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4章 身体強化とその後のアレやコレ
12
窓から見える景色が夕焼けに染まる頃、部屋のドアがコッコッと鳴った。
このノックはメルヴィンだ。
二人に贈る衣装の包みを持って立ち上がりドアを開ける。
「お帰り、メルヴィン。」
「おう、ただいま。また珍しい服着てるんだな。準備が良けりゃあ、オレらの部屋に行くぞ。」
「……………。」
「なんだ?黙り込んで。」
「ちょっと入って。……………ただいまのキスは?」
メルヴィンを招き入れて尋ねる。
せっかくお帰りって言ったんだから、ただいまと言ってキスしてほしい。
「はっ!?」
「しないのか?」
「そういうわけじゃねえ。ホレ、顔寄越せ。」
そう言って、ちゅっと軽いキスをしてくれた彼の頬は赤く染まっていた。
顔寄越せとか、格好良いのに照れてるのか。
「あー、慣れないコトすると照れるな!」
何だそれ、可愛いな。
「これからたくさんしよう。メルヴィンからもしてくれるとうれしい。」
「おう、じゃあ行くぞ」と案内されたのは宿の裏手にある中庭の先だった。
宿の別館のような建物に招かれて中に入ると、ジェイデンが食器を並べているところだった。
「いらっしゃい。料理を運んだら準備できるから、もう少し待っていて。」
「お招きありがとう。手伝うよ。ソファに荷物を置かせてもらっても?」
「もちろん、ありがとう。」
荷物を置き、クリーンをかけてジェイデンの隣に並び、彼に顔を向ける。
「ん。」
きょとんとされたが、彼はすぐに俺の求めるものが分かったようで、目元を染めながらキスを落としてくれた。
「さすがジェイデン。言わずにわかったか。」
「ええ。その言い方だと、メルヴィンは気付いてくれなかったの?」
「お帰りと言ったけど、してくれなかったからねだった。慣れてないからって照れながらしてくれたよ。」
会話しながら料理を運んでいく。
「ふふっ。シオンと出会ってからメルヴィンが可愛く見えるようになったよ。それにしても珍しい服ですね?」
「俺の島の伝統的な服なんだ。生地に凹凸があって肌触わりがサラサラしているから、暑い時期に着るんだけど……ちょっとラフ過ぎたかな?」
「そんな事ないよ。肩のところから肌が見えて、目のやり場に、…ほんの少し困っただけ。」
「涼しいし、着るのも脱ぐのも楽なんだ。試してみたかったら二人のも作ろうか?気に入ってくれたらロバートさんにオーダーしても良いし。」
「それなあ…。申し出は嬉しいがお前さん、そんなにポコポコ物を作って、よく平気な顔してるよな。頭痛や倦怠感とかねえのか?」
メルヴィンがポコポコって言った!
そこはボコボコじゃないのか!?
本当に可愛い!
ジェイデンも微笑みながらメルヴィンを見てるし、彼も可愛いと思っているのだろう。
「そうだね。何も無いところから魔力で物を生み出すのは効率が悪くて、ある程度の大きさからは誰もやらないし。基本的には素材を変形したりして加工するものなのにね。」
「まあ、シオンは保有してる魔力量がとんでもなく多いってこったな。万能型だし、先が楽しみだ。」
「ええ、大いに期待しましょう。さあ、準備もできたし、温かいうちに美味しくいただきましょうか。シオンはこちらの席にどうぞ。」
礼を言って席に着くとメルヴィンが食事の開始を告げた。
「今日の糧に感謝を。」
「感謝を」とジェイデンが続けたので俺もそれに倣った。
「いただきます」じゃないのは慣れないが、郷に入ったからには、郷に従うことにする。
屋台メシでは言っていなかったので、夕食か、自宅の席に着いて食べるときに感謝を捧げるのだろう。
料理にはジェイデンが市場で買い求めた食材がふんだんに使われていた。
つまり、夜に頑張るためのメニューなのだが…………効き過ぎたりしないよな?
しつこいからもうしたく無いなんて言われたら凹むぞ。
食事が進むとジェイデンがキッチンへ行き、追加の料理を出してくれた。
「これって……。」
温かく湯気が立ち昇るそれは、ベーコンとキノコが入ったチーズの香りがするリゾットだった。
俺が昼間好きだと言った食材が入っていてすごくうれしい。
「少しだけど、食料庫にあったからメルヴィンと作ってみたんです。好みの味だと良いのだけれど。」
「よせよ。オレはチーズ削っただけだろ。」
「それにしてはいつになく気合いが入っていたでしょう?」
「言うなよ!」
ああ、俺の嫁たちが尊い……。
「はぁ…。また嫁って……。」
「くっ、自惚れんなオレ。チーズ削っただけだろうが。」
また口から出てたか。
「ジェイデン、ありがとう。メルヴィン、気持ちだけでもうれしい。ありがたくいただくよ。はむっ………………すごく美味い。幸せの味って、こういうもののことなんだろうな。また二人が作ってくれた料理を食べたい。」
「わたしもまた食べてもらいたいな。」
「そっ、そうかよ。」
二人とも照れているのに印象が大分違うが、どちらも可愛い。
食事が終わって、3人で片付けをする。
キッチンに造り付けてある食洗機のような大きな引き出しに、使った食器などを入れて魔力を流すだけでキレイになって驚いた。
一つ一つクリーンするのは面倒だし、水を節約するためだろうが、凄い時短だ。
日本で台所を預かる人々が泣いて欲しがりそうな魔道具だな。
ソファで食後のお茶を飲みつつ、こんなにまったり寛いでいて良いのだろうか…と思っていたら、ジェイデンが「帰り道に言ってないことがあるのだけれど…」と口を開いた。
このノックはメルヴィンだ。
二人に贈る衣装の包みを持って立ち上がりドアを開ける。
「お帰り、メルヴィン。」
「おう、ただいま。また珍しい服着てるんだな。準備が良けりゃあ、オレらの部屋に行くぞ。」
「……………。」
「なんだ?黙り込んで。」
「ちょっと入って。……………ただいまのキスは?」
メルヴィンを招き入れて尋ねる。
せっかくお帰りって言ったんだから、ただいまと言ってキスしてほしい。
「はっ!?」
「しないのか?」
「そういうわけじゃねえ。ホレ、顔寄越せ。」
そう言って、ちゅっと軽いキスをしてくれた彼の頬は赤く染まっていた。
顔寄越せとか、格好良いのに照れてるのか。
「あー、慣れないコトすると照れるな!」
何だそれ、可愛いな。
「これからたくさんしよう。メルヴィンからもしてくれるとうれしい。」
「おう、じゃあ行くぞ」と案内されたのは宿の裏手にある中庭の先だった。
宿の別館のような建物に招かれて中に入ると、ジェイデンが食器を並べているところだった。
「いらっしゃい。料理を運んだら準備できるから、もう少し待っていて。」
「お招きありがとう。手伝うよ。ソファに荷物を置かせてもらっても?」
「もちろん、ありがとう。」
荷物を置き、クリーンをかけてジェイデンの隣に並び、彼に顔を向ける。
「ん。」
きょとんとされたが、彼はすぐに俺の求めるものが分かったようで、目元を染めながらキスを落としてくれた。
「さすがジェイデン。言わずにわかったか。」
「ええ。その言い方だと、メルヴィンは気付いてくれなかったの?」
「お帰りと言ったけど、してくれなかったからねだった。慣れてないからって照れながらしてくれたよ。」
会話しながら料理を運んでいく。
「ふふっ。シオンと出会ってからメルヴィンが可愛く見えるようになったよ。それにしても珍しい服ですね?」
「俺の島の伝統的な服なんだ。生地に凹凸があって肌触わりがサラサラしているから、暑い時期に着るんだけど……ちょっとラフ過ぎたかな?」
「そんな事ないよ。肩のところから肌が見えて、目のやり場に、…ほんの少し困っただけ。」
「涼しいし、着るのも脱ぐのも楽なんだ。試してみたかったら二人のも作ろうか?気に入ってくれたらロバートさんにオーダーしても良いし。」
「それなあ…。申し出は嬉しいがお前さん、そんなにポコポコ物を作って、よく平気な顔してるよな。頭痛や倦怠感とかねえのか?」
メルヴィンがポコポコって言った!
そこはボコボコじゃないのか!?
本当に可愛い!
ジェイデンも微笑みながらメルヴィンを見てるし、彼も可愛いと思っているのだろう。
「そうだね。何も無いところから魔力で物を生み出すのは効率が悪くて、ある程度の大きさからは誰もやらないし。基本的には素材を変形したりして加工するものなのにね。」
「まあ、シオンは保有してる魔力量がとんでもなく多いってこったな。万能型だし、先が楽しみだ。」
「ええ、大いに期待しましょう。さあ、準備もできたし、温かいうちに美味しくいただきましょうか。シオンはこちらの席にどうぞ。」
礼を言って席に着くとメルヴィンが食事の開始を告げた。
「今日の糧に感謝を。」
「感謝を」とジェイデンが続けたので俺もそれに倣った。
「いただきます」じゃないのは慣れないが、郷に入ったからには、郷に従うことにする。
屋台メシでは言っていなかったので、夕食か、自宅の席に着いて食べるときに感謝を捧げるのだろう。
料理にはジェイデンが市場で買い求めた食材がふんだんに使われていた。
つまり、夜に頑張るためのメニューなのだが…………効き過ぎたりしないよな?
しつこいからもうしたく無いなんて言われたら凹むぞ。
食事が進むとジェイデンがキッチンへ行き、追加の料理を出してくれた。
「これって……。」
温かく湯気が立ち昇るそれは、ベーコンとキノコが入ったチーズの香りがするリゾットだった。
俺が昼間好きだと言った食材が入っていてすごくうれしい。
「少しだけど、食料庫にあったからメルヴィンと作ってみたんです。好みの味だと良いのだけれど。」
「よせよ。オレはチーズ削っただけだろ。」
「それにしてはいつになく気合いが入っていたでしょう?」
「言うなよ!」
ああ、俺の嫁たちが尊い……。
「はぁ…。また嫁って……。」
「くっ、自惚れんなオレ。チーズ削っただけだろうが。」
また口から出てたか。
「ジェイデン、ありがとう。メルヴィン、気持ちだけでもうれしい。ありがたくいただくよ。はむっ………………すごく美味い。幸せの味って、こういうもののことなんだろうな。また二人が作ってくれた料理を食べたい。」
「わたしもまた食べてもらいたいな。」
「そっ、そうかよ。」
二人とも照れているのに印象が大分違うが、どちらも可愛い。
食事が終わって、3人で片付けをする。
キッチンに造り付けてある食洗機のような大きな引き出しに、使った食器などを入れて魔力を流すだけでキレイになって驚いた。
一つ一つクリーンするのは面倒だし、水を節約するためだろうが、凄い時短だ。
日本で台所を預かる人々が泣いて欲しがりそうな魔道具だな。
ソファで食後のお茶を飲みつつ、こんなにまったり寛いでいて良いのだろうか…と思っていたら、ジェイデンが「帰り道に言ってないことがあるのだけれど…」と口を開いた。
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