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第六章 出立
一節 アストラ
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一節
水の村に攻めてきた人達。俺が戦ったラミエルや、人とマー族のハーフのおっちゃん。その目的は一体・・・。というか、前に夢で見た人が言っていた大戦がどうとか・・・。原因はわからないが、エレメンティウムとオーミニウム間の大戦が始まったということなんだろうか。ただ、エレメンティウムに攻め入られたということは、他の3国も危ないんだろうか。ほかの国とのパイプがあるわけでもないから、全く見当もつかない。そういえば結局リムの動向も掴めないし・・・。
「何考え事してるんですか?」
「ん?ああ、いや。ちょっと大戦について気になってね。」
「そう・・・ですか。」
「どうかしたの?」
「いえ、多分ユーリさんのことですから、何か考えてるんでしょうけど・・・。その、またこの間みたいなことになったら・・・嫌なので・・・その。」
「あ・・・ごめんね。気を付ける・・・って言ってもどうしようもないかもしれないけど。」
「・・・。」
「ところで、アリアは他の国に行ったことはある?」
「え、いや無いですけど。」
「そうか~・・・。」
「他国に渡るんですか?」
「とりあえずそうしてみようかなって。」
そうすると、アリアがこちらに近づいて、裾をぎゅっとつかんだ。
「私は・・・いや、私も連れて行って欲しい・・・です。」
「えっ・・・でもまた危険なこ」
「それでもっ!・・・心配なんです・・・。」
「・・・。俺は本当は付いて来て欲しくない。アリアが傷つく所なんて見たくないからね。できるなら村にでも戻っていてほしい。俺が死ぬかもしれないし、もちろんアリアも死ぬかもしれない。あるいは二人とも死ぬかもしれない。それでも、それでも来るっていうなら」
「・・・行きます。・・・付いていきます。」
「・・・分かった。」
その会話で自分の覚悟は決まった。リムの動向を確認すること。アリアを守ること。そして何より、死なないこと。
とりあえずその日は下調べをする。アリアは村に戻ってウルリアの村の人たちから情報収集を。俺は水の村にもう一度行って水の村の人たちに情報収集をすることになった。とりあえずまずアリアをウルリアにアリアを届ける。いつものようにおぶって数分で村に行く。歩きの時とか乗り物の時とか、結構時間かかったのに・・・飛んだらこんな早いんだな・・・。久々・・・と言っても三週間ぶりくらいか。村の人たちには、前に来た時とは打って変わってものすごい歓迎された。おっさん村の人に何を吹き込んだんだ・・・。一つの料理だけでここまで変わるとは・・・。もしや、おっさんピュアッピュアなんじゃ・・・。え、でもピュアッピュアなおっさんって何かやだな・・・。そして、アリアを降ろすとそのまま水の村に飛んだ。
あれから一週間。半分以上が瓦礫と化していた水の村は一体どうなっているんだろうか。そして、あの時の村の人たちはどうなっているのか気になるところではある。暫くするとあのハーフのおっちゃんを閉じ込めた塔が見えてきた。そういえば・・・結局おっちゃんの名前聞いてないな・・・。塔は壊されない限り、半永久的に稼働するようにしてある。自分でもなぜできたのか不思議だが[ずっと動かす]みたいに考えたら自然とこうなっていた。それに、今までよりも大きな土壁を作れるようになっていたのも、多分アストラさんとの稽古のおかげだと思う。杜に帰ってからもアストラさんに言われたランニングとか、腹筋やら腕立て伏せ。どこの世界でも、基本的な筋トレは同じなんだなぁ。
と、その時だった。ぼごっという低い音と共に分厚い土の壁が壊れたのだ。
「・・・・ハァ・・・ハァ・・・あんのガキィ・・・ハァ・・・。」
「え・・・、出てくるのかよ・・・。」
「・・・っ!?よくも・・・貴様・・・俺をおおオオおおオオオオ!!!!」
咆哮したかと思うと、水を纏いながらこちらに向かって飛んできた。
「ガァァぁアアああアアア!!!」
「うわっ!ちょっ危なっ!」
攻撃が単純にひっかいてくるだけのような、そんな攻撃になっていた。今の攻撃には、精彩さの欠片もなかった。暫くそれを避け続けていると、怒ったのかもう一度咆哮し、今度は水魔法をボカボカ撃ってきた。これもまた力技だった。もう目とかも完全に逝っちゃってるんですが。撃たれた水魔法も軽く流し、土弾を顎にヒットさせる。完全に気を失ったのかそのまま落ちていった。流石に落下死というのも気分が悪いので、風を使ってゆっくりと地面に降ろした。
「おっちゃん、・・・その、すいません。でも、俺の敵になるのなら・・・。倒すしか・・・な」
「カッハァ・・・・ハァ・・・・ハァ・・・水・・・臭いぞ・・・。全力で戦って・・・俺が負けたんだ・・・だから・・・・もう、一思いに・・・・殺せ。」
最後にコクリと頷くと、全力で火を起こした。
「あ・・・最後に、名前だけ聞かせてもらえませんか・・・?」
「・・・ラルフ・・・ラルフ・アストラだ・・・。」
「え?」
火を消そうとした時、自分で氷の針を作って喉元に突き刺し、自ら死を遂げていた。
水の村に攻めてきた人達。俺が戦ったラミエルや、人とマー族のハーフのおっちゃん。その目的は一体・・・。というか、前に夢で見た人が言っていた大戦がどうとか・・・。原因はわからないが、エレメンティウムとオーミニウム間の大戦が始まったということなんだろうか。ただ、エレメンティウムに攻め入られたということは、他の3国も危ないんだろうか。ほかの国とのパイプがあるわけでもないから、全く見当もつかない。そういえば結局リムの動向も掴めないし・・・。
「何考え事してるんですか?」
「ん?ああ、いや。ちょっと大戦について気になってね。」
「そう・・・ですか。」
「どうかしたの?」
「いえ、多分ユーリさんのことですから、何か考えてるんでしょうけど・・・。その、またこの間みたいなことになったら・・・嫌なので・・・その。」
「あ・・・ごめんね。気を付ける・・・って言ってもどうしようもないかもしれないけど。」
「・・・。」
「ところで、アリアは他の国に行ったことはある?」
「え、いや無いですけど。」
「そうか~・・・。」
「他国に渡るんですか?」
「とりあえずそうしてみようかなって。」
そうすると、アリアがこちらに近づいて、裾をぎゅっとつかんだ。
「私は・・・いや、私も連れて行って欲しい・・・です。」
「えっ・・・でもまた危険なこ」
「それでもっ!・・・心配なんです・・・。」
「・・・。俺は本当は付いて来て欲しくない。アリアが傷つく所なんて見たくないからね。できるなら村にでも戻っていてほしい。俺が死ぬかもしれないし、もちろんアリアも死ぬかもしれない。あるいは二人とも死ぬかもしれない。それでも、それでも来るっていうなら」
「・・・行きます。・・・付いていきます。」
「・・・分かった。」
その会話で自分の覚悟は決まった。リムの動向を確認すること。アリアを守ること。そして何より、死なないこと。
とりあえずその日は下調べをする。アリアは村に戻ってウルリアの村の人たちから情報収集を。俺は水の村にもう一度行って水の村の人たちに情報収集をすることになった。とりあえずまずアリアをウルリアにアリアを届ける。いつものようにおぶって数分で村に行く。歩きの時とか乗り物の時とか、結構時間かかったのに・・・飛んだらこんな早いんだな・・・。久々・・・と言っても三週間ぶりくらいか。村の人たちには、前に来た時とは打って変わってものすごい歓迎された。おっさん村の人に何を吹き込んだんだ・・・。一つの料理だけでここまで変わるとは・・・。もしや、おっさんピュアッピュアなんじゃ・・・。え、でもピュアッピュアなおっさんって何かやだな・・・。そして、アリアを降ろすとそのまま水の村に飛んだ。
あれから一週間。半分以上が瓦礫と化していた水の村は一体どうなっているんだろうか。そして、あの時の村の人たちはどうなっているのか気になるところではある。暫くするとあのハーフのおっちゃんを閉じ込めた塔が見えてきた。そういえば・・・結局おっちゃんの名前聞いてないな・・・。塔は壊されない限り、半永久的に稼働するようにしてある。自分でもなぜできたのか不思議だが[ずっと動かす]みたいに考えたら自然とこうなっていた。それに、今までよりも大きな土壁を作れるようになっていたのも、多分アストラさんとの稽古のおかげだと思う。杜に帰ってからもアストラさんに言われたランニングとか、腹筋やら腕立て伏せ。どこの世界でも、基本的な筋トレは同じなんだなぁ。
と、その時だった。ぼごっという低い音と共に分厚い土の壁が壊れたのだ。
「・・・・ハァ・・・ハァ・・・あんのガキィ・・・ハァ・・・。」
「え・・・、出てくるのかよ・・・。」
「・・・っ!?よくも・・・貴様・・・俺をおおオオおおオオオオ!!!!」
咆哮したかと思うと、水を纏いながらこちらに向かって飛んできた。
「ガァァぁアアああアアア!!!」
「うわっ!ちょっ危なっ!」
攻撃が単純にひっかいてくるだけのような、そんな攻撃になっていた。今の攻撃には、精彩さの欠片もなかった。暫くそれを避け続けていると、怒ったのかもう一度咆哮し、今度は水魔法をボカボカ撃ってきた。これもまた力技だった。もう目とかも完全に逝っちゃってるんですが。撃たれた水魔法も軽く流し、土弾を顎にヒットさせる。完全に気を失ったのかそのまま落ちていった。流石に落下死というのも気分が悪いので、風を使ってゆっくりと地面に降ろした。
「おっちゃん、・・・その、すいません。でも、俺の敵になるのなら・・・。倒すしか・・・な」
「カッハァ・・・・ハァ・・・・ハァ・・・水・・・臭いぞ・・・。全力で戦って・・・俺が負けたんだ・・・だから・・・・もう、一思いに・・・・殺せ。」
最後にコクリと頷くと、全力で火を起こした。
「あ・・・最後に、名前だけ聞かせてもらえませんか・・・?」
「・・・ラルフ・・・ラルフ・アストラだ・・・。」
「え?」
火を消そうとした時、自分で氷の針を作って喉元に突き刺し、自ら死を遂げていた。
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