1 / 46
1話 ウィンリー・トレートの追放
しおりを挟む
私はウィンリー・トレート、年齢は18歳になったばかり。ジドル王国の宮廷錬金術師として仕えることが出来たのだけれど、アラン・ジドル第一王子にいきなりこんなことを言われてしまった。
「ウィンリー、お前は今日限りでクビだ。この宮殿から出て行け」
「えっ……ど、どういうことでしょうか……?」
「聞いた通りよ、ウィンリー。アラン王子殿下はあなたに解雇宣言をしたの。そのくらい、孤児でまともな教育を受けていなかったあなたにも分かるでしょう?」
宮殿内のアラン王子殿下の私室には、婚約者のマリーナ・カースト公爵令嬢の姿もあった。美人だけれど、平民でしかない私を見下していた人で、私はあまり好きじゃなった。
「ですが……私は、国王陛下や議会の方々の承認を経て宮廷錬金術師になれたんです。いくらアラン王子殿下でも、いきなりクビだなんて……それに、私が居なくなると錬金術の方はどうなるんですか?」
今までは私以外に錬金術を行使できる人は居なかったはず。錬金術は特殊能力みたいな存在と言われているし。私は今まで、王国の命令に従い様々なアイテムを錬金してきた。
それが急になくなると、国家としても収入源が減ってしまうのではないかと思えるけれど。
「孤児というのはどこまでもカスの集まりなんだな! あははははははっ!」
「え……カス……?」
突然、アラン王子殿下は大声で笑い出した。まるで私の言葉を全て否定しているかのように。
「いくら私でも、お前を勝手にクビに出来ない? 調子に乗るなよ、平民風情が!」
「ひっ……!」
私は王子殿下の激昂……いえ、豹変ぶりに驚いてしまった。思わず後ろに飛びのいてしまう。
「馬鹿な娘……アラン王子殿下に逆らうなんて」
「お前ごとき平民、私ならば父上や議会の承認がなくとも追放出来るんだよ」
「そ、そんな……!」
「それに、そんなものは後から承認をすれば、全て収まるんだからな」
全て収まる……? いえ、私の解雇自体は可能でも、その後、どうやって国王陛下達を納得させるんだろうか?
「解せないという表情だな、まあ特別に答えてやろう。ここに居る美しき我が婚約者のマリーナが、新たな宮廷錬金術師なのだ。お前を大きく超える、な」
「えっ!? マリーナ様がですか……!」
「ええ、その通りよウィンリー。だから、あなたはもう必要ないの。私が今までの全て……アイテム精製を行うことになったの。あなたの全ての手柄も今日から私のもの……まあ、貴族の方々や国王陛下も由緒正しき家系が精製したアイテムの方が安心するでしょうしね」
「そういうことだ、というわけでウィンリー・トレート。お前は今日限りで追放……さらに、今までの給料も全てマリーナの給料にする」
「そんな……! それは、それだけはあんまりです!」
解雇についてもおかしいのに、その上、給料まで没収されるなんて! これでは私の今までの努力が全て無駄になったことになる。少なくとも給料だけは、と懇願したけれどアラン王子殿下は首を縦に振ることはなかった。
「特別に今まで使った分の返金は勘弁してやろう。ほら、最低限の支度金も用意してやる。これで、次の就職先を頑張って決めるんだな、はははははっ!」
「きゃはははははっ! 薄汚い平民がロゴイック宮殿から居なくなると思うと、本当に清々するわ!」
大笑いをしているアラン王子殿下とマリーナ公爵令嬢……私は何も抵抗することが出来ず、そのまま解雇が決定してしまった。残されたのは本当に少額の支度金……。
「ウィンリー、お前は今日限りでクビだ。この宮殿から出て行け」
「えっ……ど、どういうことでしょうか……?」
「聞いた通りよ、ウィンリー。アラン王子殿下はあなたに解雇宣言をしたの。そのくらい、孤児でまともな教育を受けていなかったあなたにも分かるでしょう?」
宮殿内のアラン王子殿下の私室には、婚約者のマリーナ・カースト公爵令嬢の姿もあった。美人だけれど、平民でしかない私を見下していた人で、私はあまり好きじゃなった。
「ですが……私は、国王陛下や議会の方々の承認を経て宮廷錬金術師になれたんです。いくらアラン王子殿下でも、いきなりクビだなんて……それに、私が居なくなると錬金術の方はどうなるんですか?」
今までは私以外に錬金術を行使できる人は居なかったはず。錬金術は特殊能力みたいな存在と言われているし。私は今まで、王国の命令に従い様々なアイテムを錬金してきた。
それが急になくなると、国家としても収入源が減ってしまうのではないかと思えるけれど。
「孤児というのはどこまでもカスの集まりなんだな! あははははははっ!」
「え……カス……?」
突然、アラン王子殿下は大声で笑い出した。まるで私の言葉を全て否定しているかのように。
「いくら私でも、お前を勝手にクビに出来ない? 調子に乗るなよ、平民風情が!」
「ひっ……!」
私は王子殿下の激昂……いえ、豹変ぶりに驚いてしまった。思わず後ろに飛びのいてしまう。
「馬鹿な娘……アラン王子殿下に逆らうなんて」
「お前ごとき平民、私ならば父上や議会の承認がなくとも追放出来るんだよ」
「そ、そんな……!」
「それに、そんなものは後から承認をすれば、全て収まるんだからな」
全て収まる……? いえ、私の解雇自体は可能でも、その後、どうやって国王陛下達を納得させるんだろうか?
「解せないという表情だな、まあ特別に答えてやろう。ここに居る美しき我が婚約者のマリーナが、新たな宮廷錬金術師なのだ。お前を大きく超える、な」
「えっ!? マリーナ様がですか……!」
「ええ、その通りよウィンリー。だから、あなたはもう必要ないの。私が今までの全て……アイテム精製を行うことになったの。あなたの全ての手柄も今日から私のもの……まあ、貴族の方々や国王陛下も由緒正しき家系が精製したアイテムの方が安心するでしょうしね」
「そういうことだ、というわけでウィンリー・トレート。お前は今日限りで追放……さらに、今までの給料も全てマリーナの給料にする」
「そんな……! それは、それだけはあんまりです!」
解雇についてもおかしいのに、その上、給料まで没収されるなんて! これでは私の今までの努力が全て無駄になったことになる。少なくとも給料だけは、と懇願したけれどアラン王子殿下は首を縦に振ることはなかった。
「特別に今まで使った分の返金は勘弁してやろう。ほら、最低限の支度金も用意してやる。これで、次の就職先を頑張って決めるんだな、はははははっ!」
「きゃはははははっ! 薄汚い平民がロゴイック宮殿から居なくなると思うと、本当に清々するわ!」
大笑いをしているアラン王子殿下とマリーナ公爵令嬢……私は何も抵抗することが出来ず、そのまま解雇が決定してしまった。残されたのは本当に少額の支度金……。
87
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです
鍛高譚
恋愛
内容紹介
「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」
王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。
婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。
「かしこまりました」
――正直、本当に辞めたかったので。
これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し……
すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。
そしてその瞬間――
王宮が止まった。
料理人が動かない。
書類が処理されない。
伝令がいない。
ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。
さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。
噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。
そしてついに――
教会・貴族・王家が下した決断は、
「王太子廃嫡」
そして。
「レティシア、女王即位」
婚約破棄して宰相をクビにした結果、
王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――?
これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの
完全自業自得ざまぁ物語。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる