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桃の列車
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嗚呼、お母さん!僕はこれまで生きてきてたったの一度も、本当に一度も間違いを犯した事は無いのです。真面目に、誠実に生きてきたつもりです。両親の言う事は必ず守り、学校ではそれはもう真面目に勉学に部活に熱心に取り組んできました。周りの同世代にはその真面目さから馬鹿にされることもありましたがそれでもめげず、毎日を生きてきました。もし、神様が本当にいるとするならば酷い仕打ちです。
僕は今年何とか就職を決めることを出来た社会人一年目で今日が初めての出勤日なのです。しかし僕は、あらぬ緊張をしてしまい前の日の夜から全く寝付けず、羊を数えても逆に目が覚めてしまう程だったのです。いつも通りに寝たのに。
自分の意識から遠くに目覚まし時計の音が微かに聞こえる。慌てて起きると時計は七時四十五分と表示していて、一気に目が覚めました。僕は人生で初めて、寝坊というものをしました。
幸い、自宅から駅までは近いので走れば間に合います。朝ごはんは食べずに、新調したばかりのスーツを急いで身に纏い、自宅を慌てて出ました。
駅には時間ギリギリ、かろうじて着いたものの、発車するアナウンスが流れる電車が目の前にあり、選択の余地も無く、僕は一番近い車両に乗ってしまいました。満員電車でギュウギュウです。ドアが閉まり、動き出します。
乱れた息を整えながら僕は直ぐに異変に気がつきました。中には僕以外、女性しかいないのです。嗚呼、僕は死にたい気分になりました。嗚呼、神様!今日僕が寝坊したからですか!車内から痛い視線が刺さります。完全な場違い、嗚呼、早く降りたい。会社がある次の駅まで後二、三分ぐらい。僕は無実を心の中で主張して時が経つのを待ちます。
どうして女性専用車両に乗ってしまったのか、息が荒くなってしまっている僕は女性から見たらきっと気持ち悪いんだろうな、汗やばいなとか考えているうちに次の駅に着きました。ドアが開いた瞬間僕は一瞬で外に出て、車両の中にいる女性の方々に謝罪の意味を込め、深々と頭を下げました。ピッタリ九十度に。きっと僕の誠実さが彼女達に伝わっていればいいけれど。
似たようなスーツを着た大人達に潰されないように改札を抜け、目の前に会社があります。朝からトラブル続きではあったけど、これからまた真面目に仕事に取り組んでいこう。
ああ、朝の挨拶、何を言おうかな。
僕は今年何とか就職を決めることを出来た社会人一年目で今日が初めての出勤日なのです。しかし僕は、あらぬ緊張をしてしまい前の日の夜から全く寝付けず、羊を数えても逆に目が覚めてしまう程だったのです。いつも通りに寝たのに。
自分の意識から遠くに目覚まし時計の音が微かに聞こえる。慌てて起きると時計は七時四十五分と表示していて、一気に目が覚めました。僕は人生で初めて、寝坊というものをしました。
幸い、自宅から駅までは近いので走れば間に合います。朝ごはんは食べずに、新調したばかりのスーツを急いで身に纏い、自宅を慌てて出ました。
駅には時間ギリギリ、かろうじて着いたものの、発車するアナウンスが流れる電車が目の前にあり、選択の余地も無く、僕は一番近い車両に乗ってしまいました。満員電車でギュウギュウです。ドアが閉まり、動き出します。
乱れた息を整えながら僕は直ぐに異変に気がつきました。中には僕以外、女性しかいないのです。嗚呼、僕は死にたい気分になりました。嗚呼、神様!今日僕が寝坊したからですか!車内から痛い視線が刺さります。完全な場違い、嗚呼、早く降りたい。会社がある次の駅まで後二、三分ぐらい。僕は無実を心の中で主張して時が経つのを待ちます。
どうして女性専用車両に乗ってしまったのか、息が荒くなってしまっている僕は女性から見たらきっと気持ち悪いんだろうな、汗やばいなとか考えているうちに次の駅に着きました。ドアが開いた瞬間僕は一瞬で外に出て、車両の中にいる女性の方々に謝罪の意味を込め、深々と頭を下げました。ピッタリ九十度に。きっと僕の誠実さが彼女達に伝わっていればいいけれど。
似たようなスーツを着た大人達に潰されないように改札を抜け、目の前に会社があります。朝からトラブル続きではあったけど、これからまた真面目に仕事に取り組んでいこう。
ああ、朝の挨拶、何を言おうかな。
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