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第一章
第九話 鬼の駅
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骸:『命をもって#命____いのち#を与え
命の名の下に、つくりだす
人も神も 仏も鬼も
全ては 掌の上』
ある場所に一人、骸が立っていた
そこに、一人の女が駆け寄る
織紙:あ、いた!骸ちゃーーん!
骸:来てもらって悪いね
織紙:骸ちゃんの頼みなら何処へでも行くよ、私はね
骸:ははっ、モノ好きだね
織紙:最近、全然遊んでくれないんだもん
骸:僕も忙しいからね
織紙:嘘。オサキの所にいるんでしょ?
骸:君も道唵も、僕を監視でもしてるのかい?
織紙:あら、この業界は耳が重要なのよ
骸:と言っても、隠すつもりもないんだけど
織紙:それで?今日は何処に?
そう問われ、切符を取り出す骸
骸:うん、今日はね
ちょっとした場所に…ね
【間】
織紙:此処は……駅?
骸:うん、だけど今回は迎えがあるはずだよ
織紙:今回?
骸:あぁ、こっちの話
織紙:まぁ、そうだろうね
だってもう終電終わってるし
……ん?これって
骸:へぇ、凄いね……空間系のやつかな?
一気に雰囲気が変わった
すると、いつの間にか電車が到着していた
それは、音も無く突然に現れた
織紙:……乗れってこと?これ
骸:ハハッ!どうやらそうみたいだ
その電車に乗り込む二人
織紙:それで?これからどうするの?
骸:まぁまぁ、電車と言えば、まずは寝ようか
織紙:…なるほどね
それじゃ、お先に
骸:ふふっ、楽しみだなァ……
【間】
骸:織紙
織紙:…ん、……あら、骸ちゃん
もう着いたの?
骸:どうやら、ね
……ふーん、さい駅ね
織紙:さい駅?
あら、つまらない
そこは、きさらぎ駅じゃないのね
骸:まぁ、有名どころに行けるのは無理なんじゃない?
織紙:そういうモノね
さい……賽の河原ってとこかな
骸:きさらぎ駅然り、駅は鬼に纏わるからね
織紙:それで?何処に行ったの?
骸:何が……かな?
織紙:行ったんでしょ?別の駅に
骸:流石…ことろう駅だよ
織紙:……子を取る…ね
駅員:じゃあ、アンタらが呼ばれたわけ?
骸:やぁ、はじめましてかな?
駅員:はじめましてで、間違いではないかな
織紙:私は呼ばれてないけど?
そのことろう駅には
駅員:切符を使ったんだろ?
骸:あぁ、2枚くれたからね
駅員:それ、行き帰りの往復で2枚じゃないの?
骸:ハハッ、別にこっちで買えば、帰れるでしょ?
駅員:ふーん……
織紙:あら、貴重な一枚をくれたわけ?骸ちゃん
骸:最近、かまってなかったからね
ここらで恩を売ろうかと
織紙:そんなことしなくてもいいのに
けど、嬉しいからそのままの意味で受け取るわ
駅員:何しに来た?
蒐集品を見に来たの?
骸:キミは僕に興味はないのかい?
駅員:あぁ、目のこと?
別にいいかな、どうせ無理だから
骸:全然違うなぁ、キミたち
駅員:同じであって、同じじゃないからね
織紙:面倒くさ
駅員:じゃあ、アンタら人間は皆同じなの?
全員同じで何も違わないんだ?
織紙:あら、人と同じって言いたいの?
ちなみに、人は十人十色だけど
駅員:だったら一緒だよ
模倣はしているけど
だけど、怪異も人も変わらない
共有していることはあるけど
骸:キミたちに名を付けるならなんだろう?駅の怪異なのかな
駅員:そうだね
駅の一部に変わりはない
骸:随分、口が軽いね
駅員:ことろうは会話にならないから
そういう奴だ
織紙:それにしても若い見た目ね
駅員:さい駅だから
織紙:そういうこと
解りやすくていいことね
じゃあ、ホームを越えれば行けるのかな?
駅員:行ってみるかい?
案内はしないよ、駅の外だから
骸:それも楽しそうだけど
まずは蒐集品を見たいかな
それに織紙もいるし
駅員:アンタと狐…あと女のことは聞いた
だけど、アンタは違う女だな?
織紙:オサキの彼女とは違う
天と地がひっくり返っても違う
一緒にされると反吐が出そう
あ、あの子のことじゃないよ?
オサキと一緒にされると反吐が出るの
骸:嫌われてるな~オサキは
織紙:当然
ところで、そのオサキは?
骸:あぁ、別の用件でね
噂の彼女と出かけてるよ
駅員:それで?アンタは誰だ?
織紙:私は、織紙
骸:偽名だけどね
織紙:源氏名よ
駅員:うん?そういうことなのか?
織紙:あら、冗談よ
骸:彼女は写真家だよ
駅員:それは興味深いな
いくつか持ってきているか?
織紙:ええ、骸ちゃんに言われたから厳選して、ね
駅員:後で見せてもらう
織紙:ええ、是非
骸:と、表の顔は写真家なんだけど
裏はまた別の顔だよ、織紙は
駅員:だろうな
にしては、黒すぎる
織紙:骸ちゃんほどじゃないけど、良く視えるのね?
駅員:まぁ、それなりに
六道と一緒にされたら困るな
織紙:じゃあ逆に聞こうかな
私は何者?
駅員:フ、フフ、聞くのか?
答えられない訳がないだろう
アンタは呪いだ
骸:へぇ、そう言うのか
駅員:人間なんだろうが、関わりすぎたな
もう人間のソレじゃない
外にまで洩れている
織紙:あら?あぁ、違う……違うのよ
こんな場所だから、隠してないの
衒らかしているの
骸:趣味が悪いね、織紙
織紙:私もテンション上がってるのよ
だって怪異の世界にいるのだから
私は滅多に無いのよ?こんなこと
骸:それもそうだね
そう、彼女は呪物に関わりが深い
儀式も歌も、言葉も…ね
駅員:写真家もいいけど、そちらの方が良い
好きだよ、織紙…だったかな
織紙:アナタも、男か女か解らないから
私も好きよ、骸ちゃんに似ていて
骸:全然違うけど、似ているかい?
織紙:やだ、その目で視ないで
うっかり、魅入っちゃうじゃない
駅員:よし、入れ
話をしようじゃないか
【間】
骸:いつ見ても凄いね、共有されているんだろうけど
…あぁ、収納が違うのか
駅員:その駅それぞれで色が出るだろ?
あと、共有されないモノもある
独自のルートもあるからさ
織紙:見ていて気持ちの良いものは少ないねぇ
此処にあるから良いものが多い
外に出すと危ないモノばかり
駅員:あぁ、そうだろうね
骸:……
駅員:赤羽の眼かい?
骸:あぁ、丁度今頃と思ってね
織紙:オサキのこと?
今は考えないでよ、反吐が出る
骸:ははっ、ごめん
…まぁ、今回は大丈夫だろうけど
駅員:使うか?
骸:…いいのかい?
駅員:ことろうと違うって?
認めれば使ってもいいと思う
色は違う方がいいだろ?
骸:……遠慮しておくよ
僕にばっかり頼られても困るし
織紙:あら、いい傾向!
そうよ!オサキにばっかり構うのはダメ
駅員:さい駅は…好きにしていいでしょ?
だって、私たちは、頑張ってる
骸:あぁ、そうだね
織紙:面白い、へぇ……
ことろうは何なの?
駅員:ことろうは、難しいの
あそこは行きたくない
織紙:じゃあ、きさらぎは?
駅員:きさらぎはダメ
そっちに行き過ぎちゃったから
織紙:じゃあ、やみは?
駅員:近い、とても近くて怖い
織紙:あっは!じゃあ…
骸:それくらいに、織紙
織紙:骸ちゃんは興味ないの?
骸:反応で全部解るでしょ
虐めるのは良くないよ
駅員:少し、喋りすぎた
忘れてくれ
織紙:ふぅん…じゃ、私も少し見せてもらおうかな
骸:宝の山だよ
キミはこれをどうするのか聞いているかい?
駅員:いや、全てを蒐めるとしか解らない
ただ、異様に惹かれはする
骸:僕と同じだ
全てのモノに詳しいかい?
駅員:此処にあるモノは全部
意味も理解しているよ
織紙:…これ、日本のじゃないよね
確か、中国のやつ
駅員:あぁ、扶鸞の
持ち込んだのは日本からだよ
織紙:あってもおかしくはないけど
本物じゃないのこれ?
駅員:紛い物は、ここにはないよ
全部本物
織紙:まさか、あの時のとか言わないよね?
駅員:あはは、言わないでおくよ
骸:自動書記の呪いか
織紙の専門だね
織紙:ちょっと震えるわね
海外関係の怪異もあるのね?
駅員:あぁ、あるよ
人間と同じで怪異も"渡る”だろう?
骸:僕も関わったことあるからね
けど、珍しいから中々見られない
織紙:じゃあ、これなんかどう?骸ちゃん
骸:犬の剥製かな?
……へぇ、器か
駅員:正解
それはブラック・シュックの入れ物だった
だけど、使わなくなったみたいだね
骸:イギリスの怪異だ
織紙、知っていたのかい?
織紙:全く
ただの女の勘よ
骸:怪異、というより妖精かな
いかにも海外って感じがするよ
善とも悪とも捉えられる
人間の尺度での話だけどね
織紙:博識だねぇ、骸ちゃんは
駅員:さて、いくら見ても構わないけど
本題はなんだい?骸
骸:うん、話そうか
キミなら、ちゃんと話せそうだからね
織紙にも聞きたいことがあるんだ
織紙:どうぞ、何でも聞いて
骸:新解釈怪異譚
って聞いたことあるかい?
今、あちらの世界で面倒を起こしてる
僕も会った、オサキも道唵も会っているね
駅員:うん、事情はよく知らないけど
改変された怪異を作っているらしいね
一つだけ持っているよ
そういうと、蒐集品を漁り出す駅員
駅員:……あった、これだ
織紙:その話、私も骸ちゃんにしようと思ってたの
面白い話だったから
だけど、会ったんだね
骸:僕の知り合いは狙われているのかな
織紙も関わったんだね
駅員:これはアナウンス用のマイクだけど
駅の怪異同士繋がったんだろうね
織紙:猿夢?
駅員:あぁ、アンタ
察しがいいな
骸:きさらぎ駅と猿夢が繋がる…ね
ハハッ!面白いこともあるもんだ
駅員:本物の猿夢じゃなかった
乗ってた人間は、もう死んでいた
現実に帰らず、此処に来たんだろう
骸:改変されて別の駅に繋がる電車の怪異
夢の中と現実の境界線を曖昧にしてるのも
神隠しに近い現象を起こしているのも
改変した部分だろうね
駅員:そう、猿夢はその名の通り、夢で起こることだが、これは違う
実際に連れてこられている
織紙:死んだ乗客はどうしたの?
駅員:ホームの外、だよ
織紙:あら、そう
駅員:実際に連れて行き、殺す
そのまま駅に関連した怪異に繋げる
そこまで出来るのなら、相当に危険だ
骸:ただ、此処に来た時点で対価は払わないといけない
その対価が、そのマイクってわけね
駅員:あぁ、だが困る
これは紛い物なのかもしれない
此処には本物しかないのに
骸:僕もコトリバコと、くねくねを持っているよ
どちらも作られたヤツだけど
織紙:じゃあ、次は私の番かな?
骸ちゃんに会うからって私は持ってきたよ
はい、これ
骸:珍しい、今どき見ないよこれ
駅員:それも半々…どっちなんだ
織紙:私の意見で言えば、偽物よ
私が関わったのは、こっくりさん
話聞いた時は、狐だし嫌だったんだけど、一応専門だからね、見に行ったのよ
骸:狐はオサキに任せるのが一番だよ
織紙:反吐が出る
それに、こっくりさん如き私で十分だから
骸:何が改変されていたんだい?
織紙:漢字で書くと狐、狗、狸
または狢を書くこともあるけど
つまりは動物霊を降霊する占いでしょ?
はい、これよく見て
駅員:鬼、鬼が憑いてる…
織紙:そう、呼び出したのが鬼なのよ
骸:餓鬼か…これをやったのは?
織紙:小3の女の子4人
憑かれたのはその内、2人
残りが私の所に来たって感じかな
骸:言葉遊びが好きな奴らだ
子供と餓鬼、ね
織紙:私が見た時には、お互いをひん剥いて
お互いを食べようとしてたわね
あれは欲食かな
骸:人間の遊び場に行くとされてはいるけど
…あぁ、なるほど
盗る物が無くて、お互いをね
駅員:気持ちが悪いな
見たくない代物だ
骸:キミたちはそうだろうね
こっくりさんとしては、偽物だけど、降霊術としては本物だ
織紙:とりあえず祓って
鬼は紙に閉じ込めたって感じかな
私いらないから骸ちゃんにあげる
骸:思わぬ収穫だ
じゃあ次は、僕の本題
情報を集めたいんだ
だけど、向こうじゃ限界があってね
何かないかなって
あぁ、織紙はただ連れてきただけだよ
まさか関わっているとは思わなかった
織紙:そういうことにしておきましょう
駅員:何が欲しいんだ?
だが、そこの女が言ったように
外に出すのは禁忌だ
骸:うん、だから
向こうで見つけられるモノがないかなって
駅員:……なるほど
骸:僕が以前、ことろう駅に行った時
ミツメイシってやつを見せてもらったんだけど
あれはもう無かったんだ
それに此処にあるモノに詳しいんだろう?さい駅はね
駅員:情報収集に長けた怪異、か
フフ、フフフ、アハハ!
まるで道具のように使うじゃないか
織紙:あら、骸ちゃんに使われるなら本望よね?
私も情報収集手伝うから言ってね
骸:ありがたく受け取っておくよ
それで、どうだい?
何か教えてくれないかな?
駅員:そこの女がいるだろう?
何故使わない?それこそ専門なんだろう?
織紙:たしかに私は呪術は扱えるけど
扶鸞でも使えって?
駅員:自動書記なら、話に出た
狐狗狸でいいだろう?
神仏霊を頼るならの話だ
骸:やっぱりそうなるんだね
もっと手っ取り早いのあるかと思ったんだけど
駅員:お前ほどのやつが頼るんだろう?
自分の収集で十二分だろうにさ
使い勝手のいい駒は渡さないよ
骸:それは……人間に対しての話かい?
駅員:いいや、そっちの世界に対して、だ
骸:フフッ、期待はしてなかったけど
そういう立ち位置なんだね
駅員:わざわざ貴重な切符を使ったのに
手柄が無くて残念だね
骸:いいや、全く
元々これは本題だけど、期待はしてないって言ったでしょ?
織紙:あっちに戻ったら少しやってみようかな
情報収集
骸:助かるよ、織紙
駅員:ただ、久しぶりにいっぱい話せたから
一つだけやってあげる
骸:うん?何をやるんだい?
駅員:あぁ、見ないでくれ
アンタらは違うやつ見ててくれ
骸:解ったよ
【間】
織紙:それにしても凄い量ね
骸ちゃんは頑なに見せてくれないから
こんな量、見たことない
骸:見せびらかすモノじゃないからね
駅員:待たせたね、これだよ
紙に書かれた文字を見せる駅員
骸:……
織紙:命?
骸:あぁ、やっぱり
いるんだ、そういう人間が
織紙:どういうこと?
骸:その文字通り
命を与え、命を下す
織紙:新解釈怪異譚の命そのもの…?
骸:僕は一人会ったんだ
怪異じゃない、作ってる側だ
だけど、アレは違った
やっぱり別にいるね
織紙:霊能力者っていうより神に近くない?
そんなふざけた力
骸:僕の眼も、だろう?
織紙:…そうね、いてもおかしくないか
駅員:怪異に命を与え、新しい命令を下す
それが改変か
命と呼べば神に等しい
骸:うん、助かったよ
これで色々動き易い
駅員:さて、そろそろ切符を売ろうか
アンタらは対価に何を置いていく?
骸:織紙、あれ出してよ
織紙:はいはい、どうぞ
駅員:このファイルに結界が張ってあるのは?
織紙:ネタバラシ
中身は心霊写真よ
駅員:あぁ、閉じ込めているのか
織紙:そ、表は写真家ですからね
写真に残ってる残穢なんて、そうそう脅威ではないけど
本物は少し面倒だからね
駅員:何枚ある?
織紙:30枚くらい?
骸:足りるかい?
駅員:会話も査定だから
ギリギリにしといてあげる
骸:子ども料金でもいいよ?
駅員:アンタは騙せそうだ
そっちの女は無理だろう
織紙:あら、大人の魅力が解るのかしら?
それに骸ちゃん、そんな狡いことするのね?
骸:ははっ、何が狡いのか分からないな
駅員:今回は渡さない
次は自力で来るんだな
骸:繋げてくれるのかい?
駅員:それは、駅次第だね
織紙:そうだ、これもあげる
駅員:名刺?
織紙:独自のルート、あるんでしょ?
駅員:共有しておく
織紙:あら、私はアナタたちが好きなのに
駅員:独り占めはダメなんだ
さ、電車が来たよ
骸:また、来るよ
織紙:次はホームの外を見てみたいところね
駅員:あぁ、案内はしないよ
じゃあ、さようなら
【間】
電車に乗り、眠る
気がつくと元の世界に戻っていた
織紙:意外と近くまで送ってくれたのね
骸:優しい子たちだ
織紙:じゃ、帰ろうかな
骸:今日はありがとう
お土産までもらっちゃった
織紙:鬼の出る占いなんて必要ないからね
骸:悪いモノでもないよ?
未来を聞けば教えてくれるかも
織紙:あっは!不気味に笑うだけよ、そんなの
骸:ハハッ!やっぱりキミは面白いね
オサキのこと、そろそろ認めてね
織紙:反吐が出る
反吐が出るほど認めてるわよ
ただ、反吐が出るほど嫌いなだけ
骸:そういうことにしておくよ
織紙:それじゃ、骸ちゃん
また面白い場所に連れて行ってね
骸:あ、織紙
織紙:何?
骸:僕が会ったのは四月一日って奴
どうせ偽名だけど、エセ関西弁の男だった
これもどうせキャラ付けだけど
織紙:覚えとくわ
骸:それで?織紙が見たのは?
織紙:……それが本題?
骸:うん、いいモノ見れたでしょ?
織紙:隠すつもりはなかったよ
ただ、子どもを傷つける奴は、私が見つけて殺したいのよ
骸:うん、知ってる
織紙:たけど……そうね、骸ちゃんになら
私が見たのは男だった
言葉も交わしてない
すぐに逃げられたからね
ただ、牛鬼みたいなことをしてた
骸:牛鬼?
織紙:追いかけて殺そうとしたんだけど
建物の影を舐めて燃やして帰ったわ
骸:ふぅん…なるほどね
織紙:だから名前も解らない
もしかしたらその四月一日ってやつかも
骸:多分違うね、アイツはお喋りだった
織紙:キャラ変かもよ
あーあ、私が関わったの知らないって話してたのに知ってたのね
骸:この業界は耳が重要だからね
織紙:敵わないなぁ、骸ちゃんには
耳より目の方が良いくせに
耳は女の特権よ
骸:まるで僕が女じゃないって言い方だ
織紙:あら?だったら女って断言してもいいのよ?
骸ちゃんを知るためなら安い情報ね
骸:遠慮しておくよ
織紙:そうでなくちゃね!
はい、これで隠し事はなし
帰るわ
骸:またね、織紙
そう言い、一人帰る織紙
それを見送る骸は、少し笑っていた
骸:命、ね
大層な名前だよ、全く
鬼の駅 終
命の名の下に、つくりだす
人も神も 仏も鬼も
全ては 掌の上』
ある場所に一人、骸が立っていた
そこに、一人の女が駆け寄る
織紙:あ、いた!骸ちゃーーん!
骸:来てもらって悪いね
織紙:骸ちゃんの頼みなら何処へでも行くよ、私はね
骸:ははっ、モノ好きだね
織紙:最近、全然遊んでくれないんだもん
骸:僕も忙しいからね
織紙:嘘。オサキの所にいるんでしょ?
骸:君も道唵も、僕を監視でもしてるのかい?
織紙:あら、この業界は耳が重要なのよ
骸:と言っても、隠すつもりもないんだけど
織紙:それで?今日は何処に?
そう問われ、切符を取り出す骸
骸:うん、今日はね
ちょっとした場所に…ね
【間】
織紙:此処は……駅?
骸:うん、だけど今回は迎えがあるはずだよ
織紙:今回?
骸:あぁ、こっちの話
織紙:まぁ、そうだろうね
だってもう終電終わってるし
……ん?これって
骸:へぇ、凄いね……空間系のやつかな?
一気に雰囲気が変わった
すると、いつの間にか電車が到着していた
それは、音も無く突然に現れた
織紙:……乗れってこと?これ
骸:ハハッ!どうやらそうみたいだ
その電車に乗り込む二人
織紙:それで?これからどうするの?
骸:まぁまぁ、電車と言えば、まずは寝ようか
織紙:…なるほどね
それじゃ、お先に
骸:ふふっ、楽しみだなァ……
【間】
骸:織紙
織紙:…ん、……あら、骸ちゃん
もう着いたの?
骸:どうやら、ね
……ふーん、さい駅ね
織紙:さい駅?
あら、つまらない
そこは、きさらぎ駅じゃないのね
骸:まぁ、有名どころに行けるのは無理なんじゃない?
織紙:そういうモノね
さい……賽の河原ってとこかな
骸:きさらぎ駅然り、駅は鬼に纏わるからね
織紙:それで?何処に行ったの?
骸:何が……かな?
織紙:行ったんでしょ?別の駅に
骸:流石…ことろう駅だよ
織紙:……子を取る…ね
駅員:じゃあ、アンタらが呼ばれたわけ?
骸:やぁ、はじめましてかな?
駅員:はじめましてで、間違いではないかな
織紙:私は呼ばれてないけど?
そのことろう駅には
駅員:切符を使ったんだろ?
骸:あぁ、2枚くれたからね
駅員:それ、行き帰りの往復で2枚じゃないの?
骸:ハハッ、別にこっちで買えば、帰れるでしょ?
駅員:ふーん……
織紙:あら、貴重な一枚をくれたわけ?骸ちゃん
骸:最近、かまってなかったからね
ここらで恩を売ろうかと
織紙:そんなことしなくてもいいのに
けど、嬉しいからそのままの意味で受け取るわ
駅員:何しに来た?
蒐集品を見に来たの?
骸:キミは僕に興味はないのかい?
駅員:あぁ、目のこと?
別にいいかな、どうせ無理だから
骸:全然違うなぁ、キミたち
駅員:同じであって、同じじゃないからね
織紙:面倒くさ
駅員:じゃあ、アンタら人間は皆同じなの?
全員同じで何も違わないんだ?
織紙:あら、人と同じって言いたいの?
ちなみに、人は十人十色だけど
駅員:だったら一緒だよ
模倣はしているけど
だけど、怪異も人も変わらない
共有していることはあるけど
骸:キミたちに名を付けるならなんだろう?駅の怪異なのかな
駅員:そうだね
駅の一部に変わりはない
骸:随分、口が軽いね
駅員:ことろうは会話にならないから
そういう奴だ
織紙:それにしても若い見た目ね
駅員:さい駅だから
織紙:そういうこと
解りやすくていいことね
じゃあ、ホームを越えれば行けるのかな?
駅員:行ってみるかい?
案内はしないよ、駅の外だから
骸:それも楽しそうだけど
まずは蒐集品を見たいかな
それに織紙もいるし
駅員:アンタと狐…あと女のことは聞いた
だけど、アンタは違う女だな?
織紙:オサキの彼女とは違う
天と地がひっくり返っても違う
一緒にされると反吐が出そう
あ、あの子のことじゃないよ?
オサキと一緒にされると反吐が出るの
骸:嫌われてるな~オサキは
織紙:当然
ところで、そのオサキは?
骸:あぁ、別の用件でね
噂の彼女と出かけてるよ
駅員:それで?アンタは誰だ?
織紙:私は、織紙
骸:偽名だけどね
織紙:源氏名よ
駅員:うん?そういうことなのか?
織紙:あら、冗談よ
骸:彼女は写真家だよ
駅員:それは興味深いな
いくつか持ってきているか?
織紙:ええ、骸ちゃんに言われたから厳選して、ね
駅員:後で見せてもらう
織紙:ええ、是非
骸:と、表の顔は写真家なんだけど
裏はまた別の顔だよ、織紙は
駅員:だろうな
にしては、黒すぎる
織紙:骸ちゃんほどじゃないけど、良く視えるのね?
駅員:まぁ、それなりに
六道と一緒にされたら困るな
織紙:じゃあ逆に聞こうかな
私は何者?
駅員:フ、フフ、聞くのか?
答えられない訳がないだろう
アンタは呪いだ
骸:へぇ、そう言うのか
駅員:人間なんだろうが、関わりすぎたな
もう人間のソレじゃない
外にまで洩れている
織紙:あら?あぁ、違う……違うのよ
こんな場所だから、隠してないの
衒らかしているの
骸:趣味が悪いね、織紙
織紙:私もテンション上がってるのよ
だって怪異の世界にいるのだから
私は滅多に無いのよ?こんなこと
骸:それもそうだね
そう、彼女は呪物に関わりが深い
儀式も歌も、言葉も…ね
駅員:写真家もいいけど、そちらの方が良い
好きだよ、織紙…だったかな
織紙:アナタも、男か女か解らないから
私も好きよ、骸ちゃんに似ていて
骸:全然違うけど、似ているかい?
織紙:やだ、その目で視ないで
うっかり、魅入っちゃうじゃない
駅員:よし、入れ
話をしようじゃないか
【間】
骸:いつ見ても凄いね、共有されているんだろうけど
…あぁ、収納が違うのか
駅員:その駅それぞれで色が出るだろ?
あと、共有されないモノもある
独自のルートもあるからさ
織紙:見ていて気持ちの良いものは少ないねぇ
此処にあるから良いものが多い
外に出すと危ないモノばかり
駅員:あぁ、そうだろうね
骸:……
駅員:赤羽の眼かい?
骸:あぁ、丁度今頃と思ってね
織紙:オサキのこと?
今は考えないでよ、反吐が出る
骸:ははっ、ごめん
…まぁ、今回は大丈夫だろうけど
駅員:使うか?
骸:…いいのかい?
駅員:ことろうと違うって?
認めれば使ってもいいと思う
色は違う方がいいだろ?
骸:……遠慮しておくよ
僕にばっかり頼られても困るし
織紙:あら、いい傾向!
そうよ!オサキにばっかり構うのはダメ
駅員:さい駅は…好きにしていいでしょ?
だって、私たちは、頑張ってる
骸:あぁ、そうだね
織紙:面白い、へぇ……
ことろうは何なの?
駅員:ことろうは、難しいの
あそこは行きたくない
織紙:じゃあ、きさらぎは?
駅員:きさらぎはダメ
そっちに行き過ぎちゃったから
織紙:じゃあ、やみは?
駅員:近い、とても近くて怖い
織紙:あっは!じゃあ…
骸:それくらいに、織紙
織紙:骸ちゃんは興味ないの?
骸:反応で全部解るでしょ
虐めるのは良くないよ
駅員:少し、喋りすぎた
忘れてくれ
織紙:ふぅん…じゃ、私も少し見せてもらおうかな
骸:宝の山だよ
キミはこれをどうするのか聞いているかい?
駅員:いや、全てを蒐めるとしか解らない
ただ、異様に惹かれはする
骸:僕と同じだ
全てのモノに詳しいかい?
駅員:此処にあるモノは全部
意味も理解しているよ
織紙:…これ、日本のじゃないよね
確か、中国のやつ
駅員:あぁ、扶鸞の
持ち込んだのは日本からだよ
織紙:あってもおかしくはないけど
本物じゃないのこれ?
駅員:紛い物は、ここにはないよ
全部本物
織紙:まさか、あの時のとか言わないよね?
駅員:あはは、言わないでおくよ
骸:自動書記の呪いか
織紙の専門だね
織紙:ちょっと震えるわね
海外関係の怪異もあるのね?
駅員:あぁ、あるよ
人間と同じで怪異も"渡る”だろう?
骸:僕も関わったことあるからね
けど、珍しいから中々見られない
織紙:じゃあ、これなんかどう?骸ちゃん
骸:犬の剥製かな?
……へぇ、器か
駅員:正解
それはブラック・シュックの入れ物だった
だけど、使わなくなったみたいだね
骸:イギリスの怪異だ
織紙、知っていたのかい?
織紙:全く
ただの女の勘よ
骸:怪異、というより妖精かな
いかにも海外って感じがするよ
善とも悪とも捉えられる
人間の尺度での話だけどね
織紙:博識だねぇ、骸ちゃんは
駅員:さて、いくら見ても構わないけど
本題はなんだい?骸
骸:うん、話そうか
キミなら、ちゃんと話せそうだからね
織紙にも聞きたいことがあるんだ
織紙:どうぞ、何でも聞いて
骸:新解釈怪異譚
って聞いたことあるかい?
今、あちらの世界で面倒を起こしてる
僕も会った、オサキも道唵も会っているね
駅員:うん、事情はよく知らないけど
改変された怪異を作っているらしいね
一つだけ持っているよ
そういうと、蒐集品を漁り出す駅員
駅員:……あった、これだ
織紙:その話、私も骸ちゃんにしようと思ってたの
面白い話だったから
だけど、会ったんだね
骸:僕の知り合いは狙われているのかな
織紙も関わったんだね
駅員:これはアナウンス用のマイクだけど
駅の怪異同士繋がったんだろうね
織紙:猿夢?
駅員:あぁ、アンタ
察しがいいな
骸:きさらぎ駅と猿夢が繋がる…ね
ハハッ!面白いこともあるもんだ
駅員:本物の猿夢じゃなかった
乗ってた人間は、もう死んでいた
現実に帰らず、此処に来たんだろう
骸:改変されて別の駅に繋がる電車の怪異
夢の中と現実の境界線を曖昧にしてるのも
神隠しに近い現象を起こしているのも
改変した部分だろうね
駅員:そう、猿夢はその名の通り、夢で起こることだが、これは違う
実際に連れてこられている
織紙:死んだ乗客はどうしたの?
駅員:ホームの外、だよ
織紙:あら、そう
駅員:実際に連れて行き、殺す
そのまま駅に関連した怪異に繋げる
そこまで出来るのなら、相当に危険だ
骸:ただ、此処に来た時点で対価は払わないといけない
その対価が、そのマイクってわけね
駅員:あぁ、だが困る
これは紛い物なのかもしれない
此処には本物しかないのに
骸:僕もコトリバコと、くねくねを持っているよ
どちらも作られたヤツだけど
織紙:じゃあ、次は私の番かな?
骸ちゃんに会うからって私は持ってきたよ
はい、これ
骸:珍しい、今どき見ないよこれ
駅員:それも半々…どっちなんだ
織紙:私の意見で言えば、偽物よ
私が関わったのは、こっくりさん
話聞いた時は、狐だし嫌だったんだけど、一応専門だからね、見に行ったのよ
骸:狐はオサキに任せるのが一番だよ
織紙:反吐が出る
それに、こっくりさん如き私で十分だから
骸:何が改変されていたんだい?
織紙:漢字で書くと狐、狗、狸
または狢を書くこともあるけど
つまりは動物霊を降霊する占いでしょ?
はい、これよく見て
駅員:鬼、鬼が憑いてる…
織紙:そう、呼び出したのが鬼なのよ
骸:餓鬼か…これをやったのは?
織紙:小3の女の子4人
憑かれたのはその内、2人
残りが私の所に来たって感じかな
骸:言葉遊びが好きな奴らだ
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織紙:私が見た時には、お互いをひん剥いて
お互いを食べようとしてたわね
あれは欲食かな
骸:人間の遊び場に行くとされてはいるけど
…あぁ、なるほど
盗る物が無くて、お互いをね
駅員:気持ちが悪いな
見たくない代物だ
骸:キミたちはそうだろうね
こっくりさんとしては、偽物だけど、降霊術としては本物だ
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だけど、向こうじゃ限界があってね
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あぁ、織紙はただ連れてきただけだよ
まさか関わっているとは思わなかった
織紙:そういうことにしておきましょう
駅員:何が欲しいんだ?
だが、そこの女が言ったように
外に出すのは禁忌だ
骸:うん、だから
向こうで見つけられるモノがないかなって
駅員:……なるほど
骸:僕が以前、ことろう駅に行った時
ミツメイシってやつを見せてもらったんだけど
あれはもう無かったんだ
それに此処にあるモノに詳しいんだろう?さい駅はね
駅員:情報収集に長けた怪異、か
フフ、フフフ、アハハ!
まるで道具のように使うじゃないか
織紙:あら、骸ちゃんに使われるなら本望よね?
私も情報収集手伝うから言ってね
骸:ありがたく受け取っておくよ
それで、どうだい?
何か教えてくれないかな?
駅員:そこの女がいるだろう?
何故使わない?それこそ専門なんだろう?
織紙:たしかに私は呪術は扱えるけど
扶鸞でも使えって?
駅員:自動書記なら、話に出た
狐狗狸でいいだろう?
神仏霊を頼るならの話だ
骸:やっぱりそうなるんだね
もっと手っ取り早いのあるかと思ったんだけど
駅員:お前ほどのやつが頼るんだろう?
自分の収集で十二分だろうにさ
使い勝手のいい駒は渡さないよ
骸:それは……人間に対しての話かい?
駅員:いいや、そっちの世界に対して、だ
骸:フフッ、期待はしてなかったけど
そういう立ち位置なんだね
駅員:わざわざ貴重な切符を使ったのに
手柄が無くて残念だね
骸:いいや、全く
元々これは本題だけど、期待はしてないって言ったでしょ?
織紙:あっちに戻ったら少しやってみようかな
情報収集
骸:助かるよ、織紙
駅員:ただ、久しぶりにいっぱい話せたから
一つだけやってあげる
骸:うん?何をやるんだい?
駅員:あぁ、見ないでくれ
アンタらは違うやつ見ててくれ
骸:解ったよ
【間】
織紙:それにしても凄い量ね
骸ちゃんは頑なに見せてくれないから
こんな量、見たことない
骸:見せびらかすモノじゃないからね
駅員:待たせたね、これだよ
紙に書かれた文字を見せる駅員
骸:……
織紙:命?
骸:あぁ、やっぱり
いるんだ、そういう人間が
織紙:どういうこと?
骸:その文字通り
命を与え、命を下す
織紙:新解釈怪異譚の命そのもの…?
骸:僕は一人会ったんだ
怪異じゃない、作ってる側だ
だけど、アレは違った
やっぱり別にいるね
織紙:霊能力者っていうより神に近くない?
そんなふざけた力
骸:僕の眼も、だろう?
織紙:…そうね、いてもおかしくないか
駅員:怪異に命を与え、新しい命令を下す
それが改変か
命と呼べば神に等しい
骸:うん、助かったよ
これで色々動き易い
駅員:さて、そろそろ切符を売ろうか
アンタらは対価に何を置いていく?
骸:織紙、あれ出してよ
織紙:はいはい、どうぞ
駅員:このファイルに結界が張ってあるのは?
織紙:ネタバラシ
中身は心霊写真よ
駅員:あぁ、閉じ込めているのか
織紙:そ、表は写真家ですからね
写真に残ってる残穢なんて、そうそう脅威ではないけど
本物は少し面倒だからね
駅員:何枚ある?
織紙:30枚くらい?
骸:足りるかい?
駅員:会話も査定だから
ギリギリにしといてあげる
骸:子ども料金でもいいよ?
駅員:アンタは騙せそうだ
そっちの女は無理だろう
織紙:あら、大人の魅力が解るのかしら?
それに骸ちゃん、そんな狡いことするのね?
骸:ははっ、何が狡いのか分からないな
駅員:今回は渡さない
次は自力で来るんだな
骸:繋げてくれるのかい?
駅員:それは、駅次第だね
織紙:そうだ、これもあげる
駅員:名刺?
織紙:独自のルート、あるんでしょ?
駅員:共有しておく
織紙:あら、私はアナタたちが好きなのに
駅員:独り占めはダメなんだ
さ、電車が来たよ
骸:また、来るよ
織紙:次はホームの外を見てみたいところね
駅員:あぁ、案内はしないよ
じゃあ、さようなら
【間】
電車に乗り、眠る
気がつくと元の世界に戻っていた
織紙:意外と近くまで送ってくれたのね
骸:優しい子たちだ
織紙:じゃ、帰ろうかな
骸:今日はありがとう
お土産までもらっちゃった
織紙:鬼の出る占いなんて必要ないからね
骸:悪いモノでもないよ?
未来を聞けば教えてくれるかも
織紙:あっは!不気味に笑うだけよ、そんなの
骸:ハハッ!やっぱりキミは面白いね
オサキのこと、そろそろ認めてね
織紙:反吐が出る
反吐が出るほど認めてるわよ
ただ、反吐が出るほど嫌いなだけ
骸:そういうことにしておくよ
織紙:それじゃ、骸ちゃん
また面白い場所に連れて行ってね
骸:あ、織紙
織紙:何?
骸:僕が会ったのは四月一日って奴
どうせ偽名だけど、エセ関西弁の男だった
これもどうせキャラ付けだけど
織紙:覚えとくわ
骸:それで?織紙が見たのは?
織紙:……それが本題?
骸:うん、いいモノ見れたでしょ?
織紙:隠すつもりはなかったよ
ただ、子どもを傷つける奴は、私が見つけて殺したいのよ
骸:うん、知ってる
織紙:たけど……そうね、骸ちゃんになら
私が見たのは男だった
言葉も交わしてない
すぐに逃げられたからね
ただ、牛鬼みたいなことをしてた
骸:牛鬼?
織紙:追いかけて殺そうとしたんだけど
建物の影を舐めて燃やして帰ったわ
骸:ふぅん…なるほどね
織紙:だから名前も解らない
もしかしたらその四月一日ってやつかも
骸:多分違うね、アイツはお喋りだった
織紙:キャラ変かもよ
あーあ、私が関わったの知らないって話してたのに知ってたのね
骸:この業界は耳が重要だからね
織紙:敵わないなぁ、骸ちゃんには
耳より目の方が良いくせに
耳は女の特権よ
骸:まるで僕が女じゃないって言い方だ
織紙:あら?だったら女って断言してもいいのよ?
骸ちゃんを知るためなら安い情報ね
骸:遠慮しておくよ
織紙:そうでなくちゃね!
はい、これで隠し事はなし
帰るわ
骸:またね、織紙
そう言い、一人帰る織紙
それを見送る骸は、少し笑っていた
骸:命、ね
大層な名前だよ、全く
鬼の駅 終
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