80 / 217
『お仕置き』
しおりを挟むお風呂に直行するという譲と彗とは廊下で分かれ、自室に戻ろうと歩き出すと、前を歩いていた綾人の部屋に、突然引き込まれた。
「どうして俺が引き留めたのか、わかるよね?」
バタンと、扉が閉まり、壁ドンされる。
一瞬目があっただけで、怖い、と身構えるほどの迫力に、驚いた私は動けなかった。
綾人の視線がひどく冷たい。
彼が怒っているのだと、肌でビリビリと感じる。身動きできない。
「あ・・・あの、綾人さん・・・・?」
夫だというのに、彼のことを何も知らない。
こんな表情を見るのは初めてで、どうしたら良いかわからず慌てる。
「さっきのアレ、何?手、繋いでたよね。」
衝撃に、身体が大きく震えた。
テーブルの下で、譲と手を繋いでいたことに、彼は気付いていたのだ。
(綾人さん・・・気づいてたんだ・・・・どうしよう・・・っ)
「俺のこと、ナメてる?」
普段とはまるで別人のような、彼の視線。
責め立てるような口調。
冷や汗が出て、一気に身体が冷えていった。
「俺のこと、ナメてんの?それとも、挑発してるとか?」
私を睨みつけながら、彼はスーツのジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを緩める。
どうしよう・・そんな言葉しか、頭に浮かばなかった。
彼が怒っているのを、初めて見る。
いつもどれだけ優しく接してくれていたのかと、彼の冷たい視線を浴びながら、痛感した。
「夫の目の前で、夫以外の男に触れるって、どういうことかわかるよね?」
「ご・・ごめんなさい・・・」
「夫の俺を差し置いて、他の男に手を握らせるような、ふしだらな女だったんだ?」
「綾人さん・・・っ・・・」
至近距離に迫る彼の顔を、まともに見ることが出来ない。
王子様という言葉がぴったりなイケメン夫が、見知らぬドSな表情を浮かべて立っていた。
(ど・・どうしよう・・・綾人さん・・・怒った顔もかっこいい・・・・!)
まるで場違いな、呑気なセリフを吐きながら、私の頭はフリーズした。
「お前にはガッカリだよ。」
シュルリとネクタイを引き抜いた彼が、私をベッドに乱暴に押し倒した。
噛み付くような、激しいキス。
(お前呼び・・・か、かっこ良すぎ・・・・♡)
反省すべき状況なのに、目の前の夫のかっこよさに、見惚れてしまう。
「ごめんね、繭。俺、知らなかったよ。自分がこんなに嫉妬深い男だったなんて。」
声を荒げているわけではないのに、恐怖を感じる静かな声。
嘲るように、彼は続ける。
「めちゃくちゃに抱くから覚悟して。俺は繭の夫なんだから、いいよね?」
普段あまり本心を見せない綾人の、剥き出しの感情。
「たっぷりお仕置きしてあげるよ。」
引きちぎるようにブラウスの胸をはだけさせた彼の顔を見ながら、私は自分が興奮しているのを他人事のように傍観していた。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる