【※R-18】異世界のゲートをくぐり抜けたら、イケメン達に取り合いされる最強のチートキャラ人生が待っていた。

グレイ

アーサーは昔、ヴィラン側の人間だった。
レオの能力で、獣人に変えられたのだという。

昔の仲間であるヴァイスに、レオの熱病が治った経緯について、ざっと説明する。


「この女が例の・・・救世主なのか？」

（この女呼ばわり最高・・・っ！！ヴァイスって本当にイケメン・・・身体も鍛え上げられてて・・・）

一目惚れした相手に出会えたことが嬉しくて、私はヴァイスを下から上まで舐め回すよう見つめた。
イケメンに乱暴な口調で扱われるという美味しいイベントを、心から味わい尽くす。


カツン、カツン、と足音を響かせながら、誰かが近づいてくる気配がした。
音の方に目をやると、アーサーとヴァイスが同時にその人物の名を呼んだ。

「「グレイ、」」

ワイングラスを片手に現れた男は、これまた信じられないほどの色男だった。


「君が救世主？へぇ。思ったより普通の子だね。」

この世界に来て、初めて嫌味を言われた。
傷付くより先に、彼の美しさに見惚れてしまう。


透き通るような白い肌、ブラウンの瞳。
スラリと長い手足、小さな顔。
バランスのとれたスタイルで、ブーツの音を響かせ、モデルのように歩く。

中世ヨーロッパの王子様、と言われたら誰もが信じるだろう。
大人の男の色気を身に纏った、ハンサム。
ベージュのウェーブヘアが、彼のセクシーさを一層際立たせている。


「グレイ、お前に姫の魅力を理解できるはずがない。下がれ、無礼者。」

アダム王子が豪勢な羽織の中に私を隠すように抱きしめ、声を荒げた。

グレイはワイングラスを豪勢な台の上に置くと、深々とお辞儀をする。
彼の一挙一投足は全て、演技がかっており美しい。

「これはこれは王子、失礼いたしました。」

（なんだか不穏な空気・・・さすがヴィラン・・・早速仲間割れ・・・？）

「寝室の準備が整っております。さぁ、どうぞアダム王子、お姫様。」

彼は美しくも怪しい笑みをニヤリと浮かべながら、奥の部屋へ向けて手のひらを差し出した。