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奇妙な仲間たち

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「田崎さんに出すのはいつも奥様の手料理なんですよ」
「ね、猫宮くんっ、余計なことは」
「いいじゃないですか、たまには恥もかいてみるものですよ、格好つけてばかりじゃ繋がらない縁もあります」

 ハンバーガータワーがなくなり、再びクリアになった視界に立つ猫宮さん。
 諭すように言われた部長は照れくさそうに頭を掻いた。

「そうですよ、私なんて最高に恥ずかしい食意地見せたんですから」
「いや、はは、それもそうだな」

 部長は手を合わせ「いただきます」と小さく言うと、焦茶色の箸で摘んだ糸こんにゃくをつるりと一筋飲み込んだ。
  
「これがね……嫁さんの実家じゃあ入れなかったって。だけどわしが肉じゃがには絶対糸こんだって言うもんだから、毎回入れてくれるようになってね」

 部長は目の前の一皿を眺めながら、思い出を振り返るように話した。
 カツオか昆布か、出汁の効いた素朴でいい匂いがする。
 食べる相手への気遣い、そんな優しさが窺えるエピソードに、部長の奥さんの人柄まで浮かぶようだ。
 食は生きとし生けるもの、すべての命に通じるその人の鏡と言えるかもしれない。
 わざわざこの店に来て、奥さんの手料理の再現を食べている部長。
 奥さんが作ってくれたら、そんな回りくどいことをする必要などないのに。

「……離婚する予定でね」

 二度とありつけないと知ったからこそ、感情を込めて大事に味わっているのだろうか。
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