現世の常識なんて異世界では通じなかった話

(´と・ω・び`)

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第七章 火の国

二節 買い物

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第七章 二節

 朝になり、宿から出た後、ギルドの方へ向かった。アリアはまだ寝ていたから、この火の国にある火の村に行くための情報収集をするためだ。部屋に書置きを残しておいた。ギルドの中は、朝早くにも関わらず賑わっていた。酒場とギルドを繋ぐ入り口の方からは、こんな時間から酒の匂いが漂ってきていた。・・・朝っぱらから飲んでるんだろうか・・・?まずは、受付嬢に聞いてみる。

「おはようございます。」
「おはようございます~。すいません、火の村への行き方教えていただけませんか?」
「火の村・・・ですか。この街から直接行くことはできませんが、ここから北にある、[メタリア]からなら行けるかと・・・。申し訳ありません、火の村に行く方がほとんどおられないため詳しい道順をお伝えできず・・・。」
「いえいえ、ありがとうございます。参考になりました。」
「お力になれたのならいいのですが・・・。」

軽く会釈をして、次は酒場の方に足を向ける。酒場での情報収集。定番だろ?
そんなに酔ってなさそうな人に声を掛けていきたい所だが・・・。まず、一人で飲んでいる冒険者らしいお兄さんに声を掛ける。

「すいません。」
「え、ああ、なんだい?」
「冒険者の方ですか?」
「そうだが・・・。何か用かい?」
「火の村までの道を聞きたいんですが・・・。」
「・・・火の村、ねぇ。あんなところに行きたがる人なんていないと思っていたけど・・・。まぁいいや。でも、僕も行ったことが無いからそんなに詳しくは知らないよ?」
「少しでもいいので情報が欲しいんですよ。水の国から出てきたばかりでして・・・。他国の地理とかわからないんです。」
「そうか・・・水の国から・・・。まぁ、僕が知っていることは、北にあるメタリアからなら行けるってことくらいかなぁ。そこまではこの街からも馬車が出ていると思うよ。」
「なるほど・・・。わかりました。」
「ごめんねぇ、僕が知ってるのはこのくらいのことなんだ。」
「いえいえ、有難うございます。・・・そういえば、こんなことを聞くのもどうかと思うんですが、チップとかって払った方がいいんですかね・・・?」
「うーん、情報の機密さにもよるとは思うけど・・・。基本的にはそうかもね。」
「どのくらい払えばいいんですかね?」
「そうだなぁ・・・。そりゃあ、多ければ多いほどうれしいけど・・・。まぁ、せいぜい500オームくらいじゃないか?高くても1000オームとか。・・・あ、でも僕はいいよ。このくらいの情報なら。」
「いえ、ここはちゃんと払わないと・・・。これ、1000オーム丁度です。」
「こ、こんなにもらえないよ。それにほら、別に大丈夫って。」
「じゃあ、道順の事と常識を教えてもらった分のお礼です。」
「え、えー・・・。そうか・・・。いや、でもせめて半分にしてくれないかい?年下の子から1000オームも貰ったなんてことがあったらちょっと・・・ねぇ。」
「そうですか・・・。じゃあ・・・500オーム。どうぞ。」
「あ、ありがとう?」
「いえいえ、こちらこそ情報を有難うございました。」

その後も、四人組で飲んでいる一つのパーティっぽい人たちに聞いてみたり、滅茶苦茶話の長いお爺さんに話を聞いたりしたところ、この街から北に行ったところにあるらしい[メタリア]という街の名前がよく出てきた。それと、火の国の大体の地理を教えてもらった。街の北東側には火山灰が固まってできた台地のようなところ。丁度この間言われた、火山灰の降るところがそこに当たるらしい。そこを抜けるのなら、何か口と鼻を隠せるような恰好をするべきだと言われた。
とりあえず、次の行き先は、[メタリア]にすることにした。

 おおまかな予定が決まったところで部屋に戻ると、アリアが服を着替えて自分の荷物の整理をしていた。

「あ、ユーリさん、おかえりなさい。」
「ただいま~。あ、そうだ。アリア、ちょっと買い物行かない?」
「え、でもお金・・・。」
「この間の賞金があるから気にしなくていいよ。」
「い、行きたいです!」

 鞄に金貨袋を詰め、部屋の鍵を閉め、街に繰り出した。少し歩いて商店区の方に足を延ばした。商店区もいくつかの区画に分かれていて、食品を取り扱っているエリアもあれば、服飾品なんかのお店もあった。それこそ骨董品の売っている場所なんかもあった。チラッとアリアの方を見てみると、いつもよりテンションが上がっているような気がした。特に服飾品のあたりで。やっぱりどこの世界でも女の子は買い物・・・もとい、ショッピングが好きなんだなぁ。と微笑ましく見ていると、どこからか、アリアが着るには一回り大きいカーキ色のローブを持ってきた。

「ユーリさん、いつも同じ格好してますよね・・・。たまには服装変えてみるのもどうでしょう?」

確かに、服とかは水の国に居た時は変えていたけど、荷物になると思って持ってこなかった。あ、いや、ちゃんと洗濯してるから大丈夫だぞ?それに寝間着くらいはあるし・・・。俺の着ている服は毎晩寝間着に着替えた後、水塊を作って入れて、その中にちょっと強めに水流を作って洗ってるからな?そのあと、ちゃんと温風で乾かしてるからな?臭くない・・・と思う。・・・思いたい。

「うーん、いいかもね。ってもしかしてそれを俺に?」
「ちょっと試しに来てみてもらえませんか?」

袖に腕を通してみると、見た感じは厚手に見えたのに、中は意外とヒンヤリしていて気持ちいい。なんというかこう、クーラーの聞いた部屋にいる様な感覚だった。ふと襟元に違和感を感じ、一度脱いで見てみると値札が付いていた。そこには、[30,000オーム]と書いてあった。・・・え、高くね?

「アリア・・・これちょっと高くないかい?」
「そう・・・ですか。」
「うーん、あーでも・・・火山・・・暑そうだしなぁ・・・。これもいいような気はするけど・・・。」
「・・・。」
「まぁ、いいか。多少なら使っても大丈夫かな・・・。すいませーん、これくださーい」
「あれ、君それ買うの?・・・3万オームも持ってるのかい?」
「え、まぁありますけど・・・。はい、これ3万丁度です。」

なぜか店主には意外そうな顔をされたが、それはおいといて・・・。

「そういえばアリアは買いたいものとかないの?」
「・・・?」
「服とか・・・アクセサリーとか。」
「興味はあるんですが・・・。正直お金を出してもらうのがその・・・。」
「だから気にしなくていいってば。・・・ほら、これなんかどう?」

そう言って手に取ったのは、白いワンピースにモスグリーンのベストが付いた服だった。値札には、2500オームと書いてあった。このローブやっぱりなんかすごいものなんじゃ・・・。値札からアリアに目を移すと、目を輝かせてはいるものの、どこか遠慮したような表情をしていた。

「すいませーん、これもください。」
「2500オームだね・・・はい、毎度。」
「・・・アリア。これ似合うと思うんだけど・・・どうかな?」
「・・・本当に、いいんですか?」
「もちろん。プレゼントだよ。」
「ありがとう・・・ございます!」

 結局、口元を隠す布やら、俺の服やら色々買っていたら、合計44,500オームになってしまった。そのうちの3万をあのローブが占めている。あれが使い物にならなかったらあの店を呪ってやる・・・。
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