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第四章
閑話 孤児院のビクトリアです。〜ビクトリア養女前夜
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「はじめまして、ビクトリア、5歳です。よろしくお願いします」
とか、毎日練習しているのは、やがて引き取ってくれる家の人にご挨拶する時のために…と、孤児院の院長先生は言うんだけど、私には必要ないと思うんだ。
だって今までこの孤児院から引き取られて行った子は髪色や瞳が綺麗な子ばっかり。そういう子が貴族に貰われていく。たまにガタイの良い子は裕福な農家に貰われて行く。
私みたいな黒髪黒目はここで大きくなって自力で生活していけるようにするしかないのよ。院長先生がそうだもの。
院長先生もこの孤児院の子だったの。そこそこ美人なのに貰われていかなかったのは黒髪黒目だったからだと皆知ってる。でも院長先生はいつもにこにこしてるの。孤児院がしょうにあってるから貰われなくて良かったって。しょうってなんだかわからないけど、とにかくここが好きってことよね。院長先生楽しそうだし、私もここのお手伝いしていけると良いなって思ってる。
最近院長先生が特ににこにこしてるから訳を聞いてみたの。そしたら一枚の新聞を見せてくれたわ。
びっくりした。
綺麗な貴族の子どもたちが載ってたの。中でもビックリなのが赤ちゃんみたいな子どもなんだけど、めちゃくちゃ綺麗な子どもが二人いるのよ。
こうしゃくさまとこうしゃくさまの子どもなんだって。こうしゃくさまって響きは同じでもなんか違うらしい。まぁ私には貴族なんて関係ないからわからなくていいんだけど。ただ、その子たちのことは綺麗すぎて気になるの。なんて書いてあるのか知りたいから院長先生に聞いたら「マグヌス殿下、従兄弟たちと遊ぶ」って書いてあるって。
教えてもらったのは写真の見出しだけ。細かい字のところは長くて全部読んでもらえなかったけど、院長先生が簡単に話してくれたわ。マグヌス殿下が従兄弟たちとヴァイオリンを弾いたり迷路を作ったりしたんですって。
ヴァイオリンは知ってるわ。時々孤児院に慰安訪問というので楽器を弾いてくれる人たちが来るの。ワクワクするような曲から悲しくなるような曲まで色々聴かせてくれる。その中にヴァイオリンがあったわ。
私は音楽大好き。同じ楽器で『楽しい』から『悲しい』まで音で変えられるって凄いわよね。特に楽しい曲と眠くなる曲が好き。私は楽器は買えないから歌を歌うの。それから、しなる枝に紐を一本張って、所々押さえながら紐を弾くと音が変わって楽器みたいになるの。くぐもった音だけどそういう楽器だと思えば良いの。それを使って歌うの。
歌は院長先生やお手伝いに来る人たちに教えてもらったり、子どもたちみんなで作ったりしたものよ。
そんなある日、晴れていたから畑の作物の手入れをして、お洗濯は染み抜きもして…染み抜きって好き、工夫次第でみるみる布が綺麗になるの。魔法を使ってるみたいな気持ちになるから…全部干して、院長先生のお部屋のお花を換えたの。院長先生はそこまでしなくて良いと言うんだけど、お手伝いするのは大好き。新しい発見が沢山あるし、色んな工夫を覚えられるし、人の癖なんかもわかりやすいの。誰の服にはここにシミがつきやすいのはこんな癖があるからだとか、院長先生は机に飾ったお花の散り落ちた花びらを机の右端から並べる癖があるとか…ね、なんだか面白いでしょ?
それで今日はもうお手伝いしなくて良いと言われたんだけど、良いお天気だし何かしたいから自家製の紐楽器(と名前をつけたの)を持って木陰に座って音を出しながら歌っていたわ。
そうすると孤児院の小さな子たちが集まってきて「ビクトリア姉ちゃん、あれ弾いて」「これ歌って」って賑やかになって、みんなで歌って踊って楽しいの。今日もそうやって歌い踊っていたら院長先生が見たことないような美人の男の人と美人の女の人と一緒にやってきて言ったわ。
「あちらにいるのが先日お話ししたビクトリアです」
美人の二人はどう見ても貴族。もしかして私は使用人として貴族のお屋敷に引き取られるの?まさか孤児院の先生になる以外の仕事が私に?なんだかとってもドキドキしてきた。外の世界って自分には無縁だから知ろうともしなかったけど、使用人ていろんなお手伝いを仕事にするのよね。なんか私に向いてそう。
とか思っていたら院長先生が衝撃の一言を言ったわ。
「ビクトリア、こちらの伯爵様があなたを養女に迎えたいのですって」
はあっ⁉︎ヨウジョって言った?それって使用人じゃなくて家族って意味では?院長先生、間違えてます。貴族様に失礼です。って固まっていたら、美人の男の人がしゃがんで言ったわ。
「やぁ、ビクトリア。君に私たちの娘になってもらいたいのだが、君は私たちを父親と母親にしてくれるかい?」
美人の女の人は立ったままだけど、少し屈んで言ったわ。
「あなたさえ良ければうちの娘になって、秋から王立初等学園の生徒になってもらいたいのだけど、どうかしら?」
なんて?
「はじめまして、ビクトリア、もうすぐ6歳です…」
使うとこあったわ。だけど「よろしくお願いします」は言えなかった…現実味がなくて…。
…私、どうなってしまうの?
とか、毎日練習しているのは、やがて引き取ってくれる家の人にご挨拶する時のために…と、孤児院の院長先生は言うんだけど、私には必要ないと思うんだ。
だって今までこの孤児院から引き取られて行った子は髪色や瞳が綺麗な子ばっかり。そういう子が貴族に貰われていく。たまにガタイの良い子は裕福な農家に貰われて行く。
私みたいな黒髪黒目はここで大きくなって自力で生活していけるようにするしかないのよ。院長先生がそうだもの。
院長先生もこの孤児院の子だったの。そこそこ美人なのに貰われていかなかったのは黒髪黒目だったからだと皆知ってる。でも院長先生はいつもにこにこしてるの。孤児院がしょうにあってるから貰われなくて良かったって。しょうってなんだかわからないけど、とにかくここが好きってことよね。院長先生楽しそうだし、私もここのお手伝いしていけると良いなって思ってる。
最近院長先生が特ににこにこしてるから訳を聞いてみたの。そしたら一枚の新聞を見せてくれたわ。
びっくりした。
綺麗な貴族の子どもたちが載ってたの。中でもビックリなのが赤ちゃんみたいな子どもなんだけど、めちゃくちゃ綺麗な子どもが二人いるのよ。
こうしゃくさまとこうしゃくさまの子どもなんだって。こうしゃくさまって響きは同じでもなんか違うらしい。まぁ私には貴族なんて関係ないからわからなくていいんだけど。ただ、その子たちのことは綺麗すぎて気になるの。なんて書いてあるのか知りたいから院長先生に聞いたら「マグヌス殿下、従兄弟たちと遊ぶ」って書いてあるって。
教えてもらったのは写真の見出しだけ。細かい字のところは長くて全部読んでもらえなかったけど、院長先生が簡単に話してくれたわ。マグヌス殿下が従兄弟たちとヴァイオリンを弾いたり迷路を作ったりしたんですって。
ヴァイオリンは知ってるわ。時々孤児院に慰安訪問というので楽器を弾いてくれる人たちが来るの。ワクワクするような曲から悲しくなるような曲まで色々聴かせてくれる。その中にヴァイオリンがあったわ。
私は音楽大好き。同じ楽器で『楽しい』から『悲しい』まで音で変えられるって凄いわよね。特に楽しい曲と眠くなる曲が好き。私は楽器は買えないから歌を歌うの。それから、しなる枝に紐を一本張って、所々押さえながら紐を弾くと音が変わって楽器みたいになるの。くぐもった音だけどそういう楽器だと思えば良いの。それを使って歌うの。
歌は院長先生やお手伝いに来る人たちに教えてもらったり、子どもたちみんなで作ったりしたものよ。
そんなある日、晴れていたから畑の作物の手入れをして、お洗濯は染み抜きもして…染み抜きって好き、工夫次第でみるみる布が綺麗になるの。魔法を使ってるみたいな気持ちになるから…全部干して、院長先生のお部屋のお花を換えたの。院長先生はそこまでしなくて良いと言うんだけど、お手伝いするのは大好き。新しい発見が沢山あるし、色んな工夫を覚えられるし、人の癖なんかもわかりやすいの。誰の服にはここにシミがつきやすいのはこんな癖があるからだとか、院長先生は机に飾ったお花の散り落ちた花びらを机の右端から並べる癖があるとか…ね、なんだか面白いでしょ?
それで今日はもうお手伝いしなくて良いと言われたんだけど、良いお天気だし何かしたいから自家製の紐楽器(と名前をつけたの)を持って木陰に座って音を出しながら歌っていたわ。
そうすると孤児院の小さな子たちが集まってきて「ビクトリア姉ちゃん、あれ弾いて」「これ歌って」って賑やかになって、みんなで歌って踊って楽しいの。今日もそうやって歌い踊っていたら院長先生が見たことないような美人の男の人と美人の女の人と一緒にやってきて言ったわ。
「あちらにいるのが先日お話ししたビクトリアです」
美人の二人はどう見ても貴族。もしかして私は使用人として貴族のお屋敷に引き取られるの?まさか孤児院の先生になる以外の仕事が私に?なんだかとってもドキドキしてきた。外の世界って自分には無縁だから知ろうともしなかったけど、使用人ていろんなお手伝いを仕事にするのよね。なんか私に向いてそう。
とか思っていたら院長先生が衝撃の一言を言ったわ。
「ビクトリア、こちらの伯爵様があなたを養女に迎えたいのですって」
はあっ⁉︎ヨウジョって言った?それって使用人じゃなくて家族って意味では?院長先生、間違えてます。貴族様に失礼です。って固まっていたら、美人の男の人がしゃがんで言ったわ。
「やぁ、ビクトリア。君に私たちの娘になってもらいたいのだが、君は私たちを父親と母親にしてくれるかい?」
美人の女の人は立ったままだけど、少し屈んで言ったわ。
「あなたさえ良ければうちの娘になって、秋から王立初等学園の生徒になってもらいたいのだけど、どうかしら?」
なんて?
「はじめまして、ビクトリア、もうすぐ6歳です…」
使うとこあったわ。だけど「よろしくお願いします」は言えなかった…現実味がなくて…。
…私、どうなってしまうの?
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