追放された宮廷錬金術師、彼女が抜けた穴は誰にも埋められない~今更戻ってくれと言われても、隣国の王子様と婚約決まってたのでもう遅い~

まいめろ

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41話 平定を求めて その1

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(アラン王子殿下視点)


 ジドル王国の兵士を多数動員した鎮圧作戦は概ね、我々の勝利に終わっている。鎮圧に成功するほど、国民の怒りは高まっていったが……。

「マリーナ……」

「はい、なんでございますの? アラン王子殿下」


 私は私室に呼んでいたマリーナを近くに招いた。彼女は従順に従ってくれる。


「私は父上が分からない……こんな鎮圧をしていればいずれ、ジドル王国は崩壊するだろう」

「そうですわね……モーガン国王陛下がそれを望んでいるなんて、今でも信じられませんわ」

「そうだな、私としても信じられない。いくら殻に閉じこもっているとはいえ……あの、モーガン・ジドルがこのような結末を望んでいるなど……」


 そう……あり得ないのだ。父上は正常な思考が出来なくなっているのだと、私は勝手に解釈していたが、それすら演技なのだとすると……? まさか……。

「もしかして、父上の狙いは……」

「アラン王子殿下、どうかなさいましたか?」

「あ、ああ……」


 私はウィンリーを身勝手に追放した罪がある……おまけに次期国王の肩書きも持っているのだ。父上がもしも、私への罰と時期国王としての器を示すことを、同時に望んでいたのだとすれば……。


 私の中でその瞬間、電気が強く走った。



----------------------------------



(ウィンリー視点に戻る)


 私とラグナ王太子殿下はその後、一礼をして謁見室から出た。モーガン国王陛下の真意を聞けたのは、非常に有意義だったと言えるけど……。


「ラグナ様、1つよろしいでしょうか?」

「なんだい、ウィンリー?」


 私はモーガン国王陛下の真意を聞いて、1つだけ腑に落ちない点があった。それは……。


「モーガン様はもしかして、今回の騒動をアラン王子殿下への罰としているんじゃないでしょうか? 今のジドル王国は元に戻れない程に反発が強まっています。モーガン様が本当に願っていることは、アラン王子殿下がその手腕で暴動を平定させることではなく、素直な謝罪なのではないかと……」

「なるほど……そういう見方も出来るか。確かに、今のジドル王国の国民を納得させるには、アラン王子殿下が誠心誠意、謝る以外にないだろうからな」

「はい……それでも解決できるかは、不明ですが」


 もしかしたら、既にジドル王国は国家として成り立っていないのかもしれない……アラン王子殿下が国民の前で土下座をしたところで、許されるとは到底思えないし。


「まあ、アラン王子殿下単独では、とても平定は出来ないだろうな。しかし、平定できる可能性のある人物の協力があれば……ジドル王国は存続することが可能かもしれない」

「平定できる可能性のある者……? それは……」


 私はラグナ王太子殿下を思い浮かべたけど、流石にラグナ様でも無理よね。それに彼の視線の先に居るのは私だし……ん? 私……?
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