ルームシェアしている幼馴染のイケメン2人に、言い寄られて困っています。

aika

文字の大きさ
10 / 28

婚約者

しおりを挟む

「展示会?」

「そう。出版業界の人もたくさんくるから、人脈広げるのに良いんじゃないかと思って。」

ネクタイをシュルリと外しながら、御影みかげがこちらを見る。
彼にじっと見つめられると、ドキンと胸が高鳴った。

どうしても、あの夜のことを思い出してしまう。


御影みかげの会社のシステム展示会。
出版業界の人が、たくさん出入りするらしい。
フリーのライターとしては、ありがたい提案だった。


「行っていいの?」

「もちろん。このパスがあれば、自由に出入りできるから。」

首から下げるタイプの、フリーパスを手渡される。


「え!ありがとう!」

「その代わり、」

やっぱり何か見返りを求められるのか、と身構える。
前にもこんなことがあった。


「俺の婚約者として、上司に紹介したいんだけど、良い?」

「えっ!?こ、こ、婚約者?!」


同棲していた彼氏に裏切られ、家を追い出された私にはまぶしすぎる言葉だ。


「上司からお見合いしろって迫られて困ってるんだ。婚約者がいるって断ったんだけど、嘘だってバレてたみたいで。」

「良いけど、大丈夫なの?相手が私で・・・」

彼のようなイケメンが、こんな干物女を婚約者として紹介するのは無理がないか?と、そんなことを真剣に考える自分が悲しい。


「真美が来てくれたら、助かる。」

ふっと優しく苦笑した御影に、見惚れてしまう。

御影の婚約者。
たとえ振りだけだとしても、気分が上がるのはどうしてだろう。



♢♢


「そんな嘘ついてまで、仕事が欲しいのかよ。」

その話を聞いた浅葱あさぎは、ずっとムスっとしていた。


「大人って、意味わかんねぇ。」

「でも御影がお見合いさせられるのも、困るでしょう。本人がその気がないのに、そういう上司ってしつこいんだよね。私も経験あるからわかる。」


「どうせ俺には、そんな経験ねぇよ。」

ふん、とそっぽを向いた浅葱は、明らかにふて腐れている。


「大人の世界は色々あるのよ。しがらみとか、そういうのが。」

「くだらねぇ。俺はそんなことに振り回される大人には、絶対ならねぇ。」

私を睨みつけた彼は、大きな声で言い捨てる。
純粋な彼の視線が、痛かった。


「お前って、御影のことすげぇ好きだよな。」

吐き捨てるようにそう言うと、浅葱は部屋に戻ってしまった。


♢♢♢


深夜のコーヒータイム。
御影がコーヒーを淹れて、私の部屋へやってきた。

彼が私の部屋に居ると、それだけでどうにも落ち着かない。


「婚約者なら、それらしく振る舞わないとね。」

「み、御影・・・?」

彼のスイッチは、突然入る。
私のベッドに腰掛けている彼は、私の腕を掴んで、自分の隣に移動させた。


「練習しようか。」

私の頬に、彼の長い指が触れる。
ゆっくりと、彼の顔が近づいてきて、唇が触れるか触れないかの位置で止まった。

(キ・・・キス・・・するの・・・?!しないの・・・!?)



「それとも・・・既成事実を作って、本当に俺の婚約者になるのはどう?」

(き、既成事実って・・・!?最高に魅力的な言葉・・・!!!)


ぐらりときて、思わずうんと頷いてしまいそうになる。
婚約、結婚。そういう言葉に弱いお年頃なのだ。


彼の吐息が、私の唇にかかる。

「・・ほら、やってみて?」

(れ、練習って・・・どうやれば良いの・・・?!)


涼しい顔で無茶振りしてくる彼は、この状況を心底楽しんでいるに違いない。


「み、御影さん、私以外の女性に、色目使ったら許さないから。」


(どこの世界の婚約者だよ・・・・)

やっている自分が、恥ずかしくなる。


「馬鹿だな、お前は。俺が、お前以外の女に興味なんて持つわけないだろ?」

恥ずかしげもなくやってのけた目の前の色男。
極上の笑顔に、私は簡単に心を鷲掴みされてしまった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに

家紋武範
恋愛
 となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。  ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

処理中です...