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奇妙な仲間たち

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 薄手の掛け布団を左手で握りしめたまま、しばらく時が流れる。
 今から二度寝するわけにもいかず、とりあえず顔を洗いに行こうかと瞼を開いた時だった。
 右手首を囲む飾りに気づいたのは。
 それを見た瞬間、パッと視界が開けたようになる。
 何度もくっついては離れる瞼の前で、金糸にぶら下がった鈴が蜂蜜色に輝いている。
 昨夜確かにこの手で引きちぎって、投げ捨てたはずなのに。
 何事もなかったかのように、静かに私を見守る光。
 驚きよりも、恐怖よりも先に、ふっと気が抜けるような、あたたかな空気が舞い降りる。
 きっとあの人のせいだ。いらないと突き放したものが、戻ってきて安心するなんて。
 ――猫宮さん。
 自然と脳内に浮かび上がる名前。
 お守りと同系色の髪と瞳、ふんわかした笑顔が描かれ、なかなか消えてくれない。
 ほんの僅かな時間だったのに、あまりに印象的すぎた。
 落ち着いて向き合えたなら、もっといろんな話ができたのだろうか。
 次に会う時には猫の置き物を用意しておくと言っていたし――。
 そこまで考え我に返った私は、ブンブン首を左右に振った。
 
「――って、いやいや、別にまた行きたいわけじゃないし……」

 自らの思考から逃れるように、勢いよくベッドを降りる。そしてサイドテーブルに置いた黒のシュシュを手にし、長い髪を束ねながらドアを開けてダイニングに出た。
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