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恋人は霊能力者 ③
しおりを挟む取り憑かれていようがなんだろうが浮気はやっぱり許せない。
しかも俺の親友と。幽霊のせいにして片付く話じゃないだろう。
「池野は霊能者としてはまだ未熟だから、祓う霊によっては逆に取り憑かれるってこともあるんだよ。」
「はぁ。もう俺には関係ない人なんでどうでもいいですけど。この部屋にいる幽霊はなんとかしてください。」
思い出しただけで腹が立つ。
「君は幽霊に心当たりないのかな?」
「あ、るわけないでしょう。俺、霊感ゼロですよ。」
「君の彼氏に取り憑いていた幽霊、君の友達みたいなんだけど・・・知らない?」
「・・・・・はぁ?」
イケメンだからって理由で部屋に人をあげると本当にロクなことがない。
やっぱり本物の霊能力者なんていないんだ。少なくともイケメンの霊能力者はダメだ。
「篠原君って子、知らないかな・・・?」
俺は目の前のイケメンを見ながら絶句した。
「篠原はもう友達じゃないし、幽霊じゃなくて彼の浮気相手です。彼に何言われたか知りませんけど、からかうのはやめてもらっていいですか?」
「いやその篠原君、幽霊なんだけど。」
「はぁ?大学の同じ学部のやつですよ?」
「大学にはもう確認をとったんだ。彼は5年前にあの大学に通っていた生徒で、もう死んでる。」
「・・・・・・はぁ?!」
♢♢♢
「だから、浮気なんかしてないって言っただろ。」
「うん・・・。ごめんなさい。」
俺の部屋には未熟な霊能力者の彼氏が帰ってきた。
久々にベッドの上で戯れる。
「篠原と会ってただろ!って問い詰めた時、篠原なんて知らないって言い出したから俺心底腹立ってさぁ。何とぼけてんの!?信じらんねぇ!!ってついカッとなって・・・・殴ってごめんなさい。」
彼氏は篠原のことを「時々俺に憑いて現れる幽霊」としか認識していなかったらしい。
「俺の霊能力が未熟だったせいだから、仕方ない。悪かった。」
「俺の彼氏はイケメンすぎて幽霊にまで惚れられちゃうんだから、参るよなぁ。」
「精進します。お前に霊感があったっていうのは驚いたけど。」
「え?俺に霊感?」
「だってそうだろ。幽霊と話したり友達にまでなったんだから。お前の方がよっぽど霊感強いんじゃないか・・?」
「え・・・・そういうのいらないんだけど・・・」
急に背筋が冷たくなる。打ち消すように、目の前のイケメンにキスをした。
俺が彼氏のイケメン上司にスカウトされて同じ職場で働き始めるようになるのは、それから3ヶ月後の話。
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