ハルトとアリシアに襲いかかる!!
「サンダー!!」
眩い光にハルトとアリシアが包まれたかと思われた刹那、二人は炭となり、消えてなくなってしまう……。
目の前の二人を消し去ったソフィアは、正気を取り戻すこともなく、ふわりとその身を浮かせると、窓を突き破り、真っ直ぐにものすごい勢いで飛んでいく!!
そうして街へとやって来ると、聖地に集まったガイア王国中のカップルが唇を重ねる様子がソフィアの目に飛び込んでくる……
「私はこの聖なる夜に一人にされた…それなのに、こんな公衆の面前で見せつけてくるリア充ども……許さない!!!」
怒りで我を忘れたソフィアは街で『エリザベス』へと捧げるキスとはいえ、公衆の面前でイチャイチャする
リア充どもに✕印を刻印していくが如く、ハルト達同様にサンダーをお見舞いし、次々と消して行くのだった。
そうして街に繰り出していたリア充どもは、断末魔と焼け残ったその身だけを残し、街から一掃されて行く………。
あらかたのリア充を片付けたソフィアは肩で息をしながら、
「みなさん、お互いに思い人と一緒に消えて無くなることが出来て幸せでしょ?」
そう言うと大声で嗤う!
そんなソフィアの顔は、リア充への憎悪で般若と化し、その身を緑色の化け物に変え、赤い血の涙をながしていました。
そして、大地は消し炭となったリア充どもを雪の白で覆い隠していく………
エリザベス誕生から連なるガイア王国歴、2222年に起こったこの事件から、
神聖なる夜には、家の中で家族とひっそりと過ごすことが定められました。
そうして人々はこの事件の後は、街中でイチャイチャ
する事は無くなり、街中でリア充を自慢していると、
「サンダークロスが来るぞ!」
と恐れるようになりましたとさ……。
fin
そこは、ガイア王国の国教、『ザスベエリ教』の聖地である。
それは、教祖『エリザベス』が生誕した家をはじめとして、様々な逸話を残した場所とされているからであった。
今日は、そんなザスベエリ教の教祖、エリザベスが産まれた神聖日とされ、ガイア王国全土が祝日となっている。
教祖が産まれた聖地、ヴェール領は、朝から雪がしんしんと降り積もり、街を白く染めていく………
そんなヴェール侯爵の邸宅から物語がはじまる。
「まったく、いつもいつもお前はうるさいんだ、ソフィア!私が少し家を空けたかと思えば何処に行っていたの?だの、このお金は何処から用意したの?だの、お前は私の母親か?まったく飽き飽きする!いつもいつも下らない事ばかりで、もう沢山だ!お前との婚約は破棄をする!」
ヴェール公爵令息のハルトが、婚約者であるノワール侯爵令嬢のソフィアへそんな言葉を浴びせかける。
ソフィアはショックを受け、ワナワナと手と口を震わせながら、
「そんな、ハルト様!今夜は聖なる夜、街は教祖様の生誕を祝うカップルが溢れかえると言うこんな日に、その仕打ちは酷いです!」
今にも泣きそうな表情のソフィアに、ハルトは眉間にシワをよせ、語気を強めながら、
「は?知らん知らん!早く出ていけ!お前の顔など二度と見たくもない!この違約金でも持って実家にさっさと帰るんだな!」
ハルトはそう言って、金貨がドッサリと入った袋をソフィア目掛けて投げつける!!
「いっ、痛い!」
袋はソフィアの二の腕をかすめ、床へと散らばる……。
ソフィアは金貨には目もくれず、涙を流す………。
「そ、そんな…外は雪が降って居ますこんな寒空に放り出されては死んでしまいます!」
床にへたり込み、涙を流すソフィアに追い討ちをかけるように、ハルトは口角をあげ、嘲笑いながら、
「ん~。それも良いだろう?おい!アリシアはいないか?」
そう言って、隣の部屋へと声をかけるハルト。
すると、隣の部屋のドアが開かれ、艶やかな金髪をなびかせ、真下なドレスに身を包んだアリシアが入室してくる。
「はい、お呼びになりました?ハルト様。」
アリシアはソフィアを一瞥すると、微笑をしてハルトの腕のなかに収まる。
「ソフィア、これが私の新し婚約者だ!と言うわけでお前は用済みなんだ。理解したら早く出ていってくれないか?私達はこれから『エリザベス』様に捧げるキスをしなければならない……まぁ、最後に見せてやるのも悪くないか。」
そう言って、ハルトは高笑いをすると、ソフィアの目の前でアリシアの唇を奪う!!
そのキスは激しく、端からみているソフィアにも、舌をからませるのがよくわかるほどだった。
暫くの間、アリシアと唇を重ねたハルトはキスを終えると、ソフィアに向かって、
「さあソフィア、お前は邪魔だ!早く去れ!」
そう言って手をシッシッ!とまるで犬を追い払うかのようにソフィアに向けた。
「そ、そんな……ハルト様……そうですか、貴方という人は……。」
ブチンッ!と何かが切れる音が部屋に鳴り響き、ソフィアの怒りが頂点する。
すると、バチバチと部屋の中の金属から電流が走り、部屋のあちらこちらから火の手が上がりはじめる………。
「ソ、ソフィアな、何をするきだ!や、止めるんだ!」
すっかり腰の引けたハルトが、ソフィアに声をかけるが、そんなモノはもう彼女には届いていないようだった。
そして、ソフィアの両手から稲妻の様な光が放たれ、ハルトとアリシアに襲いかかる!!
「サンダー!!」
眩い光にハルトとアリシアが包まれたかと思われた刹那、二人は炭となり、消えてなくなってしまう……。
目の前の二人を消し去ったソフィアは、正気を取り戻すこともなく、ふわりとその身を浮かせると、窓を突き破り、真っ直ぐにものすごい勢いで飛んでいく!!
そうして街へとやって来ると、聖地に集まったガイア王国中のカップルが唇を重ねる様子がソフィアの目に飛び込んでくる……
「私はこの聖なる夜に一人にされた…それなのに、こんな公衆の面前で見せつけてくるリア充ども……許さない!!!」
怒りで我を忘れたソフィアは街で『エリザベス』へと捧げるキスとはいえ、公衆の面前でイチャイチャする
リア充どもに✕印を刻印していくが如く、ハルト達同様にサンダーをお見舞いし、次々と消して行くのだった。
そうして街に繰り出していたリア充どもは、断末魔と焼け残ったその身だけを残し、街から一掃されて行く………。
あらかたのリア充を片付けたソフィアは肩で息をしながら、
「みなさん、お互いに思い人と一緒に消えて無くなることが出来て幸せでしょ?」
そう言うと大声で嗤う!
そんなソフィアの顔は、リア充への憎悪で般若と化し、その身を緑色の化け物に変え、赤い血の涙をながしていました。
そして、大地は消し炭となったリア充どもを雪の白で覆い隠していく………
エリザベス誕生から連なるガイア王国歴、2222年に起こったこの事件から、
神聖なる夜には、家の中で家族とひっそりと過ごすことが定められました。
そうして人々はこの事件の後は、街中でイチャイチャ
する事は無くなり、街中でリア充を自慢していると、
「サンダークロスが来るぞ!」
と恐れるようになりましたとさ……。
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