4 / 46
4話 錬金術レベル その1
しおりを挟む
「それで……アラン王子殿下から、解雇されたというのか?」
「はい、そうですね……」
私はアラン王子殿下が、婚約者であるマリーナ公爵令嬢と共謀して私を追放したことを、ラグナ王太子殿下に話していた。
「マリーナ・カースト公爵令嬢か……彼女が錬金術を学んでいたとは驚きだが、それよりもウィンリーの才能よりも上だというのか?」
「それは……わかりません、実際に彼女の能力を見たわけではないので。でも、アラン王子殿下は私の代わりとしては十分すぎるといった風な言い方をしておりました」
またアラン王子殿下とマリーナ公爵令嬢の大笑いが頭の中をよぎってしまう。
「大丈夫か、ウィンリー?」
不意に頭を押さえた私に、ラグナ王太子殿下が優しく手を差し伸べてくれた。私は恐れ多いと思ったけれど、せっかく差し出してくれた手を無下にするのは失礼だと感じ、私は素直に彼の手に縋ることにした。なんだか幸せな感じ……身分は全く違うけれど、この時だけはお姫様気分でいられた。
「はい、大丈夫です。ありがとうございました、ラグナ王太子殿下」
「ラグナ王太子殿下だと、なんだか他人行儀だな……ラグナ、で構わないぞ?」
「そうですか? では……ラグナ様、とお呼びいたしますね」
「ふむ……まあ、それで構わないか」
ラグナ王太子殿下としては、「ラグナ」と呼び捨てにしてほしかったのかもしれないけれど、流石に隣国の王太子殿下を呼び捨てになんて出来ない。今の私には敬称を付けて呼ぶのが精一杯だった。
「いやしかし……私の目に狂いがなければ、ウィンリーの錬金術のレベルは相当なはずだ。それを解雇してしまうなど、通常ではあり得ないと思うが……」
「そ、そうなんでしょうか……?」
「ああ、少なくとも、間近で何度か見た限りではそう思えたな」
何度も来てくれた、とは行っても数回程度だ。あのわずかな回数で確信できるほどの目利き、ラグナ様って実は凄い? いえ、凄いというのは分かっていたけれど、別のジャンルでも凄い人物なのかもしれない。
「良ければ、私の宮殿で働かないか? 宮廷の錬金術師という待遇で迎えるが……」
「ええっ!? よろしいんですか……!?」
「ああ、ウィンリーのことは知らない仲でもないしな。実力的にも、我が宮殿に十分にやっていけるレベルだろうとは思っている。今現在、特に行き先がないと言うのであれば……どうかな?」
これは夢ではないだろうか……? こんな夢のような話、本当にあるなんて思わなかった。私はすぐに頷いて、ラグナ王太子殿下に肯定の意を示した。
「はい、そうですね……」
私はアラン王子殿下が、婚約者であるマリーナ公爵令嬢と共謀して私を追放したことを、ラグナ王太子殿下に話していた。
「マリーナ・カースト公爵令嬢か……彼女が錬金術を学んでいたとは驚きだが、それよりもウィンリーの才能よりも上だというのか?」
「それは……わかりません、実際に彼女の能力を見たわけではないので。でも、アラン王子殿下は私の代わりとしては十分すぎるといった風な言い方をしておりました」
またアラン王子殿下とマリーナ公爵令嬢の大笑いが頭の中をよぎってしまう。
「大丈夫か、ウィンリー?」
不意に頭を押さえた私に、ラグナ王太子殿下が優しく手を差し伸べてくれた。私は恐れ多いと思ったけれど、せっかく差し出してくれた手を無下にするのは失礼だと感じ、私は素直に彼の手に縋ることにした。なんだか幸せな感じ……身分は全く違うけれど、この時だけはお姫様気分でいられた。
「はい、大丈夫です。ありがとうございました、ラグナ王太子殿下」
「ラグナ王太子殿下だと、なんだか他人行儀だな……ラグナ、で構わないぞ?」
「そうですか? では……ラグナ様、とお呼びいたしますね」
「ふむ……まあ、それで構わないか」
ラグナ王太子殿下としては、「ラグナ」と呼び捨てにしてほしかったのかもしれないけれど、流石に隣国の王太子殿下を呼び捨てになんて出来ない。今の私には敬称を付けて呼ぶのが精一杯だった。
「いやしかし……私の目に狂いがなければ、ウィンリーの錬金術のレベルは相当なはずだ。それを解雇してしまうなど、通常ではあり得ないと思うが……」
「そ、そうなんでしょうか……?」
「ああ、少なくとも、間近で何度か見た限りではそう思えたな」
何度も来てくれた、とは行っても数回程度だ。あのわずかな回数で確信できるほどの目利き、ラグナ様って実は凄い? いえ、凄いというのは分かっていたけれど、別のジャンルでも凄い人物なのかもしれない。
「良ければ、私の宮殿で働かないか? 宮廷の錬金術師という待遇で迎えるが……」
「ええっ!? よろしいんですか……!?」
「ああ、ウィンリーのことは知らない仲でもないしな。実力的にも、我が宮殿に十分にやっていけるレベルだろうとは思っている。今現在、特に行き先がないと言うのであれば……どうかな?」
これは夢ではないだろうか……? こんな夢のような話、本当にあるなんて思わなかった。私はすぐに頷いて、ラグナ王太子殿下に肯定の意を示した。
95
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです
鍛高譚
恋愛
内容紹介
「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」
王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。
婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。
「かしこまりました」
――正直、本当に辞めたかったので。
これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し……
すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。
そしてその瞬間――
王宮が止まった。
料理人が動かない。
書類が処理されない。
伝令がいない。
ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。
さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。
噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。
そしてついに――
教会・貴族・王家が下した決断は、
「王太子廃嫡」
そして。
「レティシア、女王即位」
婚約破棄して宰相をクビにした結果、
王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――?
これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの
完全自業自得ざまぁ物語。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる