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第1話 『ボーイズラブCD』
しおりを挟む「先輩・・っ、そんなにイジメちゃ・・・ヤダァ・・・っ」
「もう降参か?・・じゃあいつもみたいに・・おねだりしてみろよ。」
「や・・っ、あ・・ッ・・・そこ、やだぁ・・先輩・・っ」
「う~ん、なんか違うんだよな。」
監督からストップがかかって、進藤 真白はうんざりした気持ちになった。
うんざりというのはもちろん監督に対してじゃなくて、自分自身の演技の未熟さにだ。
声優になって早数年。
最近ようやくきちんと名前がある役を貰えるようになった真白は、隣のマイク前に立つ相手役、暁 リョウの顔を見た。
ボーイズラブのドラマCD。
真白と同じ事務所に所属しておりスクールの3期上の先輩である暁は、今をときめく超売れっ子声優だ。
暁リョウの「いつもは優しいけどベッドでは豹変する鬼畜の先輩」X進藤 真白の「いつもはうるさいくらい元気いっぱいだけどエッチの時は従順で恥ずかしがり屋になる可愛い後輩」、っていうカップリングがウケて、シリーズ化が決定した。
今は第2弾の収録の真っ最中だった。
「今日はすみませんでした、暁先輩。」
「気にするな。BLの収録って難しいから、最初は戸惑うことが多いよね。」
スタジオ近くのレストランで反省会。
暁と真白はボーイズラブCDの内容と同じ、先輩後輩の関係だ。
真白は同じスクール出身で、3期上の暁を尊敬し慕っている。
「暁 リョウ」と言えば声優に詳しくない人でも知っているくらいの知名度で、事務所の中でもずば抜けて売れている若手声優。どんな役もこなす超演技派としてあちこちから引っ張りだこだ。
アニメやCD、海外ドラマなどの声の仕事はもちろん、ルックスの良さから舞台や映像作品にも数多く出演している。
黒艶が美しいサラサラの髪、男らしい肩幅、筋肉質だけれど長身で手足が長いのですらりとスマートに見える。
普段は縁のあるおしゃれメガネをかけており、スタイリストがついているのかと思うほど普段の服装もセンスが良い。
(ずるいよなぁ。なんでも持ち合わせてる人っているんだ。)
真白は暁を見るたびにいつもそう思った。
憧れの先輩ではあるけれど、3期しか離れていないので彼と居ると自分の能力の無さを痛感する。
(俺なんてチビだし、グズだし、30過ぎてまだ可愛いとか言われる顔なのに・・・)
「真白はさ、そういう素直なところがいいよね。」
ワインを飲む仕草も恐ろしく様になる。
グラスを片手に、暁は真剣な眼差しで真白を見た。
「素直・・ですかぁ?」
「素直だよ。落ち込んでるところとか、悔しがってるところを俺に見せてる。」
「それは、暁先輩だからで。誰にでも見せるってわけじゃないし。」
「俺、だから?」
(ヤバイ。暁先輩、相当酔いが回ってきてる・・・)
真白が見つけた暁の唯一の弱点は、お酒に弱いことだった。
一緒に飲んでいると口説きモードに入る。暁は真白に目をかけてとても可愛がっているのだが、酔うと途端にファンの女の子たちが卒倒しそうな「囁きエロボイス」で迫ってくる。
「なぁ、真白。これからお前の家で、ボーイズラブCDの稽古つけてやるよ。」
「えぇ・・?いや、暁先輩、もう結構酔ってるんじゃないっすか?」
暁は会計のカードを手に取り立ち上がると、低くて深みのあるエロボイスで「大丈夫。」と耳打ちした。
(いや・・ほんっと・・声が・・・エロイ・・・んだけど!!)
上機嫌で会計へ向かう先輩の後を、真白は真っ赤な顔で慌てて追いかける羽目になった。
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