薔薇の耽血(バラのたんけつ)

碧野葉菜

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吸血族の城

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「あの……美汪が六歳くらいだった、って?」
「ええ、不思議でしょう。通常吸血族も混血も私たち人間と寿命は変わらないのですがね。ぼっちゃまの本当の年齢は私も知りませんし、聞く必要もないと思っております。少しずつですが、確かに歳は取られているようではありますがね。なので、その時の見た目年齢に合った学校などに通いながら、世界をはしごしております」
「美汪は、その……怖い人たちに見つかっても大丈夫だと話していましたが」
「ほう、そこまで聞かれましたか。では、王域についても?」
「あ、は、はい、聞きました」
「ほう、ほう! あああのぼっちゃまがそこまで話されましたか!? それはそれはようございまし――ゴホッゴホッ!!」
「コーエンさん!?」

 穏花は突然咽せ出すコーエンに驚きながらも、急いで背中をさすった。

「ううむ、も、申し訳ございません、あの自分のことを話すのが嫌いなぼっちゃまがそこまで、と思うと、じいやはつい興奮してしまいまして……このところ歳のせいか咽せ返りがひどくてですねぇ、いや、失礼」
「い、いいえ」

 息を整えているコーエンに代わり、今度は穏花がフレイバーティーをカップに注ぎ入れた。

「……ふぅ、ありがとうございます、穏花お嬢様はお優しいですね」
「いいいえ、と、とんでもないです」
「では、話を戻しましょう……。その通り、ぼっちゃまはたった一人、その“怖い人たち”から恐れられる存在です。ぼっちゃまの力は歴代王位継承者にも類稀を見ない強大さですからね。歳を重ねるごとにその力は増しております。その“怖い人”――もう、腹が立ちますから巨悪とでもお呼びしましょうか。その巨悪たちはすっかり吸血族を殲滅した気でほうけて暮らしておりましたが、そこにぼっちゃまが訪問したのです。その時の顔面蒼白ぶりは見ものだったと、ぼっちゃまは皮肉たっぷりにおっしゃられていました」
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