2 / 16
目覚め
しおりを挟むある朝目が覚めたら、私は最強のチートキャラに生まれ変わっていた。
「ルイス王子、おはようございます。」
目の前には世にも美しいイケメンが、早朝とは思えない爽やかさで微笑みを浮かべている。
「王子・・・だと?」
万年昇給無しのダメOL、35にして処女。BL大好き腐女子の私。だったはずが・・・
王子、だと・・・・?
自分の身体を見ると、明らかに長さの違うスラリと伸びた手足が生えている。
小さな1LDKのアパートで暮らしていたはずが、比べ物にならないほど大きな空間が目の前に広がっていた。
大人の男が10人は余裕で寝られるであろう、天蓋付きの大きなベッド。
天井は高く、バカでかいシャンデリアが光っている。おそらくここは「城」なのだろう。
無駄にキラキラとした装飾があしらわれた重そうなテーブルや椅子。
よほど寒い土地なのだろうと推測できる立派な暖炉の上には、イケメンの肖像画が飾ってある。
ベッドの奥の壁をふと見る。備え付けられている丸い鏡の中に、肖像画の人物がいた。
(肖像画・・・・?私・・・?!)
目を疑うほどのイケメンが、鏡の中で険しい表情を浮かべている。
金髪碧眼。「キラキラ」と効果音が鳴り出しそうなほどのイケメンだ。
(私・・・イケメンになってる・・ぅ・・?!)
「ルイス王子、朝からどうなされました?悪い夢でも見たのですか?」
色白、タレ目、黒目がち、な超絶イケメンがこちらを見下ろしてそう問うた。
(わ、、、私の好みど真ん中・・!黒髪、色白、タレ目のイケメン・・・・!)
「お前、名は何という?」
私は「王子」をイメージした口調で話しかけてみる。
「・・・・ルイス王子、頭でも打ったのですか・・?私はアルバート、あなたの側近です・・。」
アルバートと名乗るこの色男は、王子の側近らしい。
(側近って、何でも言うことを聞く部下って意味だよね・・・?)
いやらしい妄想を繰り広げていると、不審者を見るような怪訝な顔で見つめ返された。
♢♢♢
私はどうやらこの国の王子らしい。
目の前にずらりと整列したイケメンたちに、私は目がチカチカした。
眩いばかりのイケメンが勢揃い。
これは王子の趣味によって集められた精鋭たちだろうか?
身に覚えがないが、良い趣味してるよと自分を称えたい気持ちになった。
休日にカップラーメンを食べながらBLゲームをやっていたところまでは記憶がある。
パジャマの裾を踏んで転び、頭を打ったような記憶もぼんやりと思い出されてきた。
(私、死んだの・・・?)
まぁ、良い。転生なのか転移なのかわからないけれど、イケメンに囲まれて生活するイケメン王子に生まれ変われたのであれば万事OKだ。
王子ということは権力がある。権力があるということは、この城にいる男どもは皆、私の思うがままになるはずだ。
私はニヤニヤと怪しい笑みを浮かべながら、下から上まで舐め回すようにアルバートを見つめた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
81
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる