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襲撃
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オーパーツ災害。
既に教科書の一ページに載せられ、各国では公共施設にシェルター設置を義務づけされるようになったきっかけの災害は、本当に唐突に発生した。
20××年、突然宇宙から降ってきたのである。
各国の天文台の観測をすり抜けての災害は、たちまち世界中に甚大な被害を及ぼした。その中で日本の被害が微々たるものだったのは、幸運だったのは不運だったのかがわからない。
公立の天文台は責任問題を問われ、大幅な人事異動が行われる中。日本の民間企業であるはずの宇宙機構には、たまたま天才がいたのである。
元々は石の研究をしたい一心で、わずか六歳で渡英し、飛び級で大学を卒業した早乙女《さおとめ》真菰《まこも》は、隕石の研究のために宇宙機構に所属し、各地に落ちた隕石の採集研究をしたのである。
「これ、石じゃなくないかい?」
石の研究家が言い出したことで、周りは困惑した。
彼は石の成分や結合を調べ上げ、これが人工的につくられたものだと特定し、なおかつとんでもないことを言い出したのである。
「これは地球免疫説を裏付けるものになるのかもしれない」
地球免疫説は、当時オカルトの一種とされていたガイア理論の中でも、さらに迷信として位置されている理論のことである。
地球をひとつの生命体として見立て、地球が害されたと判断した場合、免疫として災害を起こすとされているもの。
たとえば地震。たとえば津波。流行病も地球免疫説と呼ばれるものにより左右されているという突飛過ぎる理論は、最初は馬鹿にされていたが。
だが早乙女の言い出したことを誰も馬鹿にできなくなったのである。
「この石は元々、地球を最適化するために送られてきたものだと過程しよう。地球は免疫として防衛機構が働き、外宇宙からの最適化するありとあらゆる成分を拒絶した。それが、あの未曾有の大災害の正体だ。だが、この石を送り込んだ者たちはただで諦めてくれるとは考えにくい。地震や津波により最適化が阻止されたとなったら、この星に住まう生き物を一匹一匹最適化させて、コントロールすればいいのだから」
寄生虫には、宿主に取り付いてコントロールし、自身の繁栄を目指す者たちがいる。それと同じように、地球の生物に取り付き、地球を自身の住まうにふさわしい形に最適化させようとする。
それはあまりに荒唐無稽であり、誰もかれもがそれを一笑にふした。
だが、早乙女が提唱した説があったことが、現代に繋がると言っても過言ではなかった。
彼が隕石と地球免疫説の仮説を論文で発表し、学会でさんざん鼻で笑われた頃、とある病院に異常な人体が運び込まれたのだから。
──あの隕石は、なにも日本に全く降っていなかった訳ではない。
一部の地区は完全に破壊され、その地区に住んでいた人々は住処を追われた。そこから引っ越さざるを得なかった女性が、突然生きたまま発火したのである。
謎の人体発火現象は、たちまちオカルト界隈に広がってネットで拡散する一方、第二第三の人体発火現象が続いた。更におかしなことに、人が明らかに異形化する事態が広がり、人を襲う事件も続いたのである。
早乙女の仮説が大きく当たらずとも遠からずだったことで、各研究機関は必死になって隕石の解析をし、やっと判明したのは。これは生物の遺伝子データの塊ではないかというものであった。
肉体を構成するデータ、記憶を構成するデータ、そしてそれらを統合する人格を形成するデータ……理論上、AIにより死者から人格を生成することは可能だが、それは時が経てば元の人格から大幅にずれてしまうことが確認されているが、この明らかに太陽系惑星のものではない隕石に入っているデータはそうではなかった。ひとつの生命体を個とするデータが備わっていたのである。
こうして、この未曾有の大災害がまだ終わってないことを知った日本政府は、大いに慌てた。どう考えても外宇宙からの侵略だが、考察や分析こそ進んだものの、根本的な対処方法がないのだから。
この隕石は既に人工物と判明した以上隕石と呼ぶ訳にもいかず、オーパーツと称されるようになり、そのオーパーツの破片を回収し、調査を進める以外に対処法はないのだが。異形化してしまった人々を元に戻す方法が、見つからなかったのである。
「遺伝子データを弄られてしまっていますからね。おそらくは、突き刺さったオーパーツの欠片が人体のデータを大幅に改竄しているのだと思います。刺さったものを抜けば、一応これ以上人格や遺伝子データを破壊改竄されることは防げるでしょうが……正攻法で抜いたら死ぬでしょ、これは」
結果として。民間組織であり、本来は天体観測と宇宙船開発を行っていたはずの宇宙機構は、国に召し上げられた。オーパーツについての知識と対処法を、国を挙げて行うにはあまりにもしがらみが大きく利権を狙うハイエナが寄ってきかねないため、民間組織に一任したほうがまだマシだと判断したのである。
さすがに民間組織に日本の防衛を全て委ねる訳にもいかず、自衛隊、警察などの国家防衛機関から出向者を募り、予算を付ける。
こうして宇宙機構は、民間組織ながらも宇宙防衛機構と改名され、日々オーパーツの回収と研究に励むことになった次第である。
****
「やあ、おかえり真壁くん」
「ん」
かつて天才少年として時の人となっていた早乙女は、今や宇宙防衛機構の名物変人研究者として、日々オーパーツ研究に励んでいる。
元は石の研究を行っていたはずの彼は、今は興味がオーパーツにより変質された人や物に移り、日々高笑いを行いながら研究している次第であった。
その日真壁と長瀬が持ち帰ってきたオーパーツの欠片が十個。オーパーツは現状、勝手に再生勝手に飛翔するため、研究するにも手間がかかり、勝手に人体にめり込んで浸食行為を起こすため、結果として冷凍封印した末に研究を進めないといけない難儀なことになっていた。
真壁がロケットペンダントに突っ込んできたオーパーツを、ひょいと液体窒素で凍らせると、それぞれのデータを真壁から詳細を聞きながら検分しはじめる。
「ふむふむ、障壁の生成、ねえ……で、真壁くんのそれには効果がなかったから、即無力化できたと?」
「ん」
「そっかそっかあ……異形者も幾人か会ってきたけど、君のそれ、強いねえ……」
真壁は鋭利な目でジロリと早乙女を睨む。早乙女は「おおっと」とおどけつつも、にこやかに告げた。
「君を馬鹿にするつもりはないんだよ。ただ、君はせいぜい長生きしてくれたまえって思っているだけでさ」
「長瀬のか?」
「ああ。長瀬くん、ずっとパートナーが変わり続けていて大変だからねえ。君みたいなのと組むことになるとは思ってなかっただろうけど、よろしく頼むよ?」
「あんたは長瀬のなんだ」
「彼女、僕の母校の生徒なんだよねえ。中学校」
このヘラヘラした口調を半眼で眺めたあと、真壁は「腹が減った」と告げると、早乙女は「はいはい」とパウチを取り出した。中には栄養ゼリーが詰まっている。元は宇宙に出るための民間組織だったのだから、今でも細々と宇宙食の開発研究は行われている。
それを受け取ると、さっさと真壁は立ち去ってしまった。
早乙女はそれをヘラヘラ笑いながら、ゴム手袋を嵌め、ピンセットを取り出した。
「本当に、面白いんだよねえ、彼は」
そう言いながら、真壁が落としていった髪の毛をピンセットで拾い上げ、シャーレに載せたのだ。そして蓋をするとぺたりとラベルを貼る。
【真壁巧サンプルデータ:××/10/08】
****
オーパーツ回収を行っている宇宙防衛機構の組織の人間は、定義上エージェントと呼ばれている。構成員だとなにをやっているのかわからず、回収員だと弱そうに聞こえるため、エージェントと称すれば自然と格好が付き、自然と宇宙防衛機構の注目も集まるだろうというのが、上層部の意見だった。
(まあ、そうだよね……予算もらわないと宇宙開発なんてやってられないし)
オーパーツ災害の後も数年は、日本だって平和だったし、今のようにあちこちで被害が出るたびに現場に急行してオーパーツを回収なんてこと、しなくてもよかった。
長瀬も本来は宇宙開発がしたくて大学に進み、国の天文台よりも予算が付きそうだからいろんな研究ができるだろうと思って宇宙機構に入ったにもかかわらず、人手不足のせいでオーパーツ回収のエージェントに回されてしまったのだった。
オーパーツ回収は危険な仕事だ。
異形者になってしまった人たちは元に戻さない限り、妙な力を使って街も人も破壊する。それが外宇宙からの侵略行為なんだろうが。そのせいで彼女は何回もパートナーが引退したり、死亡したりしている。
長瀬が生き残れたのは、彼女はエージェントの中でも実働員ではなく、補助要員……実働員と一緒に出動し、あらゆるサポートを一身に請け負う役目……だからである。そう何度も何度もパートナーの血を見るのは、ただ宇宙を目指したかっただけの彼女には荷が重過ぎた。
今日も真壁はこの施設で寝泊まりするんだろうか。そうぼんやりと長瀬は思った。
真壁は四人目のパートナーであり、彼女にとっては初めての相手なため、彼女自身もどこまで彼の懐に入っていいのか考えあぐね、今のところビジネスライクな会話以外できていない。
(仲良くなり過ぎても、なにかあったときに悲しむのは困るけど……意思疎通ができなかったら次の任務に支障があるかもしれないし……)
長瀬の悩みは尽きない。
既に教科書の一ページに載せられ、各国では公共施設にシェルター設置を義務づけされるようになったきっかけの災害は、本当に唐突に発生した。
20××年、突然宇宙から降ってきたのである。
各国の天文台の観測をすり抜けての災害は、たちまち世界中に甚大な被害を及ぼした。その中で日本の被害が微々たるものだったのは、幸運だったのは不運だったのかがわからない。
公立の天文台は責任問題を問われ、大幅な人事異動が行われる中。日本の民間企業であるはずの宇宙機構には、たまたま天才がいたのである。
元々は石の研究をしたい一心で、わずか六歳で渡英し、飛び級で大学を卒業した早乙女《さおとめ》真菰《まこも》は、隕石の研究のために宇宙機構に所属し、各地に落ちた隕石の採集研究をしたのである。
「これ、石じゃなくないかい?」
石の研究家が言い出したことで、周りは困惑した。
彼は石の成分や結合を調べ上げ、これが人工的につくられたものだと特定し、なおかつとんでもないことを言い出したのである。
「これは地球免疫説を裏付けるものになるのかもしれない」
地球免疫説は、当時オカルトの一種とされていたガイア理論の中でも、さらに迷信として位置されている理論のことである。
地球をひとつの生命体として見立て、地球が害されたと判断した場合、免疫として災害を起こすとされているもの。
たとえば地震。たとえば津波。流行病も地球免疫説と呼ばれるものにより左右されているという突飛過ぎる理論は、最初は馬鹿にされていたが。
だが早乙女の言い出したことを誰も馬鹿にできなくなったのである。
「この石は元々、地球を最適化するために送られてきたものだと過程しよう。地球は免疫として防衛機構が働き、外宇宙からの最適化するありとあらゆる成分を拒絶した。それが、あの未曾有の大災害の正体だ。だが、この石を送り込んだ者たちはただで諦めてくれるとは考えにくい。地震や津波により最適化が阻止されたとなったら、この星に住まう生き物を一匹一匹最適化させて、コントロールすればいいのだから」
寄生虫には、宿主に取り付いてコントロールし、自身の繁栄を目指す者たちがいる。それと同じように、地球の生物に取り付き、地球を自身の住まうにふさわしい形に最適化させようとする。
それはあまりに荒唐無稽であり、誰もかれもがそれを一笑にふした。
だが、早乙女が提唱した説があったことが、現代に繋がると言っても過言ではなかった。
彼が隕石と地球免疫説の仮説を論文で発表し、学会でさんざん鼻で笑われた頃、とある病院に異常な人体が運び込まれたのだから。
──あの隕石は、なにも日本に全く降っていなかった訳ではない。
一部の地区は完全に破壊され、その地区に住んでいた人々は住処を追われた。そこから引っ越さざるを得なかった女性が、突然生きたまま発火したのである。
謎の人体発火現象は、たちまちオカルト界隈に広がってネットで拡散する一方、第二第三の人体発火現象が続いた。更におかしなことに、人が明らかに異形化する事態が広がり、人を襲う事件も続いたのである。
早乙女の仮説が大きく当たらずとも遠からずだったことで、各研究機関は必死になって隕石の解析をし、やっと判明したのは。これは生物の遺伝子データの塊ではないかというものであった。
肉体を構成するデータ、記憶を構成するデータ、そしてそれらを統合する人格を形成するデータ……理論上、AIにより死者から人格を生成することは可能だが、それは時が経てば元の人格から大幅にずれてしまうことが確認されているが、この明らかに太陽系惑星のものではない隕石に入っているデータはそうではなかった。ひとつの生命体を個とするデータが備わっていたのである。
こうして、この未曾有の大災害がまだ終わってないことを知った日本政府は、大いに慌てた。どう考えても外宇宙からの侵略だが、考察や分析こそ進んだものの、根本的な対処方法がないのだから。
この隕石は既に人工物と判明した以上隕石と呼ぶ訳にもいかず、オーパーツと称されるようになり、そのオーパーツの破片を回収し、調査を進める以外に対処法はないのだが。異形化してしまった人々を元に戻す方法が、見つからなかったのである。
「遺伝子データを弄られてしまっていますからね。おそらくは、突き刺さったオーパーツの欠片が人体のデータを大幅に改竄しているのだと思います。刺さったものを抜けば、一応これ以上人格や遺伝子データを破壊改竄されることは防げるでしょうが……正攻法で抜いたら死ぬでしょ、これは」
結果として。民間組織であり、本来は天体観測と宇宙船開発を行っていたはずの宇宙機構は、国に召し上げられた。オーパーツについての知識と対処法を、国を挙げて行うにはあまりにもしがらみが大きく利権を狙うハイエナが寄ってきかねないため、民間組織に一任したほうがまだマシだと判断したのである。
さすがに民間組織に日本の防衛を全て委ねる訳にもいかず、自衛隊、警察などの国家防衛機関から出向者を募り、予算を付ける。
こうして宇宙機構は、民間組織ながらも宇宙防衛機構と改名され、日々オーパーツの回収と研究に励むことになった次第である。
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「やあ、おかえり真壁くん」
「ん」
かつて天才少年として時の人となっていた早乙女は、今や宇宙防衛機構の名物変人研究者として、日々オーパーツ研究に励んでいる。
元は石の研究を行っていたはずの彼は、今は興味がオーパーツにより変質された人や物に移り、日々高笑いを行いながら研究している次第であった。
その日真壁と長瀬が持ち帰ってきたオーパーツの欠片が十個。オーパーツは現状、勝手に再生勝手に飛翔するため、研究するにも手間がかかり、勝手に人体にめり込んで浸食行為を起こすため、結果として冷凍封印した末に研究を進めないといけない難儀なことになっていた。
真壁がロケットペンダントに突っ込んできたオーパーツを、ひょいと液体窒素で凍らせると、それぞれのデータを真壁から詳細を聞きながら検分しはじめる。
「ふむふむ、障壁の生成、ねえ……で、真壁くんのそれには効果がなかったから、即無力化できたと?」
「ん」
「そっかそっかあ……異形者も幾人か会ってきたけど、君のそれ、強いねえ……」
真壁は鋭利な目でジロリと早乙女を睨む。早乙女は「おおっと」とおどけつつも、にこやかに告げた。
「君を馬鹿にするつもりはないんだよ。ただ、君はせいぜい長生きしてくれたまえって思っているだけでさ」
「長瀬のか?」
「ああ。長瀬くん、ずっとパートナーが変わり続けていて大変だからねえ。君みたいなのと組むことになるとは思ってなかっただろうけど、よろしく頼むよ?」
「あんたは長瀬のなんだ」
「彼女、僕の母校の生徒なんだよねえ。中学校」
このヘラヘラした口調を半眼で眺めたあと、真壁は「腹が減った」と告げると、早乙女は「はいはい」とパウチを取り出した。中には栄養ゼリーが詰まっている。元は宇宙に出るための民間組織だったのだから、今でも細々と宇宙食の開発研究は行われている。
それを受け取ると、さっさと真壁は立ち去ってしまった。
早乙女はそれをヘラヘラ笑いながら、ゴム手袋を嵌め、ピンセットを取り出した。
「本当に、面白いんだよねえ、彼は」
そう言いながら、真壁が落としていった髪の毛をピンセットで拾い上げ、シャーレに載せたのだ。そして蓋をするとぺたりとラベルを貼る。
【真壁巧サンプルデータ:××/10/08】
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オーパーツ回収を行っている宇宙防衛機構の組織の人間は、定義上エージェントと呼ばれている。構成員だとなにをやっているのかわからず、回収員だと弱そうに聞こえるため、エージェントと称すれば自然と格好が付き、自然と宇宙防衛機構の注目も集まるだろうというのが、上層部の意見だった。
(まあ、そうだよね……予算もらわないと宇宙開発なんてやってられないし)
オーパーツ災害の後も数年は、日本だって平和だったし、今のようにあちこちで被害が出るたびに現場に急行してオーパーツを回収なんてこと、しなくてもよかった。
長瀬も本来は宇宙開発がしたくて大学に進み、国の天文台よりも予算が付きそうだからいろんな研究ができるだろうと思って宇宙機構に入ったにもかかわらず、人手不足のせいでオーパーツ回収のエージェントに回されてしまったのだった。
オーパーツ回収は危険な仕事だ。
異形者になってしまった人たちは元に戻さない限り、妙な力を使って街も人も破壊する。それが外宇宙からの侵略行為なんだろうが。そのせいで彼女は何回もパートナーが引退したり、死亡したりしている。
長瀬が生き残れたのは、彼女はエージェントの中でも実働員ではなく、補助要員……実働員と一緒に出動し、あらゆるサポートを一身に請け負う役目……だからである。そう何度も何度もパートナーの血を見るのは、ただ宇宙を目指したかっただけの彼女には荷が重過ぎた。
今日も真壁はこの施設で寝泊まりするんだろうか。そうぼんやりと長瀬は思った。
真壁は四人目のパートナーであり、彼女にとっては初めての相手なため、彼女自身もどこまで彼の懐に入っていいのか考えあぐね、今のところビジネスライクな会話以外できていない。
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