追放された宮廷錬金術師、彼女が抜けた穴は誰にも埋められない~今更戻ってくれと言われても、隣国の王子様と婚約決まってたのでもう遅い~

まいめろ

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35話 暴走の国王陛下 その2

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(アラン王子殿下視点)


 父上が暴走した……これは間違いないだろう。私や暴動や集会の鎮圧に駆り出されている。なるべく怪我人は出ないように努めてはいるが……なにせ、基本は武力制圧と変わらないからな。死者を出すことはないだろうが、民間人の被害を0にすることは出来ん。

「兵士の内、10人程度が民間人の投石で怪我をしたか……」

「左様でございます、アラン王子殿下……如何いたしましょうか?」

「その、如何いたしましょうか? というのは、私に何を期待しているのだ?」

「それは……」


 報告に来た兵士が黙ってしまっている。いじわるな質問をしてしまったか。我がジドル王国では、民間人の暴動は禁止している。それを鎮圧するのは至極当然のことであるのだが……制圧している側が怪我をしてしまっては意味がない。民間人の犠牲を最小限に、などと言っていられる状況ではなかった。


「恐れながら申し上げます、アラン王子殿下……!」

「ああ、忌憚のない意見を述べてくれ」


 報告に来た兵士は覚悟を決めたようだ。深呼吸をしながら、話を続けた。


「国民の暴動は、鎮圧を開始してから日に日に悪化しています……このままでは、国民の間で死者が出るのも時間の問題でしょう……!」

「確かにな……我々が怪我をし、違法行為を行っている国民が無傷では、そもそもの意味を成していない」

「はい……民間人の被害は最小限に、などと言っていると貴族や兵士達からの反発を招きかねません!」

「うむ……」


 報告に来た兵士、レオルの意見は最もだった。現状が膠着状態で長続きしようものなら……民間人、貴族共に敵に回してしまうだろう。私は選択をしなければならなくなる。どちらを生かすのかを……。

 以前は民間人など、王族、貴族の為に存在していると思っていた。いや、今でもその気持ちに嘘はないが……民間人が暴動を起こしている原動力は、ウィンリー・トレートの追放だ。錬金術師として、多少は有名だったのか……そうは言っても、ウィンリー自体が民間人にとっての尊敬の象徴というわけではないはずだ。

 ウィンリーは1人の民間人でしかない。しかし、その民間人を追放したことで国民の感情が限界を超えたということか。私の失態……ということになるのだろうな。


「一度、父上に会ってみようと思う」

「国王陛下にですか?」

「ああ……」


 あの穏健派だった父上が、急に国民の弾圧に乗り出した……私はこれが不思議でならない。この何週間かは、父上の命令に盲目的に従っていたがこの辺りで、父上と話が必要かもしれない。

 私は父上の私室に向かうことにする……今であれば、彼の真意を知ることが出来るかもしれないからな。
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