57 / 82
第3章 強くなるために
まずは足
しおりを挟む
「へくちっ!」
「おいおい、風邪か?"保護者付き"冒険者くん?」
「今日も森で草むしりかぁ~?」
カウンター近くの冒険者たちがケラケラと笑う。
最近、ディーと一緒にギルドに来るたびに、こうやって茶化されるのが恒例になっていた。
……ったく、好きで保護者付きになったわけじゃねぇのに。
でも、一人じゃ登録できないんだからしょうがねぇじゃん。
それにくしゃみ1回で風邪なわけなだろ。ちょっと誰かが噂してるだけだし。
「ディーがいなきゃギルド入れねぇのか?」
「見習いってのは楽でいいなぁ!」
笑い混じりの声が背中を刺す。
本気じゃないのは分かってるけど――胸の奥が、少しだけチクッとした。
「……別に、いつまでも見習いでいるつもりはねぇし」
そう、2年だけ。年齢制限のせいだから。だからこの2年間でディーに色々教わって、自分でも立派に冒険者できるように強くなるんだし。
だから2年間だけ笑われてやる。今に見てろ、2年後には追い越してやるからな。
俺の心の中で、ぼぅっと何かが燃えた音がした。
……と言っても今日も受けられる依頼は採取のみ。
今日も森で必死に草を採るのだ。
「はぁ。……俺は今日も森で草むしり」
「文句言うな。ルールだ」
「ルールってやつが1番強ぇ気がしてきた」
「そういう事言うやつほど、草に負ける」
ディーは淡々と言う。
……言い返せねぇ。
「くっそぅ、俺が見習い卒業したらあいつらをぎゃふんと言わせてやる」
ぶつぶつと愚痴をいいながら葉っぱを摘んでいく。
今回の薬草は面白い。1本の蔦が木に巻きついているんだけど普通の葉に混じって色の薄い葉っぱが時々生えていて、その葉っぱを摘むのが今回の依頼。1本の蔦は木の上の方までぐるぐると巻きついている。そこに生える色の薄い葉っぱは5枚くらい。数え切れないくらい葉っぱが生えているうちのたったの5枚だ。それを最低小袋1つ分……気が遠くなる。
「この葉っぱは水に浸して体に貼ると痛みを和らげる。実際、武力での強さよりもこういった知識の方が身を助けることの方が多い」
「なるほど」
「だからグダグダ言ってねぇで手を動かせ」
「はぁーい」
なるほど。見習いが受けられるのが採取依頼だけなのは、知識をつけろってことなのか。
「……アレク、どこまで行ったんだろ?」
「さぁな」
アレクは森に着いた途端「探検してくる」と言って森の奥に飛んで行ってしまった。手伝ってくれると思ってたのに、アレクはいつも勝手に森へ行ってしまう。
むぅ。俺はまだディーに森に入るなって言われてるし、アレクがズルい。それにアレクが手伝ってくれたら早く終わる気がするのになぁ。
森の奥から、風がさぁっと吹き抜けた。
いつもと同じ森の匂い、のはずだった。
……けど、何かが違う。
「風が変わったな」
「うん、俺もそんな気がした」
毎日のように森に通っていると、なんとなく分かってくる。
風の匂い、獣の気配、魔獣の息づかい、魔物のざわめき――。
ディーは何も言わない。でも、耳の動き、視線、わずかな毛並みの逆立ち。
それを見るだけで“何か来る”って分かるようになってきた。
俺もつられて風の向こうに意識を向ける。
鼻を抜ける生臭い匂い、地面を打つ振動、木々のざわめき。
「……来る。」
ディーの耳がピクリと動いた。
「群れだな。剣を構えろ」
「分かった」
剣を抜く音が森の静寂を裂いた。ディーの背後へ回り、風の来た方へ刃先を向ける。木漏れ日がちらついて、呼吸が白くはならないのに妙に冷たく感じた。
地面が振動した。遠くで何かが枝を折る音。足音が増える。ひとつ、ふたつ、三つ——いや、四、五、六。四足の魔獣が群れで迫ってくる。
姿は狼に似ているが大きく、毛並みは油で濡れたように黒光りしていた。眼が赤く光る。唸り声が胸に響く。構えている剣先が僅かに震えた。緊張なのか恐怖なのか、自分でも分からない。
「気負うな。まずは自分を守れ。足を狙って動きを止めろ、首はそのあとだ」
ディーは冷静だ。声は低く、けれど確実に指示が通る。俺は深くうなずき、呼吸を合わせる。
最初の魔獣が姿を現した。飛びかかる角度が鋭い。俺は反射で体を捻り、刃を振り下ろす——刃先は脚の付け根に刺さり、湿った鳴き声とともに獣が崩れた。やった、初めての手応え。体が熱くなる。
だが群れは止まらない。別の一体が横から滑り込み、俺の脇腹へ爪を突き立てようとする。痛みが走る。思わず後退しかけるが、ディーが1歩で間合いを詰め、斧を横に薙いだ。重い衝撃音と共に獣の体が地面に叩きつけられる。
「後ろ、気を抜くな!」
ディーの短い声。
次の突進を受け止める。片足を差し出して相手の体勢を崩す。足を詰め、息を吐いて剣先を差し込む。今度は首の付け根——一刺しで血が吹き、獣がひとしきり暴れて動かなくなった。ふぅ、と大きく息を吸う。二体目は俺の手で倒した。心臓がバクバクと破裂しそうだ。
残る三体がディーめがけて集まる。ディーは豪快に斧を振り、重みで二体を弾き倒す。斧の刃が獣を裂く音がする。ディーの戦い方は豪快だ。だけど無駄がない。
アレクがぴゃっと現れて獣の注意を逸らす。小さな影が光を反射し、獣の視線がそちらへ向く。その隙にディーが渾身の一撃を振りかぶり、最後の獣を仕留めた。森に、湿った静けさが戻る。
俺は膝をつき、剣を握る手が震えるのを感じた。血の匂い、毛のざわめき、荒い吐息——全部が現実だ。倒れた獣の胸が、弱々しく上下する。足の骨を狙って動きを止め、首を取る。ディーの言った通りにやった。
「よくやった」
ディーが無表情のまま近づいてきて、俺の肩を叩いた。その重みが懐の中に沈む。誇らしいような、怖かったような——胸の奥がぐちゃぐちゃにかき混ぜられるような感覚だった。
「ま、前回よりは動けたんじゃねぇか?」
「うん……」
答えながら、俺は自分の手を見た。剣に血がべっとりとついていた。たしかに、前よりは動けた気がする。それでもやっぱり今も震えが止まらない。
けれど、不思議と胸の奥が静かに熱くなるのを感じた——出来た、っていう小さな実感。
草むしりがなんだって言ってたけど、実際の戦闘はまだまだ慣れないし、やっぱり怖い。それに俺はまだ全然強くない。武力も知識も、教わるべきことは山ほどある。
「拾え。死骸は持ち帰る。検品と報告だ」
ディーの声は業務的だが、俺にはそれが優しさに聞こえた。
剣を鞘に戻す音がやけに大きく響いた気がした。
「おいおい、風邪か?"保護者付き"冒険者くん?」
「今日も森で草むしりかぁ~?」
カウンター近くの冒険者たちがケラケラと笑う。
最近、ディーと一緒にギルドに来るたびに、こうやって茶化されるのが恒例になっていた。
……ったく、好きで保護者付きになったわけじゃねぇのに。
でも、一人じゃ登録できないんだからしょうがねぇじゃん。
それにくしゃみ1回で風邪なわけなだろ。ちょっと誰かが噂してるだけだし。
「ディーがいなきゃギルド入れねぇのか?」
「見習いってのは楽でいいなぁ!」
笑い混じりの声が背中を刺す。
本気じゃないのは分かってるけど――胸の奥が、少しだけチクッとした。
「……別に、いつまでも見習いでいるつもりはねぇし」
そう、2年だけ。年齢制限のせいだから。だからこの2年間でディーに色々教わって、自分でも立派に冒険者できるように強くなるんだし。
だから2年間だけ笑われてやる。今に見てろ、2年後には追い越してやるからな。
俺の心の中で、ぼぅっと何かが燃えた音がした。
……と言っても今日も受けられる依頼は採取のみ。
今日も森で必死に草を採るのだ。
「はぁ。……俺は今日も森で草むしり」
「文句言うな。ルールだ」
「ルールってやつが1番強ぇ気がしてきた」
「そういう事言うやつほど、草に負ける」
ディーは淡々と言う。
……言い返せねぇ。
「くっそぅ、俺が見習い卒業したらあいつらをぎゃふんと言わせてやる」
ぶつぶつと愚痴をいいながら葉っぱを摘んでいく。
今回の薬草は面白い。1本の蔦が木に巻きついているんだけど普通の葉に混じって色の薄い葉っぱが時々生えていて、その葉っぱを摘むのが今回の依頼。1本の蔦は木の上の方までぐるぐると巻きついている。そこに生える色の薄い葉っぱは5枚くらい。数え切れないくらい葉っぱが生えているうちのたったの5枚だ。それを最低小袋1つ分……気が遠くなる。
「この葉っぱは水に浸して体に貼ると痛みを和らげる。実際、武力での強さよりもこういった知識の方が身を助けることの方が多い」
「なるほど」
「だからグダグダ言ってねぇで手を動かせ」
「はぁーい」
なるほど。見習いが受けられるのが採取依頼だけなのは、知識をつけろってことなのか。
「……アレク、どこまで行ったんだろ?」
「さぁな」
アレクは森に着いた途端「探検してくる」と言って森の奥に飛んで行ってしまった。手伝ってくれると思ってたのに、アレクはいつも勝手に森へ行ってしまう。
むぅ。俺はまだディーに森に入るなって言われてるし、アレクがズルい。それにアレクが手伝ってくれたら早く終わる気がするのになぁ。
森の奥から、風がさぁっと吹き抜けた。
いつもと同じ森の匂い、のはずだった。
……けど、何かが違う。
「風が変わったな」
「うん、俺もそんな気がした」
毎日のように森に通っていると、なんとなく分かってくる。
風の匂い、獣の気配、魔獣の息づかい、魔物のざわめき――。
ディーは何も言わない。でも、耳の動き、視線、わずかな毛並みの逆立ち。
それを見るだけで“何か来る”って分かるようになってきた。
俺もつられて風の向こうに意識を向ける。
鼻を抜ける生臭い匂い、地面を打つ振動、木々のざわめき。
「……来る。」
ディーの耳がピクリと動いた。
「群れだな。剣を構えろ」
「分かった」
剣を抜く音が森の静寂を裂いた。ディーの背後へ回り、風の来た方へ刃先を向ける。木漏れ日がちらついて、呼吸が白くはならないのに妙に冷たく感じた。
地面が振動した。遠くで何かが枝を折る音。足音が増える。ひとつ、ふたつ、三つ——いや、四、五、六。四足の魔獣が群れで迫ってくる。
姿は狼に似ているが大きく、毛並みは油で濡れたように黒光りしていた。眼が赤く光る。唸り声が胸に響く。構えている剣先が僅かに震えた。緊張なのか恐怖なのか、自分でも分からない。
「気負うな。まずは自分を守れ。足を狙って動きを止めろ、首はそのあとだ」
ディーは冷静だ。声は低く、けれど確実に指示が通る。俺は深くうなずき、呼吸を合わせる。
最初の魔獣が姿を現した。飛びかかる角度が鋭い。俺は反射で体を捻り、刃を振り下ろす——刃先は脚の付け根に刺さり、湿った鳴き声とともに獣が崩れた。やった、初めての手応え。体が熱くなる。
だが群れは止まらない。別の一体が横から滑り込み、俺の脇腹へ爪を突き立てようとする。痛みが走る。思わず後退しかけるが、ディーが1歩で間合いを詰め、斧を横に薙いだ。重い衝撃音と共に獣の体が地面に叩きつけられる。
「後ろ、気を抜くな!」
ディーの短い声。
次の突進を受け止める。片足を差し出して相手の体勢を崩す。足を詰め、息を吐いて剣先を差し込む。今度は首の付け根——一刺しで血が吹き、獣がひとしきり暴れて動かなくなった。ふぅ、と大きく息を吸う。二体目は俺の手で倒した。心臓がバクバクと破裂しそうだ。
残る三体がディーめがけて集まる。ディーは豪快に斧を振り、重みで二体を弾き倒す。斧の刃が獣を裂く音がする。ディーの戦い方は豪快だ。だけど無駄がない。
アレクがぴゃっと現れて獣の注意を逸らす。小さな影が光を反射し、獣の視線がそちらへ向く。その隙にディーが渾身の一撃を振りかぶり、最後の獣を仕留めた。森に、湿った静けさが戻る。
俺は膝をつき、剣を握る手が震えるのを感じた。血の匂い、毛のざわめき、荒い吐息——全部が現実だ。倒れた獣の胸が、弱々しく上下する。足の骨を狙って動きを止め、首を取る。ディーの言った通りにやった。
「よくやった」
ディーが無表情のまま近づいてきて、俺の肩を叩いた。その重みが懐の中に沈む。誇らしいような、怖かったような——胸の奥がぐちゃぐちゃにかき混ぜられるような感覚だった。
「ま、前回よりは動けたんじゃねぇか?」
「うん……」
答えながら、俺は自分の手を見た。剣に血がべっとりとついていた。たしかに、前よりは動けた気がする。それでもやっぱり今も震えが止まらない。
けれど、不思議と胸の奥が静かに熱くなるのを感じた——出来た、っていう小さな実感。
草むしりがなんだって言ってたけど、実際の戦闘はまだまだ慣れないし、やっぱり怖い。それに俺はまだ全然強くない。武力も知識も、教わるべきことは山ほどある。
「拾え。死骸は持ち帰る。検品と報告だ」
ディーの声は業務的だが、俺にはそれが優しさに聞こえた。
剣を鞘に戻す音がやけに大きく響いた気がした。
35
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
転生したら猫獣人になってました
おーか
BL
自分が死んだ記憶はない。
でも…今は猫の赤ちゃんになってる。
この事実を鑑みるに、転生というやつなんだろう…。
それだけでも衝撃的なのに、加えて俺は猫ではなく猫獣人で成長すれば人型をとれるようになるらしい。
それに、バース性なるものが存在するという。
第10回BL小説大賞 奨励賞を頂きました。読んで、応援して下さった皆様ありがとうございました。
不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です
新川はじめ
BL
国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。
フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。
生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
正義の味方にストーカーされてます。〜俺はただの雑魚モブです〜
ゆず
BL
俺は、敵組織ディヴァイアンに所属する、ただの雑魚モブ。
毎回出撃しては正義の戦隊ゼットレンジャーに吹き飛ばされる、ただのバイト戦闘員。
……の、はずだった。
「こんにちは。今日もお元気そうで安心しました」
「そのマスク、新しくされましたね。とてもお似合いです」
……なぜか、ヒーロー側の“グリーン”だけが、俺のことを毎回即座に識別してくる。
どんなマスクをかぶっても。
どんな戦場でも。
俺がいると、あいつは絶対に見つけ出して、にこやかに近づいてくる。
――なんでわかんの?
バイト辞めたい。え、なんで辞めさせてもらえないの?
――――――――――――――――――
執着溺愛系ヒーロー × モブ
ただのバイトでゆるーく働くつもりだったモブがヒーローに執着され敵幹部にも何故か愛されてるお話。
親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた
こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。
キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!
をち。「もう我慢なんて」書籍発売中
BL
これは、あざと可愛い悪役令息の義弟VS.あざと主人公のおはなし。
ボクの名前は、クリストファー。
突然だけど、ボクには前世の記憶がある。
ジルベスターお義兄さまと初めて会ったとき、そのご尊顔を見て
「あああ!《《この人》》、知ってるう!悪役令息っ!」
と思い出したのだ。
あ、この人ゲームの悪役じゃん、って。
そう、俺が今いるこの世界は、ゲームの中の世界だったの!
そして、ボクは悪役令息ジルベスターの義弟に転生していたのだ!
しかも、モブ。
繰り返します。ボクはモブ!!「完全なるモブ」なのだ!
ゲームの中のボクには、モブすぎて名前もキャラデザもなかった。
どおりで今まで毎日自分の顔をみてもなんにも思い出さなかったわけだ!
ちなみに、ジルベスターお義兄さまは悪役ながら非常に人気があった。
その理由の第一は、ビジュアル!
夜空に輝く月みたいにキラキラした銀髪。夜の闇を思わせる深い紺碧の瞳。
涼やかに切れ上がった眦はサイコーにクール!!
イケメンではなく美形!ビューティフル!ワンダフォー!
ありとあらゆる美辞麗句を並び立てたくなるくらいに美しい姿かたちなのだ!
当然ながらボクもそのビジュアルにノックアウトされた。
ネップリももちろんコンプリートしたし、アクスタももちろん手に入れた!
そんなボクの推しジルベスターは、その無表情のせいで「人を馬鹿にしている」「心がない」「冷酷」といわれ、悪役令息と呼ばれていた。
でもボクにはわかっていた。全部誤解なんだって。
ジルベスターは優しい人なんだって。
あの無表情の下には確かに温かなものが隠れてるはずなの!
なのに誰もそれを理解しようとしなかった。
そして最後に断罪されてしまうのだ!あのピンク頭に惑わされたあんぽんたんたちのせいで!!
ジルベスターが断罪されたときには悔し涙にぬれた。
なんとかジルベスターを救おうとすべてのルートを試し、ゲームをやり込みまくった。
でも何をしてもジルベスターは断罪された。
ボクはこの世界で大声で叫ぶ。
ボクのお義兄様はカッコよくて優しい最高のお義兄様なんだからっ!
ゲームの世界ならいざしらず、このボクがついてるからには断罪なんてさせないっ!
最高に可愛いハイスぺモブ令息に転生したボクは、可愛さと前世の知識を武器にお義兄さまを守りますっ!
⭐︎⭐︎⭐︎
ご拝読頂きありがとうございます!
コメント、エール、いいねお待ちしております♡
「もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!」書籍発売中!
連載続いておりますので、そちらもぜひ♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる