幼なじみの第二王子(女装)に甘く迫られています♥

ととりとわ

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第10話 おてんばなヒーロー

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「エレイナ!」

 踏み込んできた途端、アデルは美しい顔を怒りの色に染めた。ものすごいスピードで彼女が走ってきたかと思うと、次の瞬間には、上から覆いかぶさっていたはずのスタンフィルが姿を消していた。
 突然身体が軽くなって、何が起きたのか分からないまま、エレイナは長椅子から飛び降りた。恐る恐る回り込んでみると、椅子の裏側で婚約者が伸びている。

「ア、アデル様!?」

 どうやら彼女は、スタンフィルに飛び蹴りを食わらせたらしい。それで、彼女もろとも長椅子の向こう側に吹き飛ばされたのだ。

「遅くなってごめんなさいね。何もされてない?」
「は、はい……どうにか」

 口をあの形に開けたまま、エレイナは応えた。アデルは額にうっすらと汗を浮かべ、肩で息をしている。
 強い……強すぎる。この大柄な身体は伊達じゃないんだわ……

 しかし、安堵する間もなくスタンフィルが立ち上がったので、ふたりは身構えた。彼はふらふらするのか、目をぱちぱちとしばたたきながら頭を振る。

「くそっ……なんてやつだ」
「ひと気のないところに連れ込んで無理やり襲うなんて、紳士のすることじゃないわね。あなた、それでも侯爵子息なの?」

 腕を組んだアデルが鼻を鳴らして言う。スタンフィルは歯を食いしばって、彼女を下から睨みつけた。

「エレイナは僕の婚約者だ。一体何が悪い?」
「婚約者だからといって、何をしても許されるわけではないわ。あんなに嫌がっていたじゃない」

 アデルの言うことは至極もっともだ。形成は彼女の方が俄然有利に見えるのに、スタンフィルは薄気味悪い笑みを浮かべている。

「失礼だが……」

 彼はアデルににじり寄って、その姿をじろじろと眺めた。

「あんた、本当に女か?」

 スタンフィルの言葉に、アデルの頬がぴくりと動く。エレイナは息をのんだ。

「あ……当たり前じゃない」

 アデルがそう応えると、スタンフィルの手が伸びて彼女の胸を掴もうとした。しかし、アデルが身をかわしたために虚しくも空振りし、勢いあまってのめってしまう。彼はすぐに体勢を立て直すと、頬を真っ赤に染め、あろうことかアデルに掴みかかってきた。

「お前のような女がいるか!」
「エレイナ、逃げて!」

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