21 / 71
『医学生』(SIDE 範田 庸介)
しおりを挟む
~~~~登場人物~~~~
♡範田 庸介(はんだ ようすけ) 38歳
真面目。仕事一筋で生きてきた呼吸器外科医。
恋愛に対しては、押しに弱い性格。
面倒見がよく、なんでも引き受けてしまうお人好し。
♡王寺 睦也(おうじ むつなり) 23歳
耳の下で真っ直ぐに切り揃えられたサラサラの黒髪。
目が大きくて睫毛が長い。肌がきれい。
よく女性と間違えられるが、中身は男らしいはっきりした性格。
細い身体だが、背はすらりと高い。ど近眼なので、普段はコンタクトを入れているが、学部内では大きな丸い黒縁のメガネをかけていることも。
学部の先生に範田を紹介されて以来、彼の虜になり猛アタックする。
♡成瀬 道影(なるせ みちかげ) 38歳
範田と同期の緩和ケア医。肩につく長さの黒髪。丸メガネ。
穏やかで達観した僧侶のような人物。
誰からも好かれ、顔が広い。
呼吸器外科の範田医師とは同期で仲が良い。
~~~~~~~~~~~
『医学生』(SIDE 範田 庸介)
僕は今まで至極真っ当に生きてきたと思う。
38歳になるまで、仕事一筋。
医学部に入るという目標を達成し、
医師になるという夢を叶え、治療と研究に明け暮れる日々を送ってきた。
医師になったらなったで、毎日たくさんの患者さんと向き合って、
日々がとてつもない速さで通り過ぎて行く。
気付いたら、38歳になっていた。
医師でいられるのはとても短い限られた時間だ。
約40年。
大学病院で医師として活躍できる期間。
その間に少しでも多くの患者さんの病気を治して、医師として自分に出来ること全てを成し遂げたい。
そう思って生きてきた。
「先生。俺じゃ・・・役不足なんでしょうか?」
「いや~・・そういうことじゃ、ないんだよなぁ。」
僕の車の助手席で、悩ましい表情を浮かべるのは、医者の卵。
医学生だ。
僕の大学の後輩で来年から研修医として、医師としての輝かしい一歩を踏み出そうという
未来ある学生だ。
僕の働く愛治医療センターは同じ敷地内に医学部の教育棟が併設している。
王寺 睦也とは、そこで出会った。
医学部でお世話になった先生に会いに行った時、呼吸器外科を目指している生徒がいると彼を紹介されたのだ。
女性のような細身の身体だけれど背がすらりと高く、どこか中性的な雰囲気を感じさせる男性だった。
サラサラのストレートヘアは耳の下あたりで綺麗に切りそろえられていて、彼が頷くたびに黒い艶を放って揺れる。
彼の繊細な見た目に、はっきりと物怖じせずに物発言する凛とした態度が、良いギャップとして僕の目に映った。
「範田先生のことが、好きなんです。」
彼のストレートな物言いに、押しに弱い僕はたじろぐばかりで、なかなか話が進まない。
睫毛が長くくっきりとした大きな彼の瞳。
真っ直ぐに見つめられると、ドキドキして思考がぼんやりしてしまう。
恋愛経験が無い僕じゃ、歯が立たない。
これほど率直に好きだと告白できる彼を尊敬する。
僕より15も年下だけれど、彼の方が何枚も上手だった。
「君はこれから研修医として忙しくなるし、恋愛なんて言っている場合じゃないんじゃないかな。」
「医者は恋愛出来ないってことですか?」
「いやぁ、そういうわけじゃ・・・ないんだけどね。」
確かに、その理屈はおかしい。
医者も恋愛するし、結婚もする。
恋愛が仕事の妨げになるという考え方は古いし、事実じゃない。
恋人が支えになることでさらに仕事を頑張れるという、良い効果が生まれることもあるだろう。
「尊敬できる恋人が、仕事の邪魔になるとは俺は思いません。」
「確かに・・・それはそうなんだけど・・」
「俺はあなたを尊敬しています。」
「そう言ってくれるのは嬉しいよ。だけどね、」
「だけど、何ですか?」
「えっと・・・」
俺は本当に押しに弱い。
15も年下の後輩に押されて、何も言い返すことが出来ない自分が心底情けなかった。
♢♢♢♢♢♢
「付き合ってみればいいじゃないか。」
「ちょっと成瀬、そんな簡単に言わないでくれよ。」
成瀬は同じ病院で緩和ケア医をしている、医学部の同期だ。
ランチタイムに時々食堂で会って話す、数少ない息抜きの相手。
彼は面倒見が良くて穏やかで、誰にでも好かれる男だ。
同じ年齢とは思えない。
達観した雰囲気が、一緒にいる人間の心を落ち着かせる。
無欲で物事に拘らない彼の生き方は、まるで僧侶みたいだと俺はいつも思う。
「ここまでお前に何度も言い寄るんだ、骨のある子じゃないか。」
「いや、そうなんだけど・・・」
「恋人が出来れば仕事と私生活のバランスも取れるんじゃないのか。適度な休息は仕事にとっても良いことだし、仕事だけが人生じゃない。お前の仕事一筋なところは好きだけど。」
彼はふっと優しい顔で笑った。
緩和ケア医の彼の言葉は、いつも僕の胸に突き刺さる。
彼の助言は大人しく聞いておくのがベストだと、経験からよくわかっていた。
15歳も年下の恋人。
「恋人」と意識してみると、急に気恥ずかしくなる。
若くて美しい聡明な医学生。
自分の意見をしっかりと持ち、どんな相手にも物怖じせずにはっきり発言する度胸。
彼が医者としてどう開花していくのか見てみたい。
そんな気持ちが心に芽生えていた。
♡範田 庸介(はんだ ようすけ) 38歳
真面目。仕事一筋で生きてきた呼吸器外科医。
恋愛に対しては、押しに弱い性格。
面倒見がよく、なんでも引き受けてしまうお人好し。
♡王寺 睦也(おうじ むつなり) 23歳
耳の下で真っ直ぐに切り揃えられたサラサラの黒髪。
目が大きくて睫毛が長い。肌がきれい。
よく女性と間違えられるが、中身は男らしいはっきりした性格。
細い身体だが、背はすらりと高い。ど近眼なので、普段はコンタクトを入れているが、学部内では大きな丸い黒縁のメガネをかけていることも。
学部の先生に範田を紹介されて以来、彼の虜になり猛アタックする。
♡成瀬 道影(なるせ みちかげ) 38歳
範田と同期の緩和ケア医。肩につく長さの黒髪。丸メガネ。
穏やかで達観した僧侶のような人物。
誰からも好かれ、顔が広い。
呼吸器外科の範田医師とは同期で仲が良い。
~~~~~~~~~~~
『医学生』(SIDE 範田 庸介)
僕は今まで至極真っ当に生きてきたと思う。
38歳になるまで、仕事一筋。
医学部に入るという目標を達成し、
医師になるという夢を叶え、治療と研究に明け暮れる日々を送ってきた。
医師になったらなったで、毎日たくさんの患者さんと向き合って、
日々がとてつもない速さで通り過ぎて行く。
気付いたら、38歳になっていた。
医師でいられるのはとても短い限られた時間だ。
約40年。
大学病院で医師として活躍できる期間。
その間に少しでも多くの患者さんの病気を治して、医師として自分に出来ること全てを成し遂げたい。
そう思って生きてきた。
「先生。俺じゃ・・・役不足なんでしょうか?」
「いや~・・そういうことじゃ、ないんだよなぁ。」
僕の車の助手席で、悩ましい表情を浮かべるのは、医者の卵。
医学生だ。
僕の大学の後輩で来年から研修医として、医師としての輝かしい一歩を踏み出そうという
未来ある学生だ。
僕の働く愛治医療センターは同じ敷地内に医学部の教育棟が併設している。
王寺 睦也とは、そこで出会った。
医学部でお世話になった先生に会いに行った時、呼吸器外科を目指している生徒がいると彼を紹介されたのだ。
女性のような細身の身体だけれど背がすらりと高く、どこか中性的な雰囲気を感じさせる男性だった。
サラサラのストレートヘアは耳の下あたりで綺麗に切りそろえられていて、彼が頷くたびに黒い艶を放って揺れる。
彼の繊細な見た目に、はっきりと物怖じせずに物発言する凛とした態度が、良いギャップとして僕の目に映った。
「範田先生のことが、好きなんです。」
彼のストレートな物言いに、押しに弱い僕はたじろぐばかりで、なかなか話が進まない。
睫毛が長くくっきりとした大きな彼の瞳。
真っ直ぐに見つめられると、ドキドキして思考がぼんやりしてしまう。
恋愛経験が無い僕じゃ、歯が立たない。
これほど率直に好きだと告白できる彼を尊敬する。
僕より15も年下だけれど、彼の方が何枚も上手だった。
「君はこれから研修医として忙しくなるし、恋愛なんて言っている場合じゃないんじゃないかな。」
「医者は恋愛出来ないってことですか?」
「いやぁ、そういうわけじゃ・・・ないんだけどね。」
確かに、その理屈はおかしい。
医者も恋愛するし、結婚もする。
恋愛が仕事の妨げになるという考え方は古いし、事実じゃない。
恋人が支えになることでさらに仕事を頑張れるという、良い効果が生まれることもあるだろう。
「尊敬できる恋人が、仕事の邪魔になるとは俺は思いません。」
「確かに・・・それはそうなんだけど・・」
「俺はあなたを尊敬しています。」
「そう言ってくれるのは嬉しいよ。だけどね、」
「だけど、何ですか?」
「えっと・・・」
俺は本当に押しに弱い。
15も年下の後輩に押されて、何も言い返すことが出来ない自分が心底情けなかった。
♢♢♢♢♢♢
「付き合ってみればいいじゃないか。」
「ちょっと成瀬、そんな簡単に言わないでくれよ。」
成瀬は同じ病院で緩和ケア医をしている、医学部の同期だ。
ランチタイムに時々食堂で会って話す、数少ない息抜きの相手。
彼は面倒見が良くて穏やかで、誰にでも好かれる男だ。
同じ年齢とは思えない。
達観した雰囲気が、一緒にいる人間の心を落ち着かせる。
無欲で物事に拘らない彼の生き方は、まるで僧侶みたいだと俺はいつも思う。
「ここまでお前に何度も言い寄るんだ、骨のある子じゃないか。」
「いや、そうなんだけど・・・」
「恋人が出来れば仕事と私生活のバランスも取れるんじゃないのか。適度な休息は仕事にとっても良いことだし、仕事だけが人生じゃない。お前の仕事一筋なところは好きだけど。」
彼はふっと優しい顔で笑った。
緩和ケア医の彼の言葉は、いつも僕の胸に突き刺さる。
彼の助言は大人しく聞いておくのがベストだと、経験からよくわかっていた。
15歳も年下の恋人。
「恋人」と意識してみると、急に気恥ずかしくなる。
若くて美しい聡明な医学生。
自分の意見をしっかりと持ち、どんな相手にも物怖じせずにはっきり発言する度胸。
彼が医者としてどう開花していくのか見てみたい。
そんな気持ちが心に芽生えていた。
1
あなたにおすすめの小説
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
朔望大学医学部付属病院/ White Dictator
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
White Dictator______通称:『白衣の独裁者』
<ホワイト・ディクテイター>
⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯
圧倒的な「実力」と「技術」で捩じ伏せ・現場を支配する凄腕たち。
___ ごく僅かな一瞬の隙も逃さない神手の集まり。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる