最悪の予知夢を回避しようとしてるのに、問題が尽きないのですが‥!?

kiwi

文字の大きさ
22 / 69
第二章 ノアは絶対死なせない!

第十話 騎士団の訓練は過酷です

しおりを挟む

 私と少年が手を振り合っている様子をショーンが訝しげに見ており、その後ショーンが少年に何やら話しかけている。

 ほんの数分の会話だったが、ショーンは少年を睨みつけ、その場を離れて行った。

 ‥‥何を話していたんだろう‥‥?

 ——————————————————-

   —————————————-

 訓練場に騎士達の声が響き渡る。

 雲ひとつない青空が広がり、爽やかな風が頬を撫でる。ベンチで日傘をさして観ている私にはとても気持ちの良い日和だ。

 しかし、騎士様達は滝のような汗を流され、とても暑そうだ。

 全力疾走かのようなスピードでグラウンドを走り、筋力トレーニングし、また走る。

 「はぁー!すごいわね!」

 私の毎朝のトレーニングなんてお遊びだわ。

 ショーンもあの子も騎士達の訓練についていっている。すごいわぁ。

 その内、激しい剣の打ち合いも始まった。

 「ショーン大丈夫かしら?いつもこんな激しい訓練をしていたのね‥‥。」

 青空に剣と剣がぶつかり合う金属音が響き渡る。

 「うわっ!」

 叫び声が聞こえ、その位置を確認すると、一人の騎士様が蹲っていた。

 どうやら腕を負傷したらしい。

 その騎士様は休むのかと思いきや、ポケットから出した布で止血し、また激しい打ち合いに戻った。

 あっ、次はショーンとあの子が打ち合いを始めたわ!‥‥激しすぎない!?怪我するわよ!?

 ショーンが押している。やっぱりショーン強いわね‥‥。

 「‥‥あっ!」

 ショーンが少年の剣を弾き飛したわ。

 「‥‥クソッ!」

 少年は悔しそうな顔でショーンを睨むと、右手をショーンへと向けた。

 「おやめ下さい!!殿下!!」

 他の騎士様が止めに入られる。

 ‥‥えっ!?殿下‥‥!?

 その刹那、紅蓮の炎がショーンを襲いかかる。

 ショーンは防御魔法で防いでいたが、炎が強すぎて結界を貫いてしまった‥‥!

 「ショーン!!ショーン!!」

 ショーンが大変!!急いで階下のグラウンドに向かった。

 ショーンは黒煙で黒くなり、所々火傷をしていたが無事だった。こちらを見てニコッと笑っている。

 咄嗟に剣で真空を作り防いだという。

 「いつも荒野でもっと激しいのしてるだろ?心配しすぎだよ?」

 ショーンはそう言うと私の頭をクシャッと撫でた。

 私はショーンに治癒魔法を施した。ショーンの後で、切傷を負われていた騎士様にも治癒魔法を施した。

 「へぇ‥‥。君、治癒魔法が使えるんだね。」

 「ええ‥‥。でもあれはやりすぎではないですか!?急に魔法を使うなんて‥‥。」

 覗き込みながら聞いてくる少年を睨みつけ抗議した。

 「戦いの場では何が起こるか分からないんだよ?」

 飄々とこたえる少年。‥‥そう言えば先程、殿下って呼ばれていなかった‥‥?

 「殿下、さっきはやってくれたね。俺だって魔法は使えるんだ。魔法を使ってもいいルールにいつの間に変わったんだよ?」

 「ははっ!悪い悪い‥‥ついね。」

 「‥‥殿下?」

 「えっ?知らなかったのかよ?フィリップ・アーサー・ケンブリッジ第一王子殿下だよ?先日のお茶会で出会ったんだろ?」

 ‥‥この人が王子殿下だったの!?

 ‥‥ということは、この人がノアの毒殺の犯人!?

 「まだ挨拶をしていなかったんだね。これは失礼しました。それでは改めまして、フィリップ・アーサー・ケンブリッジ第一王子です。マリアンヌのような美しい女性と知り合えてとても幸運だよ。」

 王子殿下は私の前に跪き、手の甲にキスをされた。

 「‥‥‥‥あう‥‥。」

 流れるように挨拶されるので、真っ赤になって戸惑うばかり‥‥。

 「‥‥クスッ。マリアンヌはやっぱり可愛いね。僕のお嫁さんになってくれたら嬉しいんだけど‥‥?」

 ‥‥お嫁!?って、王妃!?無理無理‥‥!それに何故私!?あの伯爵令嬢がお好きなんじゃ‥‥あっ、まだ出会われていないのかな!?

 「マリアンヌは駄目だと言っただろう!?いくらでも婚約者候補はいるのに‥‥。それより、訓練に戻るぞ!?」

 半ばショーンに引きずられながら、二人は訓練に戻って行った。

 ‥‥ショーン、殿下に何てことを!?不敬罪にならないかしら!?

 

 
 

 
 

 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

処理中です...