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【最終章 西上作戦】 武田家を滅ぼす策略に抗うべく、信長と家康打倒を決断す
第五十五話 義信事件
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およそ10年前、川中島。
「何たる無様な戦ぞ!
ただの消耗戦ではないか!」
想定外の遭遇戦によって生じた無秩序な乱戦に早く決着を付けるため……
上杉謙信は、自ら陣頭に立つことを決めた。
「敵の精鋭は右翼と左翼にいるはず。
次々と新手を送り込んで右翼を右に、左翼を左へ押し込め!」
上杉軍は数の利を活かして次々と新手を送り込み、武田軍の両翼を左右に押し込み始める。
まるで中央から送り込まれた新手の兵が、左右へ車輪のように回転しているように見えた。
これを見た者は、『車懸の陣』と名付けた。
武田軍の両翼を左右に押し込んだことを確認した謙信は、馬に跨がってこう叫ぶ。
「これより我らは……
乾坤一擲の突撃を仕掛けて敵陣の中央を突破する!
全ては、この戦の決着を付けるためなのだ!
命を惜しむな、名こそ惜しめ!
わしに続けぇっ!」
陣頭に立った謙信を先頭に上杉軍の騎馬隊が突撃を開始した……
その瞬間。
何もないはずの場所から、武田軍の一部隊が不意に現れたのだ!
武田信玄の長男・太郎義信が率いる800人の部隊であった。
突如として出現した義信隊に、上杉軍の将兵は驚愕した。
◇
想定外の遭遇戦となったとき。
義信は、こう考えていた。
「謙信は何よりも『攻勢』を好む男。
加えて卑怯者の如き振る舞いを忌み嫌う男と聞く。
己を安全な場所に置かず、常に陣頭に立って己の命を危険に晒すことを心掛けるだろう」
こう結論付けた。
「謙信は必ず、自ら陣頭に立って決着を付けようと乾坤一擲の突撃を仕掛けて来るに違いない。
敵の中央を突破できれば勝利できるが、突破できなければ敵中に孤立する、まさに捨て身の戦法……
『中央突破戦法』だ。
序盤からこんな捨て身の戦法を使うなど、非常識極まりないとは思うが……
あの謙信なら躊躇なくやるだろう。
これは、由々しき事態ぞ?
数で勝る上杉軍の中央突破戦法をまともに食らえば、数で劣る我ら武田軍本隊は間違いなく崩壊する!」
義信は、自分が率いる800人の将兵に対して非常識極まりない指示を出した。
「わしの合図があるまで武田菱の軍旗を伏せ、周囲にある葦の中に隠れておれ。
謙信の中央突破戦法を阻止することが我らの使命なのだ」
そして、義信の部隊は上杉軍の『視界』から消え失せた。
◇
「今だ!
全軍突撃!」
何もないはず場所から不意に現れた義信の部隊が、中央突破を狙う上杉軍の柔らかい横腹へ一直線に突っ込んでいく。
驚愕した上杉軍の将兵はこんな声を上げ始めた。
「あの部隊の大将……
何と叫んだか、聞いていたか?」
「『今だ!』
と叫んでいたな」
「その反応……
おかしいとは思わんか?」
「も、もしや!
我らの狙いは最初から見抜かれていたと?」
「うむ。
その上で……
敵は、『罠』を仕掛けて持ち構えていたに違いない」
「しかし!
これは、想定外の遭遇戦だぞ?
罠を仕掛ける余裕があったとは思えないが……」
「ならば、あんなにも『早く』反応できたのはなぜじゃ?
おかしいではないか」
「我らは……
敵の罠に嵌まりつつあると!?」
「恐らく。
他にも『伏兵』が隠れているに違いない!」
「一度止まって様子を見よう!
このまま突撃するのは『危険』極まりないぞ!」
相手の反応があまりにも早い場合、ついつい余計なことを考えてしまうのも人間の特徴の一つだと言える。
何事も……
一切躊躇せず、ひたすら前に突き進むのは難しいことだ。
守るべきものがある人間は特に。
こうして余計なことを考えた一部の上杉軍将兵の足が止まってしまう。
その一瞬の隙を、信玄の弟・信繁の部隊が突いた。
義信は、謙信の中央突破戦法を見事に破綻させ……
武田軍本隊の崩壊を防ぐことに成功したのである。
◇
父と子の会話に舞台を戻そう。
「武田軍本隊の崩壊を救った真の将が、義信だったと申すのか!?」
「そうなのです」
「本人はそんなことを申していなかったが?」
「兄は謙虚な御方でした。
己一人の武功とすることなど、決して致しません」
「……」
「加えて兄はただ一人、想定外の遭遇戦となる可能性も『見抜いて』いたとか。
そのことを信繁殿に忠告したようですが……」
「何と!
甥の忠告を聞いた信繁は、どう反応したのじゃ?」
「信繁殿は死に急いでいました。
無数の人を殺した良心の呵責に苛まれ、上杉謙信と直接ぶつかることを強く望んでいたのです」
「忠告を握り潰したのか……!」
「兄は信繁殿の『名誉』を守ることを優先し、忠告を握り潰されたことを誰にも話さなかったようです」
「……」
「父上。
これだけでも、兄が真に優れた人物であったことがお分かりでしょう?」
「……」
「思い出してください。
兄はこう申していたはず。
『それがしは、今川家への侵略に反対はしません。
その代わり……
前田屋とは手をお切りください!
あの者と手を組む限り、真の平和と安全を達成することなどできないからです!』
と」
「ああ……
そう申していたな」
「父上。
それがしも、はっきりと申し上げます。
兄の言葉に耳を傾けて前田屋と手を切っていれば……
我が妻が死ぬことも、望まぬ戦いを始める必要もなかったのではありませんか?」
「……」
◇
父は深い溜息を付く。
「勝頼よ……
息子よ。
そなたの申す通りじゃ」
勝頼の息が、少し荒くなった。
「父上。
重ねて失礼な物言いをお許しください。
兄は、立派な御方でした。
それなのに……
それなのに、なぜ!
謀反の疑いを掛けて後継者から外しただけでなく……
自害[自殺のこと]に追い込んだのですか!」
武田信玄が嫡男である義信を自殺にまで追い込んだ、前代未聞の粛清事件。
歴史書では『義信事件』と呼ばれている。
◇
感情を抑えられない息子に対し、父は穏やかに語り始めた。
「あのとき……
桶狭間の戦いで今川義元という優れた当主を失った今川家の勢いは、急激に衰えていた。
わしはこう考えた。
『鉄砲は、戦の有り様を劇的に変えた。
これからは間違いなく鉄砲の時代となる。
鉄砲を撃つには弾丸と火薬が不可欠だが、その量は限られており、武器商人と手を組むことをしなければ手に入らん。
衰えた今川家を侵略し、甲斐国[現在の山梨県]にはない、海に面した港を我が物とすれば……
武器商人が堺から直接船を回して弾丸と火薬を大量に送り届けることが可能となるのじゃ』
と」
「豊富な弾丸と火薬という『最強の武力』を持てば……
武田家の領地を侵略しようなどと考える愚か者は、誰一人として現れなくなり、真の平和と安全が達成できると?」
「うむ」
「『平和は簡単に達成などできない。
強大な武力を以って相手から一目置かれるか、強大な武力を持つ者の所有物に甘んじるか。
二つに一つしかない』
それがしは、兄からこう教わりました」
「よく分かっているではないか」
「ただし……
同時に兄から、もう一つ大事なことを教わりました」
「大事なこと?」
「武力の『武』という字の由来です」
「由来?」
「この武という字は、海を越えた遠い異国から伝わってきました。
槍に似た武器である『戈』という字と、『止』めるという字を組み合わせてできたものです。
『武』とは……
武器を止める、つまり戦を止めるという意味なのだと」
「平和で安全な世は、最強の武力を持つ者にしか達成できないこと。
このわしもよく理解している」
「ならば父上。
最強の武力を持つ目的は、ただ『一つ』。
真の平和で安全な世を達成するためだと思って良いでしょうか?」
「そう思って良い」
「父上がその目的を達成する場合、『あの者』が壁となって立ち塞がりますが?」
「義信も……
そなたと同じことを申していたな。
『我らと前田屋は相容れない[価値観が決定的に異なっていてお互いを受け入れられない]存在……
生き方が違う武器商人を、味方と見なすことなどできるわけがありません。
所詮は利用し、操り、騙し、欺く対象でしょう?
味方ではなく敵なのですから』
と」
「父上。
はっきりと仰ってください。
前田屋と手を切ることができなかったから、兄を殺したのですか?」
「息子よ。
信じてはくれないかもしれないが……
わしは、謀反の疑いを掛けて後継者から外した。
ただし。
自害[自殺のこと]に追い込んではいない」
「え?
自害を命じていないと?」
「義信は……
『自ら』命を絶ったのじゃ」
【次話予告 第五十六話 義信事件の黒幕】
信虎追放事件と同じように、何者かが武田信玄を追放しようと『企て』……
長男の義信がその首謀者に担ぎ上げられていました。
これを企てた黒幕は、一体誰なのでしょうか?
「何たる無様な戦ぞ!
ただの消耗戦ではないか!」
想定外の遭遇戦によって生じた無秩序な乱戦に早く決着を付けるため……
上杉謙信は、自ら陣頭に立つことを決めた。
「敵の精鋭は右翼と左翼にいるはず。
次々と新手を送り込んで右翼を右に、左翼を左へ押し込め!」
上杉軍は数の利を活かして次々と新手を送り込み、武田軍の両翼を左右に押し込み始める。
まるで中央から送り込まれた新手の兵が、左右へ車輪のように回転しているように見えた。
これを見た者は、『車懸の陣』と名付けた。
武田軍の両翼を左右に押し込んだことを確認した謙信は、馬に跨がってこう叫ぶ。
「これより我らは……
乾坤一擲の突撃を仕掛けて敵陣の中央を突破する!
全ては、この戦の決着を付けるためなのだ!
命を惜しむな、名こそ惜しめ!
わしに続けぇっ!」
陣頭に立った謙信を先頭に上杉軍の騎馬隊が突撃を開始した……
その瞬間。
何もないはずの場所から、武田軍の一部隊が不意に現れたのだ!
武田信玄の長男・太郎義信が率いる800人の部隊であった。
突如として出現した義信隊に、上杉軍の将兵は驚愕した。
◇
想定外の遭遇戦となったとき。
義信は、こう考えていた。
「謙信は何よりも『攻勢』を好む男。
加えて卑怯者の如き振る舞いを忌み嫌う男と聞く。
己を安全な場所に置かず、常に陣頭に立って己の命を危険に晒すことを心掛けるだろう」
こう結論付けた。
「謙信は必ず、自ら陣頭に立って決着を付けようと乾坤一擲の突撃を仕掛けて来るに違いない。
敵の中央を突破できれば勝利できるが、突破できなければ敵中に孤立する、まさに捨て身の戦法……
『中央突破戦法』だ。
序盤からこんな捨て身の戦法を使うなど、非常識極まりないとは思うが……
あの謙信なら躊躇なくやるだろう。
これは、由々しき事態ぞ?
数で勝る上杉軍の中央突破戦法をまともに食らえば、数で劣る我ら武田軍本隊は間違いなく崩壊する!」
義信は、自分が率いる800人の将兵に対して非常識極まりない指示を出した。
「わしの合図があるまで武田菱の軍旗を伏せ、周囲にある葦の中に隠れておれ。
謙信の中央突破戦法を阻止することが我らの使命なのだ」
そして、義信の部隊は上杉軍の『視界』から消え失せた。
◇
「今だ!
全軍突撃!」
何もないはず場所から不意に現れた義信の部隊が、中央突破を狙う上杉軍の柔らかい横腹へ一直線に突っ込んでいく。
驚愕した上杉軍の将兵はこんな声を上げ始めた。
「あの部隊の大将……
何と叫んだか、聞いていたか?」
「『今だ!』
と叫んでいたな」
「その反応……
おかしいとは思わんか?」
「も、もしや!
我らの狙いは最初から見抜かれていたと?」
「うむ。
その上で……
敵は、『罠』を仕掛けて持ち構えていたに違いない」
「しかし!
これは、想定外の遭遇戦だぞ?
罠を仕掛ける余裕があったとは思えないが……」
「ならば、あんなにも『早く』反応できたのはなぜじゃ?
おかしいではないか」
「我らは……
敵の罠に嵌まりつつあると!?」
「恐らく。
他にも『伏兵』が隠れているに違いない!」
「一度止まって様子を見よう!
このまま突撃するのは『危険』極まりないぞ!」
相手の反応があまりにも早い場合、ついつい余計なことを考えてしまうのも人間の特徴の一つだと言える。
何事も……
一切躊躇せず、ひたすら前に突き進むのは難しいことだ。
守るべきものがある人間は特に。
こうして余計なことを考えた一部の上杉軍将兵の足が止まってしまう。
その一瞬の隙を、信玄の弟・信繁の部隊が突いた。
義信は、謙信の中央突破戦法を見事に破綻させ……
武田軍本隊の崩壊を防ぐことに成功したのである。
◇
父と子の会話に舞台を戻そう。
「武田軍本隊の崩壊を救った真の将が、義信だったと申すのか!?」
「そうなのです」
「本人はそんなことを申していなかったが?」
「兄は謙虚な御方でした。
己一人の武功とすることなど、決して致しません」
「……」
「加えて兄はただ一人、想定外の遭遇戦となる可能性も『見抜いて』いたとか。
そのことを信繁殿に忠告したようですが……」
「何と!
甥の忠告を聞いた信繁は、どう反応したのじゃ?」
「信繁殿は死に急いでいました。
無数の人を殺した良心の呵責に苛まれ、上杉謙信と直接ぶつかることを強く望んでいたのです」
「忠告を握り潰したのか……!」
「兄は信繁殿の『名誉』を守ることを優先し、忠告を握り潰されたことを誰にも話さなかったようです」
「……」
「父上。
これだけでも、兄が真に優れた人物であったことがお分かりでしょう?」
「……」
「思い出してください。
兄はこう申していたはず。
『それがしは、今川家への侵略に反対はしません。
その代わり……
前田屋とは手をお切りください!
あの者と手を組む限り、真の平和と安全を達成することなどできないからです!』
と」
「ああ……
そう申していたな」
「父上。
それがしも、はっきりと申し上げます。
兄の言葉に耳を傾けて前田屋と手を切っていれば……
我が妻が死ぬことも、望まぬ戦いを始める必要もなかったのではありませんか?」
「……」
◇
父は深い溜息を付く。
「勝頼よ……
息子よ。
そなたの申す通りじゃ」
勝頼の息が、少し荒くなった。
「父上。
重ねて失礼な物言いをお許しください。
兄は、立派な御方でした。
それなのに……
それなのに、なぜ!
謀反の疑いを掛けて後継者から外しただけでなく……
自害[自殺のこと]に追い込んだのですか!」
武田信玄が嫡男である義信を自殺にまで追い込んだ、前代未聞の粛清事件。
歴史書では『義信事件』と呼ばれている。
◇
感情を抑えられない息子に対し、父は穏やかに語り始めた。
「あのとき……
桶狭間の戦いで今川義元という優れた当主を失った今川家の勢いは、急激に衰えていた。
わしはこう考えた。
『鉄砲は、戦の有り様を劇的に変えた。
これからは間違いなく鉄砲の時代となる。
鉄砲を撃つには弾丸と火薬が不可欠だが、その量は限られており、武器商人と手を組むことをしなければ手に入らん。
衰えた今川家を侵略し、甲斐国[現在の山梨県]にはない、海に面した港を我が物とすれば……
武器商人が堺から直接船を回して弾丸と火薬を大量に送り届けることが可能となるのじゃ』
と」
「豊富な弾丸と火薬という『最強の武力』を持てば……
武田家の領地を侵略しようなどと考える愚か者は、誰一人として現れなくなり、真の平和と安全が達成できると?」
「うむ」
「『平和は簡単に達成などできない。
強大な武力を以って相手から一目置かれるか、強大な武力を持つ者の所有物に甘んじるか。
二つに一つしかない』
それがしは、兄からこう教わりました」
「よく分かっているではないか」
「ただし……
同時に兄から、もう一つ大事なことを教わりました」
「大事なこと?」
「武力の『武』という字の由来です」
「由来?」
「この武という字は、海を越えた遠い異国から伝わってきました。
槍に似た武器である『戈』という字と、『止』めるという字を組み合わせてできたものです。
『武』とは……
武器を止める、つまり戦を止めるという意味なのだと」
「平和で安全な世は、最強の武力を持つ者にしか達成できないこと。
このわしもよく理解している」
「ならば父上。
最強の武力を持つ目的は、ただ『一つ』。
真の平和で安全な世を達成するためだと思って良いでしょうか?」
「そう思って良い」
「父上がその目的を達成する場合、『あの者』が壁となって立ち塞がりますが?」
「義信も……
そなたと同じことを申していたな。
『我らと前田屋は相容れない[価値観が決定的に異なっていてお互いを受け入れられない]存在……
生き方が違う武器商人を、味方と見なすことなどできるわけがありません。
所詮は利用し、操り、騙し、欺く対象でしょう?
味方ではなく敵なのですから』
と」
「父上。
はっきりと仰ってください。
前田屋と手を切ることができなかったから、兄を殺したのですか?」
「息子よ。
信じてはくれないかもしれないが……
わしは、謀反の疑いを掛けて後継者から外した。
ただし。
自害[自殺のこと]に追い込んではいない」
「え?
自害を命じていないと?」
「義信は……
『自ら』命を絶ったのじゃ」
【次話予告 第五十六話 義信事件の黒幕】
信虎追放事件と同じように、何者かが武田信玄を追放しようと『企て』……
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