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『惚れた男』
しおりを挟む「いや・・リストにあるね。その男。」
「え・・・?リストにあるの?恐るべし・・・志方 凌・・・」
PCに向かっていた慶斗が振り返って、こちらを見る。
愛と私は、驚いて顔を見合わせた。
「で?どんな男なの、その・・志方 凌って。」
慶斗は満面の笑みでこちらを見ているが、目が全然笑っていない。
「繭がプロポーズしたいくらい・・・惚れた男なんでしょ?」
「いや・・あの・・・それは・・・」
夫の美しい笑顔に、私の身体は一瞬で凍りつく。
(慶斗さん・・怒ってる・・・怖い・・・・!)
「慶斗さん、これは他のみんなには内緒にしてもらえない?明光さんとか真琴が来た時みたいな感じで、普通に新しい夫として引っ越してくるって流れだと助かるんだけど。」
「愛、それは・・・どういう意味かな?」
慶斗は完全に怒っている。彼は一見誰より理性的に見えるけれど、実は相当嫉妬深い。
「繭がプロポーズしたいくらい好き、っていう部分は誰にも出さないでほしいって意味だけど。」
淡々と答える愛に、慶斗はさらに威圧的な微笑みで返した。
(愛ちゃん・・・お願いだから、慶斗さんをこれ以上煽らないで・・・・)
「俺を買収する気?高くつくよ?」
お互い一歩も引かず、見つめ合うイケメン二人。
「それは、繭が身体で払うから、大丈夫。」
「え?!え・・・愛ちゃん・・・・」
「そう言うことなら・・・相手の男の同意が得られたら、手続きは俺が進めるよ。この書類にサインしてもらって。」
慶斗はプリントアウトした書類をトントン、と揃えてまとめると、茶封筒に入れて手渡す。
「あ・・ありがとうございます。」
「繭、この後早速身体で払ってもらえるかな?」
「うわ、露骨。慶斗さんこわ。」
「愛・・君が提示した代償だよね。」
「じゃ、俺は退散するね。」
繭がんばれ~!と小声で合図しながら、愛は部屋の外へ出て行った。
♢♢♢
「手に入らないと思うから、欲しくなる。ただそれだけのことでしょ。」
慶斗が静かな声で、そう言った。
怒りと呆れと、嫉妬が混じり合った低い声。
「慶斗さん、」
「俺たち夫は立場が弱いから、繭のすることにいちいち口出しはできないけど、」
「そんなふうに・・・言わないでください。」
「俺の愛情は・・・誰にも負けてないよ。それに・・・誰より独占欲が強いってこと・・・もうわかってるよね?」
「慶斗・・さ・・・」
「俺を嫉妬させた責任は、ちゃんと取ってもらうよ?」
(慶斗さんが嫉妬してくれるの久しぶり・・・今夜は眠れなさそう・・・・♡)
嫉妬に我を失った夫の愛情を、私は一晩中味わされることになった。
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