幼なじみの第二王子(女装)に甘く迫られています♥

ととりとわ

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第1話 突然もたらされた縁談

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 対するクロナージュ家はといえば、伯爵が王の宰相を務めていた頃から比べると、その威光は衰退の一途をたどっていた。所有している荘園はここ数年の異常気象でだいぶ貢納が減っているし、何より、現国王になってから税金がはね上がったのが痛い。荘園の管理を人に任せるのではなく、エレイナがするようになったのは、人件費をできるだけ安く済ませるためだ。メイドの数も減らした。
 このままでは、いつか貴族の体面を保てなくなる日が来るかもしれない――そんな風に思っていた折に、こちらを大変気に入ってくれて、持参金もいらない、身ひとつで来てほしいと望んでいる侯爵家の長男が現れたのは、クロナージュ家にとって千載一遇のチャンスなのだ。
 しかし。

 次々と食事を口へ運ぶ父を前に、エレイナはカトラリーを持つ手を止めた。
 問題はもっと別のところにある。すなわち、エレイナ自身の気持ちだ。
 エレイナにとっては、誰と結婚するかということはさほど重要ではなかった。そもそも、自分が結婚するのだという事実が受け入れられない。結婚という言葉を聞いても心は冷えたままで、それを勧められているのは、どこか遠くにいる知らない女性ではないかとさえ思う。
 まだ十八歳。もう十八歳。しかし、幼い頃から一緒に遊んでいた王家の次男、ルシオールのことを未だに忘れることができないのだ。
 これまで生きてきた中で、心ときめいた男性は彼ひとりだけ。
 丸くて白い、夜空を照らす満月のように透きとおる頬も、青い瞳を縁どるプラチナ色の睫毛も。思春期特有のハスキーな声も、子供らしからぬ艶美なたたずまいも――。
 彼を構成するすべての要素が、六年経った今でもエレイナを惹きつけて止まなかった。
 子供の気まぐれとはいえ、その彼にキスをされ、結婚の申し込みまでされたのだ。叶わぬ恋だとわかっていても、忘れることなどできるはずがない。
 彼は今、どんな姿になっているだろう。十七歳になった今でも、あの妖艶な仕草や囁きは健在なのだろうか……。

「どうした? 全然食べてないじゃないか」

 心配する父親の声で、エレイナははっと我に返った。伯爵の前に置かれた皿は、ほとんどが空になっている。
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