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『綾人と彗』
しおりを挟むダイキは元軍人で、綾人と同じ部隊に所属していたが、上部の人間と揉めて軍を退くことになった。
地上の生き残りリストに彼の名前があったことで、よからぬ誤解や不運が重なり反乱分子とみなされたらしい。
「随分強引なこじつけですね。」
話せばすぐに良い人たちとわかるのに。
子どもみたいに単純な感想を述べた私に、綾人と彗は苦笑してみせた。
「政府も秩序を保つことに必死なのさ。こんな世界だからね。ちょっとしたバランスの変化で暴動や略奪、治安が一気に悪化することもあり得る。」
「地下で生きる術を得ているのは奇跡みたいなことなんですよ。いつ誰が侵入してきて、世界を乗っ取られるかも分かりませんから。」
政府の特殊機関で働く2人の夫は、毎日こんな危険な仕事と向き合っていたのか。
何も知らずのほほんと暮らしていた自分が恥ずかしい。
反乱分子とみなされている彼らが地下で暮らす権利を得るためには、私と結婚するだけでは足りないらしい。
私の子どもを妊娠すれば、譲と同じように夫として籍を持つことが出来るのではないかというのが、夫2人の見解だった。
人類滅亡の危機にさらされたこの世界では、妊娠出産が一番強いカードとなる。
「まぁ繭は安心して、俺たちに任せておきなよ。」
綾人が私の肩を抱き寄せて、額に優しくキスをした。
元スパイの夫、彗も私の目を見てニコリと微笑む。
「うちの組織は穴だらけですし、簡単ですよ。弱みも握っていますしね。」
「こわ。彗、怒ってんの?俺が繭といちゃついてるから。」
「怒ってなんていませんよ?」
「いや、絶対怒ってるじゃん。彗ってそんなに嫉妬深いキャラだっけ。」
(綾人さんと彗さんってこんなに仲良いんだ・・♡)
同じ職場で働くイケメン2人の掛け合いを初めて目の当たりにする私は、ときめきまくっていた。
「繭さんは僕の妻でもあるわけですから、度が過ぎれば当然嫉妬しますよ。」
(彗さんが嫉妬してくれるの・・・♡うわ~嬉しい・・・・!!)
「じゃあ、彗もいちゃつけばいいじゃん。」
綾人の挑発に、笑顔で対応する彗。
「ではお言葉に甘えて、」
私の肩を抱く綾人をそのままに、彗が私の腰を引き寄せ唇を重ねる。
「ん・・・っ・・・彗さ・・・ん・・・ッ」
より深く舌を絡められ、一気に身体が熱くなった。
「やってくれるじゃん・・・彗、」
怒りのスイッチが入った綾人と、余裕の笑みを浮かべる彗は、私を挟んでいつまでも睨み合っていた。
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