最悪の予知夢を回避しようとしてるのに、問題が尽きないのですが‥!?

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第二章 ノアは絶対死なせない!

第三十二話 入学まであと二週間

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 とうとう学院の入学式まであと二週間となった。

 今日は母と侍女のアリア、護衛のアランとジョンと一緒に街まで入寮に必要なものを買いに来ている。

 「いよいよ入学だなんて緊張するわ。」

 溜息を吐きながら呟くと母が、

 「大丈夫よ!ノアだっているじゃない!」

 と、明るく励ましてくれる。

 ‥‥問題なのはそのノアよ‥‥。入学記念パーティーで毒殺されてしまうのよ!?でも、私に出来ることは全てやったわ!解毒魔法も上達したし、フィリップ王子殿下の情報も得たし‥‥‥あの殿下が本当に毒殺なんてするのかしら‥‥?騎士団に見学に行った時には負けず嫌いで勝つためにはルールをも破る酷い人だとは思ったけれど、その後の彼は穏やかそのものだ。

 ‥‥うーん‥‥。でも私の予知夢はかなり正確よ。気を引き締めないといけないわ!

 ‥‥それにもう一つ。ノアが私にやたら熱い視線を向けてくるのだけど、あれは本当に私のことを好きなのか、揶揄っているだけなのか‥‥分からないのよね‥‥。

 「‥‥マリアンヌ?大丈夫?」

 考えに耽っていると、不意に母に肩をポンポンと叩かれた。

 「あっ!ごめんなさい。考え事していたわ!」

 皆が私を取り囲み、心配そうに顔を覗き込んでいる。

 「入学を目の前にして緊張しているのね。」

 母は私の頬を両手で包み込んで笑った。

 





 学園御用達の衣服店に入り、制服を受けとる。白のシャツに紺の膝下のスカート。胸には大きな紺のリボンが付いている。そしてリボンの端には金のバッチがついていた。

 「可愛い!」

 嬉しくて制服を抱きしめた。

 「あなたもノアと同じで金のバッチが光っているわね!これは入学試験で主席だった者に送られるものよ?うちの子は皆優秀で鼻が高いわ!」

 ‥‥えっ?!そうなの?うちでは優秀な義兄弟の足元にも及ばないから、私はアホなのかと思っていたのに‥‥。うちの義兄弟が規格外なだけだったのね!ほぅ‥‥ちょっと安心した。

 「嬉しいです!私、頑張りますわ!」

 そして試着室へと向い、真新しい制服に身を包んだ私は、皆の待つ応接室へと向かった。そこには‥‥

 「カーラー様!」

 お茶会で親しくなったカーラー・ブランデン伯爵家令嬢がおられた。カーラー様もまた新しい制服を着られている。艶やかな黒髪にすらっと背も高いカーラー様は制服がとてもよく似合っていた。

 「お久し振りです!会いたかったですわ!」

 二人で手を繋ぎ合い、再会を喜んだ。

 カーラー様は護衛と侍女の三人で来られていた。

 「マリアンヌ、良いお友達ができて良かったわね!」

 私達は衣服店を出た後、王都で人気のカフェに立ち寄り、少しばかり皆で話をして楽しんだ。そして学園での再会を約束して別れ、残りの買い物をして邸へと戻った。

 邸でも父と義弟に制服を着るよう強請られ、披露した。

 「よく似合っている!可愛いな!これは学園の令息達も放っておかないぞ!それに主席バッチが光っているではないか!うちの子供は皆優秀だ!はははははっ!!」

 父は手を叩いて大喜びしていた。

 義弟達はテンションが低く、これから離れて生活するのが寂しいと言う。‥‥やめてよ、何だか涙が出てくるじゃない‥‥。

 「休みには必ず帰ってくるわ。寂しいけど、お互い頑張りましょう?」

 「‥‥そうだな。頑張れよマリアンヌ。」と頭を撫でてくれるショーン。

 「‥‥寂しい。」と、手を繋いだまま離してくれないルーカス。

 ‥‥うわっ、本当に涙が出て来たわ。

 私達は抱き合って泣いた。‥‥その輪に何故か父も混ざっていたが、深くは考えないようにしよう。
 

 

 

 
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