薔薇の耽血(バラのたんけつ)

碧野葉菜

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棘病

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「いいよ」
「……えっ……?」
「吸ってあげても。君の血を」

 嘘のような美汪の言葉に、穏花は驚嘆し、しばし唖然とした。

「く、黒川、君、それって、やっぱり、黒川君は……吸血鬼……って、こと?」
「君たちのような人間がなんて呼ぼうと興味はないよ。……で?」
「……え?」

 明瞭な返答はせず、穏花に何か催促するように疑問符を投げかける美汪。
 それに対し穏花は、どうしたらいいかわからず首を傾げた。
 そんな穏花の間抜けな様子に、美汪は腕を組むと苛立つように少し口調を早めた。

「見た目の通り頭が悪いらしいね。君は僕に血を吸われに来たんでしょう? ならお願いしなよ」

 ようやく美汪の言いたいことを理解した穏花は、膝に抱えていたみちるを地面に横たえると、身体ごと美汪に向け、正座の状態で少し頭をもたげた。

「……お……お願い、します」
「それが僕にものを頼む態度?」
「あ、お、お願い、します……!」
「何を、どうお願いするの? 別に僕はいいんだよ、君の血なんか欲しくもないし、勝手にのたれ死ねば?」

 頭上から降り注ぐあまりに無慈悲な言葉に、穏花は涙を浮かべながら屈辱に耐える紅く熟れた頬で救いを乞う。

「し、死にたく、ない……! わ、私の血を、吸って、ください……お、お願いしま」
「もっと深く跪きなよ」

 そう言って、非道な吸血族は少女の背を潰すように踏んだ。
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