【※R-18】Doctors!

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『医学生』(SIDE 範田 庸介)

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~~~~登場人物~~~~


♡範田 庸介(はんだ ようすけ) 38歳

真面目。仕事一筋で生きてきた呼吸器外科医。
恋愛に対しては、押しに弱い性格。
面倒見がよく、なんでも引き受けてしまうお人好し。


♡王寺 睦也(おうじ むつなり) 23歳

耳の下で真っ直ぐに切り揃えられたサラサラの黒髪。
目が大きくて睫毛が長い。肌がきれい。
よく女性と間違えられるが、中身は男らしいはっきりした性格。
細い身体だが、背はすらりと高い。ど近眼なので、普段はコンタクトを入れているが、学部内では大きな丸い黒縁のメガネをかけていることも。
学部の先生に範田を紹介されて以来、彼の虜になり猛アタックする。




♡成瀬 道影(なるせ みちかげ) 38歳

範田と同期の緩和ケア医。肩につく長さの黒髪。丸メガネ。
穏やかで達観した僧侶のような人物。
誰からも好かれ、顔が広い。
呼吸器外科の範田医師とは同期で仲が良い。

~~~~~~~~~~~


『医学生』(SIDE 範田 庸介)


僕は今まで至極真っ当に生きてきたと思う。
38歳になるまで、仕事一筋。

医学部に入るという目標を達成し、
医師になるという夢を叶え、治療と研究に明け暮れる日々を送ってきた。

医師になったらなったで、毎日たくさんの患者さんと向き合って、
日々がとてつもない速さで通り過ぎて行く。

気付いたら、38歳になっていた。


医師でいられるのはとても短い限られた時間だ。
約40年。
大学病院で医師として活躍できる期間。

その間に少しでも多くの患者さんの病気を治して、医師として自分に出来ること全てを成し遂げたい。
そう思って生きてきた。


「先生。俺じゃ・・・役不足なんでしょうか?」

「いや~・・そういうことじゃ、ないんだよなぁ。」

僕の車の助手席で、悩ましい表情を浮かべるのは、医者の卵。
医学生だ。
僕の大学の後輩で来年から研修医として、医師としての輝かしい一歩を踏み出そうという
未来ある学生だ。

僕の働く愛治医療センターは同じ敷地内に医学部の教育棟が併設している。


王寺 睦也とは、そこで出会った。
医学部でお世話になった先生に会いに行った時、呼吸器外科を目指している生徒がいると彼を紹介されたのだ。

女性のような細身の身体だけれど背がすらりと高く、どこか中性的な雰囲気を感じさせる男性だった。
サラサラのストレートヘアは耳の下あたりで綺麗に切りそろえられていて、彼が頷くたびに黒い艶を放って揺れる。
彼の繊細な見た目に、はっきりと物怖じせずに物発言する凛とした態度が、良いギャップとして僕の目に映った。

「範田先生のことが、好きなんです。」

彼のストレートな物言いに、押しに弱い僕はたじろぐばかりで、なかなか話が進まない。
睫毛が長くくっきりとした大きな彼の瞳。
真っ直ぐに見つめられると、ドキドキして思考がぼんやりしてしまう。

恋愛経験が無い僕じゃ、歯が立たない。
これほど率直に好きだと告白できる彼を尊敬する。
僕より15も年下だけれど、彼の方が何枚も上手だった。

「君はこれから研修医として忙しくなるし、恋愛なんて言っている場合じゃないんじゃないかな。」

「医者は恋愛出来ないってことですか?」

「いやぁ、そういうわけじゃ・・・ないんだけどね。」

確かに、その理屈はおかしい。
医者も恋愛するし、結婚もする。
恋愛が仕事の妨げになるという考え方は古いし、事実じゃない。
恋人が支えになることでさらに仕事を頑張れるという、良い効果が生まれることもあるだろう。

「尊敬できる恋人が、仕事の邪魔になるとは俺は思いません。」

「確かに・・・それはそうなんだけど・・」

「俺はあなたを尊敬しています。」

「そう言ってくれるのは嬉しいよ。だけどね、」

「だけど、何ですか?」

「えっと・・・」

俺は本当に押しに弱い。
15も年下の後輩に押されて、何も言い返すことが出来ない自分が心底情けなかった。



♢♢♢♢♢♢




「付き合ってみればいいじゃないか。」

「ちょっと成瀬、そんな簡単に言わないでくれよ。」


成瀬は同じ病院で緩和ケア医をしている、医学部の同期だ。

ランチタイムに時々食堂で会って話す、数少ない息抜きの相手。

彼は面倒見が良くて穏やかで、誰にでも好かれる男だ。
同じ年齢とは思えない。
達観した雰囲気が、一緒にいる人間の心を落ち着かせる。
無欲で物事に拘らない彼の生き方は、まるで僧侶みたいだと俺はいつも思う。


「ここまでお前に何度も言い寄るんだ、骨のある子じゃないか。」

「いや、そうなんだけど・・・」

「恋人が出来れば仕事と私生活のバランスも取れるんじゃないのか。適度な休息は仕事にとっても良いことだし、仕事だけが人生じゃない。お前の仕事一筋なところは好きだけど。」

彼はふっと優しい顔で笑った。
緩和ケア医の彼の言葉は、いつも僕の胸に突き刺さる。

彼の助言は大人しく聞いておくのがベストだと、経験からよくわかっていた。


15歳も年下の恋人。
「恋人」と意識してみると、急に気恥ずかしくなる。

若くて美しい聡明な医学生。
自分の意見をしっかりと持ち、どんな相手にも物怖じせずにはっきり発言する度胸。

彼が医者としてどう開花していくのか見てみたい。
そんな気持ちが心に芽生えていた。


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