追放された宮廷錬金術師、彼女が抜けた穴は誰にも埋められない~今更戻ってくれと言われても、隣国の王子様と婚約決まってたのでもう遅い~

まいめろ

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32話 アラン王子殿下の罪 その1

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(アラン王子殿下視点)


 私はどうしたら良いのだ……? 二回目の会談にて、あれだけの好待遇を約束したのに結果は惨敗に終わった……。あの日から早、三日が経過している。


「くそう……なんということだ!」

「アラン王子殿下、みっともないですわよ?」


「マリーナ……」


 癇癪を起している私に、婚約者であるマリーナ・カースト公爵令嬢が叱責とも取れる発言をしてきた。この娘もウィンリーに対し冷たく当たっていた分際で……何を言っているのか。

「マリーナ。お前もウィンリーを追放する時は乗り気だったはず……今更、私を叱責する権限があると思っているのか?」


 私は出来る限り冷静に言葉を出したつもりだ……婚約者である彼女との摩擦は、なるべく避けた方が良いだろうからな。


「そうですね、私はアラン王子殿下を叱責出来る立場にはございません。しかし、ウィンリー・トレートが戻らない事実には変わりありませんわ。私もなんとか、彼女の代わりを務められるように努力いたしますので……」

「マリーナが、ウィンリーの代わりを務めるだと? 冗談も程々にしておいた方が良いのではないか!?」

「アラン王子殿下……」

「なんだその哀れみの目は……? 私は今回の事態を受けて、ウィンリーとマリーナの錬金術師としての力量差が果てしないことに、改めて驚きを隠せなかったよ。まさか、ここまでの差があったとはな……!」


 私は憎しみを込めて、マリーナに視線を送る。彼女との摩擦は出来る限り避けたいところではあるが、感情がそれを許してくれないのだ。

「アラン王子殿下……。でも、元々はあなたが彼女を追放するとおっしゃったのでしょう? 私は確かに、彼女の代わりが出来る能力ではありませんでしたが……今回の王国の損失に対しての罪を被るのは、アラン王子殿下でしてよ?」

「なに、罪だと……?」

「ええ、そうですわ」


 マリーナは何かを悟っているような表情になっていた。なんだ……この女は何を言っている?


「詳しくは陛下にお聞きすると良いですわね、アラン王子殿下」

「なんだと……?」

 マリーナの不敵な笑み……それと同時に、私の部屋に来客があった。宮殿内の執事の一人だ。

「失礼いたします、王子殿下。国王陛下がお呼びでございます……至急、お部屋に来るようにと」

「……!?」


 非常にまずい……なぜだか分からないが、そんな予感がしてしまった。しかし、父上の呼び出しであれば向かわないわけにもいかない。

「アラン王子殿下……私も無関係ではございませんので、ご同行いたしますわ」

「あ、ああ……そうか? 助かる」

「いえ、とんでもありません」

 一体、用件はなんだろうか……? いや、そんなことは考えなくとも分かっている。ウィンリーの件であることは、ほぼ間違いないのだからな。
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