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元恋人 (SIDE ナオミ)
しおりを挟む水野という男のことをもっと知りたいと思っていた。
寂しさから逃れるためなのかもしれない。
そう思ったけれど、それでも構わないと思い直した。
私は忘れたかったのだ。
強烈な想いを私に残していった、かつて愛した男のことを。
彼はとても優しい人で、女の失恋話なんていう男性にとっては最もどうでも良い類の話に、丁寧にきちんと向き合って耳を傾けてくれた。
デートの最中、私がふとノアのことを思い出して悲しい気持ちになると、すぐに気付いて手を差し伸べてくれる。
私はノアの愛だけが欲しいのだと思っていたけれど、そうではないとわかってしまった。
私を愛して大切にしてくれる、寄り添ってくれる男性を欲しているのだと。
彼が仕事帰りに私の部屋に寄って、晩ご飯を一緒に食べる。
そんな日が、もう何日も続いていた。
「おやすみなさい。」
「俺の部屋で・・・飲みなおさないか?」
いつも通り部屋の前まで出て見送ると、彼が私の腕を掴んだ。
彼の部屋には、一度も入ったことがない。
突然の誘いだったのに、私の心は決まっていた。
「君が他の男を愛していることはわかっている。それでも俺は・・・君が好きだよ。」
彼の言葉に私の心は簡単に奪われてしまった。
「ん・・・っ・・・あ・・・」
久々の感覚に、身体が熱い。
胸の膨らみに触れられると、私はたまらず声を漏らした。
彼が、服を脱ぎ捨てる。
露わになった彼の身体に、傷があることに気付いて、私は急に不安になった。
ノアの身体にも、たくさんの傷があったのだ。
抱かれるたび、一体誰にどんな場面で付けられた傷なのかとても気になっていた。
それでも聞くことが出来なかったのは、彼に嫌われたくないという弱さからだろう。
急にノアの顔が思い浮かんで、身体が強張る。
別れたわけでもないのに、彼以外の男に抱かれるなんて、と急に気持ちが萎えてしまった。
「早急すぎたな。悪かった。」
彼はすぐに私の変化に気付いて途中で行為を辞めて、そのままベッドで長い時間ただ抱きしめてくれていた。
「ごめんなさい・・・」
私はただ謝るしか出来ず、彼の腕の中で深呼吸を繰り返す。
「思い出したのか?例の・・恋人のことを。」
「ええ・・・こんな失礼なこと、私・・本当にごめんなさい。」
普通の男性なら怒る場面だと思うが、彼は優しく私の話を聞いてくれた。
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私たちは不思議な関係だった。お互いのことを異性として意識しているのに、いつも話していることといえば、私の元恋人のことばかりだ。
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