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奇妙な仲間たち

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「それにね、初めて出した僕の料理で泣いてくれたんだよ」
「――えっ!? だ、だから泣いてませんってば!」
「うるうるは泣いてるうちに入るもんねーっ」

 もんね……って。
 大人っぽいんだか子供っぽいんだかよくわからない。
 わからないけれど、とにかく顔面が熱い。
 ここに火の元なんてないはずなのに、どこから発火したのだろう。
 膝に手を置き縮こまる私を前に、猫宮さんは悪戯が成功した童のように笑っていた。

「そうだったのね! それは嬉しいはずだわ、一気に距離が近づくのも頷けるわぁ、ねっ、繁ちゃん?」

 いつの間にか天井に届きそうなほど白い皿に積まれた肉料理。
 唐揚げ、ハンバーグ、ステーキなどの定番メニューに素手でかじりついていた繁寅さんは、卯瑠香さんの一言でふと私に顔だけ向けた。
 虎らしい鋭い牙に脂で光った口の周り、サバンナの猛獣を思わせるその姿は見ていてとても安らげるものではなかったが。

「……まあ、悪い奴じゃねえみてえだし、いいんじゃね?」

 まさかの激チョロ。
 食事を再開する繁寅さんは相変わらず無愛想だったが、先ほどまでの威嚇のような圧力が消えている。
 猫宮さんからのエピソードを聞いたからといって、こうも容易く警戒心が解けるとは。
 十二支に悪い人はいない……のだろうか?
 食事形態を除けば、案外わかり合えたりするとか。

「……やっぱり、虎だからお肉が好き、なんですね?」
「ううん、あれぜーんぶお豆腐だよ」

 清々しい裏切りという名の突風が吹き抜けた。
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