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珍しい事って悪い事が多いよね

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その後しばらく何事も起きず平凡な日常が続いていた。

彼女とも特に変わったことは何もない。
部屋から基本出てこない、ご飯の時だけ顔を合わすくらいか?

いつも不安そうな顔をしている、それが妙に心配だった。

ドタドタドタ
この日は珍しくノアが駆け足で僕の部屋にやってきた。

「どうした?そんなに慌てて。」

「き、北萩教官から電話が、、」

!!、、そっちから仕掛けてきたか。

「君の声少し借りてもいいかな?」

「は?何言ってんの?」

「ごめんよ。」
彼女の喉に触れる

彼女の声を自分の声に変換。

んんーんんー

彼女は今口を開くことはできない。

「はい。」

「あ、ノアちゃんお久しぶり。」

「お久しぶりです。」

「今から少し会えないかしら?少しおしゃべりがしたいのだけど。」

「どちらにいらっしゃるんですか?」

「駅前の喫茶店よ。」

「そうですか、いいですよ。」

「あら、返事が早くて助かるわ。じゃあ今から1時間後にそこで。」

「わかりました。失礼します。」

ツーツー

「ごめんね、驚かせて。」
もう一度彼女の喉に触れる。

「プハッ、どういうこと!?何でわざわざ敵の親玉かもしれない人に会いに行くの!?」

「なぜ君に電話がかかってくると思う?」

「、、たまたまなんじゃないの。」

「いや違う、君は北萩教官に連絡先を教えていたのか?」

「教えてるわけないいでしょ。」

「もしランダムにうちの生徒とコンタクトをとろうとするならば確実に教官の携帯に登録されている人からチョイスされるはずだ、本当に誰でもいいならね。しかし教官はそうはしなかった。わざわざ君の連絡先を調べてかけてきている、偶然はおそらくありえない。」

「じゃあなんか交渉をするため?」

「いや、それも多分違う。学校側に交渉したいのであれば一番最初に連絡が行くのは理事長。もしくは生徒なら王神先輩だと思わないかい?つまり北萩教官は君に個人的に何か用事があって連絡をしてきた、確実に新しい情報が入手できる。」

「でも、、、」

「安心して僕が変装して行くから。」

「そう言うと思った、それが嫌なのよ。私が行くわ。」

いや、ちょっと待て。

「ダメだよ、これにはかなりの危険が伴う。」

「だからよ、もしもあんたに何かあったらどうするの?」

なんだ、意外にも心配してくれるのか。

「ありがとう、気持ちだけもらっておくよ。」

「ダメ!!」

「いいかい、君には教官からまた連絡が入ってくる可能性が高い、大事な存在なんだ。」

「でも、、、ダメ。」

「君はここで待ってて。そろそろ行かなきゃ。」

「待ってよ。」
 
彼女の頭を3回撫でた。

「ごめんね。」

彼女はその場に倒れて眠ってしまった。

僕は変装の魔法を唱える。

さぁ行こうか。約束の場所へと急いだ。
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