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第一話.時計屋の話
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昼休みの終わり、僕が席に戻ると、ヒバリの机の上に何か置いてあるのを見つけた。細長い、透明の瓶。中にはキラキラした砂のようなものが入っていた。
「……それ、なに?」
ヒバリが振り返り、いつものニヤついた顔を見せる。
「お、触るなよ。それ、時の砂だから」
「はいはい、また始まった」
「いやほんとに。あの時計屋で貰ったんだって。時間がちょっと削れたときに出る、レアアイテムらしいぜ?」
「時間が削れる?」
「そうそう、気が付かない内に時間が経過することとかあるじゃん。そういう時に出来るんだってよ」
なんか変な汗が出た。昨日の事を少し考える。
「…で、これ何に使えるの?」
「舐めるとね、10秒だけ時間がもらえるらしい」
「10秒だけ?」
「そりゃそうだろ。そんなにいっぺんに時間を削られたら、あっという間におじいちゃんになっちゃうじゃん」
「…」
「でも、舐めるのはおすすめしないよ。塩辛くて美味しくはない」
「え、舐めたの?」
「うん、塩分濃度高めだった」
「それ単に塩のタブレットなんじゃないの……」
僕はため息をつきながらも、つい笑ってしまった。本当にどうでもいい嘘を、堂々とつけるその才能はある意味すごい。
「ていうか、ほんとに時計屋なんてあったのかよ?」
「え?昨日お前、入ったろ?」
「……?」
僕は過ぎた時間を少し思う。ヒバリは肩をすくめた。
「ああ、そうか覚えていないのか」
意味深に言う。
「夢でも見たと思ってた?まあ、夢かもしれないけど。俺らの人生って、わりとフィクション寄りだしな」
チャイムが鳴り、僕らは前を向いた。授業が始まる。
……ふと、ヒバリの机の端に目をやると、瓶のラベルに、英語でこう書いてあった。
"TIME SALT – FOR PASTA OR PARADOX"
僕はもう一度ため息をついた。ポケットの中で、小さく“かちり”と何かが鳴った気がした。
「……それ、なに?」
ヒバリが振り返り、いつものニヤついた顔を見せる。
「お、触るなよ。それ、時の砂だから」
「はいはい、また始まった」
「いやほんとに。あの時計屋で貰ったんだって。時間がちょっと削れたときに出る、レアアイテムらしいぜ?」
「時間が削れる?」
「そうそう、気が付かない内に時間が経過することとかあるじゃん。そういう時に出来るんだってよ」
なんか変な汗が出た。昨日の事を少し考える。
「…で、これ何に使えるの?」
「舐めるとね、10秒だけ時間がもらえるらしい」
「10秒だけ?」
「そりゃそうだろ。そんなにいっぺんに時間を削られたら、あっという間におじいちゃんになっちゃうじゃん」
「…」
「でも、舐めるのはおすすめしないよ。塩辛くて美味しくはない」
「え、舐めたの?」
「うん、塩分濃度高めだった」
「それ単に塩のタブレットなんじゃないの……」
僕はため息をつきながらも、つい笑ってしまった。本当にどうでもいい嘘を、堂々とつけるその才能はある意味すごい。
「ていうか、ほんとに時計屋なんてあったのかよ?」
「え?昨日お前、入ったろ?」
「……?」
僕は過ぎた時間を少し思う。ヒバリは肩をすくめた。
「ああ、そうか覚えていないのか」
意味深に言う。
「夢でも見たと思ってた?まあ、夢かもしれないけど。俺らの人生って、わりとフィクション寄りだしな」
チャイムが鳴り、僕らは前を向いた。授業が始まる。
……ふと、ヒバリの机の端に目をやると、瓶のラベルに、英語でこう書いてあった。
"TIME SALT – FOR PASTA OR PARADOX"
僕はもう一度ため息をついた。ポケットの中で、小さく“かちり”と何かが鳴った気がした。
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