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♢『成熟した恋心』(SIDE 美那 弥一)

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~~~~登場人物~~~~



♢美那 弥一(みな やいち) 45歳


ヘアサロンを30店舗経営している美容師。
屋敷、亜弥、元就の同級生。「みな」と呼ばれている。
がっしりとした筋肉質な体に、ウェーブのかかった長い黒髪を一本にまとめている。
プロレスラーみたい、とよく言われる。セクシーなガテン系。
面倒見が良い。男気があり、社員、後輩にも慕われている。



♢幸田 創生(さきた そうせい)45歳

屋敷、亜弥、元就の小学校の同級生。45歳には見えない年齢不詳の男。
出生の謎がある、どこかの国のハーフらしく、そのせいなのか、体質なのか髪は子供の頃から白髪。
ふわりとした綿飴のような髪型。ふわりとした重めの前髪。ボブヘア。
童顔でいまだに学生に間違われることもあるほど。
航空会社の制服を手がけるデザイナー。




~~~~~~~~~~



♢『成熟した恋心』(SIDE 美那 弥一)




創生と出会ったのは、小学校4年生の春のことだ。


転校生として教師に紹介された彼を見た時、俺はビビッときてしまった。


運命、と言うには大袈裟なのかもしれないが、

彼が自分の人生において、とても重要な登場人物になるということを、本能で感じたのだ。




小学生の俺が感じた予感は、ほとんど当たっていたと言っていい。


俺の隣には今も彼が居て、きっとこれからもずっと側にいる。




創生は何もかもが特別だった。

ふわりとした白髪、中性的な顔立ち、くっきりとした厚みのある二重の大きな瞳。

彼は出生の謎を抱えている。
生まれてすぐ母親が亡くなり、父親はわからない。

生まれた時から髪は真っ白だったそうだ。

綺麗な青い瞳。日本人離れした顔立ち。真っ白な肌の色。



40代になった今も、年齢不詳の幼い顔立ちは変わらない。

童顔過ぎていまだに学生に間違われることがあるほどだった。



彼のふわりとした綿飴のような髪。

小学生の俺は、彼の存在に衝撃を受けた。

一目惚れ、という言葉もまだ知らない子どもだった俺は、創生に心を奪われてしまった。




彼が自分に笑いかけるだけで、世界の全てがこの瞬間を祝福してくれていると、そう感じる。


彼が笑ってそこに居てくれさえすれば、俺の人生はそれで良かったと全て肯定することができる。


俺はあの瞬間からずっと、彼に夢中だ。





美容師を志したのは、創生の髪に触れたいという単純な願望を叶えるためだ。


彼の綺麗な髪に、触りたいといつも思っていた。

彼は周りと違う自分の髪にコンプレックスを抱えていた。


こんなに綺麗な髪なのに。


そう思いながらも、触れる勇気がなかった少年時代。



美容師になれば、堂々と彼の美しい髪に触れることが出来る。

そんなふうに思ったのだ。



現在の俺は美容師になるという夢を叶え、30店舗の美容室を抱える経営者になった。


そんな今でさえ、彼の髪を切ったことはない。

創世は、恥ずかしいからと未だに髪を切る許可をくれないのだった。


彼が眠っている時にだけ、俺はこっそりと彼の髪に触れる。


創生の髪を切るのが夢だ。





創生はデザイナーを生業としている。

最近は航空会社の制服を手掛けて脚光を浴び、仕事も増えた。


彼はロングスリーパーで、起きている時も眠そうにぼんやりしていることが多い。

アーティストというものは元来変わった人間が多いとは聞くが、まさにそんな感じだ。


ふわーっとした口調でのんびり喋る。動きもスローペース。

服のデザイナーだというのに、自分が着る服にはあまり興味がなく、
オーバーサイズのニットばかりを好んで着ている。



彼の全てが愛おしくて、まさに目に入れても痛くないという状態だ。

いつでも側にいて、マイペースな彼の面倒を見ていたいし、頼られることに生きがいを感じている。


俺は創生にベタ惚れなのだった。





彼とはいつも一緒にいる。


居心地がよく、一緒にいるのが当たり前になっている。


周りから見ると、相思相愛に見えるらしいが、

当の俺たち二人は恋愛の話など一度もしたことがないほどに色気の無い間柄だし、

友人の域をなかなか脱することができない。



「俺は好きなんだけどな・・・」


「ん~?美那、なんか言った?」



俺の家でお気に入りの大きなビーズクッションにもたれかかっていた創生は、

目を擦りながら眠そうにこちらを見た。



「いや、なんでもない。」


「美那、こっち来て。」



おいでおいで、と手招きする彼のそばに行くと、

思い切り抱きつかれた。


俺は、小柄な彼とは正反対の、筋肉質でがっしりとした大きな体。

プロレスラーみたい、と彼は無邪気に笑いながら、いつも俺の胸を揉む。

胸板の厚さは美容師にはあまり必要ないのだが、

学生時代にアメフトをやっていた名残で今も筋トレは欠かさず毎日やっている。



俺の胸に顔を埋めた彼は、再び眠りの世界へ落ちてしまいそうだ。


「美那といるとなんだか眠くなる・・・」


彼はお決まりの台詞を口にしながら、目を閉じた。





彼に抱きつかれると、身体が素直に反応してしまいそうでヒヤヒヤする。


俺は多分一生、創生のことを愛していくのだろう。



大事すぎて、彼とどうこうなろうなんてことは、考えるのも怖かった。


ただそばにいることが全てで、関係に名前をつけることに意味はないと、そう自分に言い聞かせてきた。



それは逃げだと、この前同級生の亜弥と飲んだ時に指摘された。


俺と同じようにずっと同級生の元就に片思いしていた彼が、
最近一線を越えて、恋人同士になったと聞かされた時は衝撃を受けた。


変わらない関係、という安全地帯に居座っている自分が情けなく思えたから。

置いていかれたような、焦りみたいなものを一瞬感じたのだ。





眠っている創生の頭を撫でる。


この瞬間はやはりたまらなく俺を幸せにしてくれる。


彼が同じように俺を大切に思ってくれていることが、一緒にいると伝わってくる。


自分の人生の登場人物として、創生がそばにいてくれるという事実だけで、俺はいつも胸がいっぱいだった。






♢♢♢♢♢♢♢♢♢



「亜弥と元就が・・・そうなんだ。」


二人が恋人同士になったと告げると、彼はあまり興味がなさそうに、そう答えた。


眠そうな表情で、朝食のサラダを食べ続ける。



「美那、トースト焦げてる。」


創生の反応が気になってそちらばかり見ていたら、

オーブントースターの中の食パンが、こんがりを通り越して真っ黒になってしまった。



「俺たちも、恋人同士になる?」



創生が真顔で突然そんなことを言うので、

俺は飲みかけのコーヒーを思い切り吹き出してしまった。



「あはは、美那、驚き過ぎ。」



慌てる俺を見て、彼は大笑いしている。



創生と恋人同士・・・・



想像すると幸せすぎて思わず鼻血がでそうになった。



恋人同士ということは、彼の髪にも肌にも自由に触れることができる・・・




そういう意味で彼に触れると想像しただけで身体が反応してしまうほど、


俺の創生への思いは成熟しきっていた。





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