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任務完了
しおりを挟む翌日、仕事だというオースティンを屋敷から送り出し、シャワーを浴びて部屋に戻ると東城がベッドに座っていた。
「ルイ君。」
(こいつはどの面下げて・・・っ・・)
彼の顔を見た途端、ルイは怒りでいっぱいになった。
バーでミゲルという男の部屋に消えたきり、一晩どこで何をしていたのか。
ルイはコントロールできず体内で暴れまわる怒りを、彼にぶつける。
「今更何しに来たんだよ・・・!」
「任務が完了した。ここを出よう。迎えに来たんだ。」
「はぁ?!お前がミゲルにディープキスして任務完了?!意味・・わかんねぇ・・・!」
「ルイ君、」
ルイの言葉を遮ろうとした東城の言葉を無視して、怒りをぶちまける。
「・・東城・・・あの男の部屋で何してたんだ・・?・・せ、セックス・・・でも、楽しんでたのかよ・・?」
聞くのが怖い。
(こんな最低男・・。もう無視して一生口を聞かなくてもいいくらい、ひどいことをされたと思っているのに・・どうして俺は・・・)
「あれは俺の弟だ。」
「・・・はぁ?!」
(え!?お、弟・・・!?)
「キスしていたのは、俺の双子の弟だ。まさかルイ君・・・気づいてなかった訳じゃないよな?」
「へ?!え、あ?!ど、どういう・・・?」
「俺の双子の弟の蓮二。弟は同じ組織に所属していて、あのミゲルと名乗っている男を追っていたんだ。」
「え・・・?!え~?!お前・・・まさか俺を騙そうとしてる訳じゃないよな・・?」
(あれが弟だって?!いや、どう見ても東城脩二そのものでしたけどぉ!?ってか、こんなイケメンがこの世に二人もいてたまるか・・・!!)
「ルイ君・・・俺が君の前で他の男とキスする訳ないだろう?まさか、本気で蓮二を俺だと思い込んでいたのか・・・?」
(そ、そんな顔で見られても・・・こっちはお前は世界に一人しかいないと思ってるんだから・・・仕方ないだろ?!そ、そんな目で見るなよ・・・っ)
ルイはいたたまれない気持ちになりながらも、怒りがまだおさまらず続ける。
「じゃあお前はどこにいたんだよ!!」
「同じ顔の男が二人同時に出ていくわけにいかないだろう。ミゲルがバーに向かっているという情報が入ったんで、急遽弟が俺の代わりにバーに出勤することになった。」
「な・・なんで先に俺に言わないんだよ?弟が追ってるやつだって言えば良かっただろ?!」
「君がバーに出勤した後にわかったんだ。この前のハッキングで組織がセキュリティを強化したんで、声紋認証に少々手間取ってな。」
「いや、普通に組織通して依頼すりゃ良いだろうが!」
「組織の融通の効かなさは君もよく知っているだろう。数ヶ月前にトップが変わってから色々と面倒なことになっている。この話は後日ゆっくり君に説明するよ。」
確かに、組織に変革をもたらした現トップについては、ルイも気になっていた。
組織内に怪しい動きがあることも事実。東城はさすがに気付いて先に動いていたようだ。
「ミゲルと名乗っていた男は、手広く悪事を働いているらしくてね。顔は整形を繰り返していて毎回違う顔になり、逃げるのが得意。かなりのキレ者で組織も手を焼いている人物だそうだ。」
「で・・・捕まったのか?」
「俺の弟が泳がせてさらに情報を得たいそうで、交代することになった。元々窃盗で追っていた犯罪者で、美術品専門だそうだ。麻薬の出どころもチームが合流して調査すると言っていたよ。」
「な・・・そうだったのか・・・。」
拍子抜けする。ミゲルがどうこうというよりも、東城に裏切られた訳じゃなかったという事実に。
「俺たちは戦線離脱、後は弟のチームに任せることになった。」
(なんだ・・・・俺、裏切られた訳じゃなかったのか・・・)
「それにしても、ルイ君が俺と弟の見分けもつかないとは・・・」
「だ、、だって、こんな色男二人もいるなんて思わないだろ!普通!!!」
(あ・・つい本心が・・・・)
ルイは慌てて自分の口を塞ぐ。
東城はルイの腕を引き、ベッドへ押し倒した。
(まずい・・・この顔は・・・)
「ルイ君が俺を色男だと思っていたなんて、初めて聞いたよ。」
(誰が見たってお前は色男なんだよ・・・!馬鹿か?!こいつ・・・・)
「いや、だからそれは・・・・」
「俺と蓮二の見分けがつかないなんて・・・君にはもっと深く俺を知ってもらう必要があるみたいだな。」
(やっぱり・・・?!そういう流れになるよな・・・・!)
この後めちゃくちゃ抱かれた俺は、悔しいけれど東城の色男ぶりにメロメロにされてしまった。
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