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黒艶髪の女
しおりを挟むミノアは長い黒髪を何度も何度も丁寧に梳かしている。
朝も夜もブラッシングを欠かさない。
髪は女の命、だからだ。
男という生き物は、長い髪の女に弱い。
色々な説があるけれど、ミノアは実感としてそう感じていた。
黒髪ロングの女はモテる。髪に天使の輪や、艶があれば尚更だ。
男だってそんなに単純な生き物じゃない、と思う人もいるかもしれない。
けれど、それがミノアがこれまで実戦で得てきた統計だった。
「ミノア~、仕事に遅れるよ。」
「そうね、そろそろ出かけるわ。」
時計を見ると、確かにそろそろ家を出ないといけない時間。
自慢の黒髪をなびかせて、大きな姿見でチェックする。
Gカップの胸がはち切れんばかりにタプンと揺れ動いた。
お気に入りのワンピース、ちょっと胸の部分が小さいのよね。
胸が窮屈でたまらないわ。
彼女はふぅと深く息を吐き出した。
えんじ色のワンピース。
スカートの裾がふわりと小さく膨らんだロング丈のもので、胸元から腕にかけては白の柔らかい素材で出来ている。えんじ色と白色が可愛らしくドッキングしているデザイン。
ふわりとしたスカートの裾から白のレースがチラチラ覗く。
「うーん、窮屈ね。」
両手のひらを使って、左右から自分の胸を押しつけてみても、もちろんサイズが小さくなるわけもなく、ただのエロいポーズをとっただけで終わってしまった。
「ミノア~、聞こえてる?」
寝室の大きな鏡に向かってエロポーズをとっていたミノアに、リビングからナディの声が響く。
「わかってる~、今行くわ。」
彼女は少し甘ったるい声を意識的に出しながら、そう答えた。
彼は、「ミノアの彼氏」、と言えば聞こえはいいが、いわゆる「ヒモ」というやつだ。
彼を庇うわけじゃないけれど、彼は使える「ヒモ」として彼女に重宝されている男だった。
一日中家の中に居てだらだらするだけの使えない「ヒモ」とは訳が違う。
彼女が仕事をして夕方帰宅するまでに、部屋の掃除、洗濯、夕飯の支度まで何でもこなせる使える男なのだ。
ミノアは彼の身だしなみにも充分な指導をしている。
ボサボサになりがちな癖っ毛をきれいに撫で付けて、毎日髭をきちんと剃る。
童顔の彼は、ミノアの弟だと名乗らせるのにちょうど良い顔つきだ。
一緒に歩いても恥ずかしくないように、身なりだけはきちんとするというのが当初からの約束だった。
「はいお弁当、忘れないでね。」
「今日も私のナディは完璧ね。私が帰ってくるまで、良い子にしていてね。」
お弁当の包みを差し出した彼を見て、
彼女は満面の笑みを浮かべてそれを受け取ると、彼の頬にキスをした。
ナディとはもう10年以上の付き合いになる。
もちろん男女の関係だ。
一緒に暮らし始めるようになってから5年。彼との生活は心地良く、この幸せがずっと続くことをミノアは祈っている。
外で戦える自分でいるために、本拠地というのはとても重要だ。
不倫をする男の気持ちが、ミノアにはよおく理解できる。
安心できる帰る場所がきちんとあるからこそ、男は外で心から浮気を楽しめる。遊ぶことが出来るのは、帰る家があるからだ。
黒のロングヘアには、天使のような艶。
日焼けしないように年中日傘をさして死守している、透き通るような白い肌。
印象的な大きな瞳。Gカップのたわわな胸に、きゅっと細く締まったウエスト。
胸の谷間や、太腿が見えるような下品な服は絶対NG。
わざと隠してその存在を男たちに意識させる。
いやらしいことがこの世界に存在するなんてことは、知りもしないようなかまとと顔で、清純を振りかざして街を歩く。
今日もミノアは完璧だった。
どこからどう見ても、「清純」な女性。
だが実際は、ミノアはどうしようもないビッチなのだ。
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