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人属編-7

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今日は明日から新婚旅行へ行く準備をするんだ

っていってもほとんどもうカーラが準備してくれたしね

さほどやることない

「じゃぁ、ちょっとお母さんの所へいってくるね」

「ああ、なんかあったら連絡しろよ」

「はーい」と手を振りジアンを送り出す

ジアンは今日少し仕事があるらしい


あたしは昨日のお礼をしにジアンの前のお屋敷へ行こうかと思っている
ジアン父とジアン母がいるしね

一応行くとは連絡していたから、大丈夫かな


髪もきれいにとかしてもらって
首元でジアンと交換したネックレスが光っていてちょっと照れ恥ずかしい



よし!出発
いい天気なので、乗り合い馬車で行こうと思ってる

てくてくと街中を抜けて歩いていると「マキアちゃんおめでとう~」って声をかけられる
めっちゃ恥ずかしいw

「へへ、ありがとう~」

いつも行く肉屋のおじさんも、骨董屋さんのおばちゃんも、
ピアノを売ってくれたおじいちゃんも

みんな手を振ってくれている
うれしい

歓迎されるといいよね



カランカラン

「こんにちは~」

DULCISによって取り置きしていた焼き菓子を受け取りにきた

「マキア様、昨日はお土産ありがとうございました」
みんなに配った引き出物だね

「うん!気に入ってもらえたらなにより~」

「いや、あんな高価なものを・・・」

「いいのいいの!みんなも来てくれてありがとう~」

スタッフさんたちにも頭を下げる

「いろいろと準備をしてくれてありがとうございました。
おかげでケーキも大好評でしたね」

シェフやスタッフさんたちがいろいろと作ってくれたり準備してくれたりとがんばってくれた

特別手当をあげたいくらいだ

「いえいえ、こちらこそ。あんな素敵な式に参加できて感動しました。本当におめでとうございます」

「ケーキは来週から?」

「はい、そうですね。全店一斉に発売としてチラシを配っています」

「また混みそうだね」

「ふふふ・・・たくさん売らせていただきます」
目がキラリンとしているよ



「それじゃ、ありがとう!」
用意してくれていた手土産を受け取り、馬車に乗る

久しぶりの馬車だ
歩いてもいけるけど、がたがた乗っているのがカントリーな感じで好きなんだよね



ジアンの屋敷までは20分ほど
いろいろと寄り道するからかな

それにしても相変わらずでかい・・・
初めて来たときもデカイとおもったけどw

お屋敷前でおろしてもらうと、中から執事さんやメイドさんたちが出てくる

「お待ちしておりました。マキア様」

「こんにちは!昨日は来ていただいてありがとうございました」

「いえいえ・・・本当に・・ジアン坊ちゃまが・・」

ジアン・・ww坊ちゃまってww

「ささ、どうぞ、旦那様たちがお待ちでございます」

「はい!あ、これ持ってきたので、お茶菓子に食べてください」
大量にDULCIS商品を買ってきた

「こんなに・・・」
メイドさんが目をキラキラさせているぞ

「ケーキは来週発売でないんですが、それ以外は全部あると思います」

「やった~」「きゃー」「うれし~」
声が漏れてきている

執事さんがこらって目をしているがカワイイやり取りだ

「後ほどお茶と一緒にお持ちいたしますね」

「はい」


こちらへ・・・と客間へ通される

コンコン・・・

「マキア様がいらっしゃいました」

カチャリとあいた部屋を見れば中には大量のドレスが並んでいる
??なんだなんだ舞踏会でもあるのか

「マキアちゃん~~!!!」

すぐにジアン母が駆け寄ってきた

「どう!?調子は?よく眠れた??ジアンが寝かせてくれなかったんじゃないの??」
ぶはっ・・・!!!

何を言っているジアン母よ

「こらこら、そんなことを言ったら困るだろう」
ジアン父の助け舟がきた

「昨日はありがとうございました」
ペコリとお辞儀をする

「いいのよいいのよ~息子の結婚式よ~かわいい娘もできたし!」
もうテンション高いな~

「ほらほら!こっちきて、座って?お茶しましょう」
ソファに座ったタイミングでメイドさんがお茶を注いでくれた

なんという完璧な所作
さすが領主付きメイド

「こちらマキア様から頂きました、DULCISの焼き菓子でございます」

3段のケーキスタンドに持ってきた焼き菓子と、
シェフがつくったサンドイッチなどの軽食が並べれている

「まぁ!DULCISの!?」
興味津々で見ている

「素敵ね~よくこんなお菓子を思いついたわね~衝撃的だったわ」

「そうだね。これなんか甘くなくて食べやすいな」

ジアン母も父もお気に入りがあるようで、手に取ってくれる

「昨日食べたケーキも来週には発売しますので、またお持ちしますね」

「まぁ!うれしいわ~」


ジアンとの生活は大丈夫?から始まり、あの子の小さい頃は~となり
明日からの新婚旅行のお土産は何がいいですか?と聞いたり

あっと間に過ぎていく

離しやすいし、居心地がいい雰囲気がする
ジアンと似た匂いがするからかな~

「そうだわ!」

「これ、持って帰ってね!」と腕を広げた先には大量のドレス

「え・・・これ・・あたしのですか?」

「そうよ~これもあれも・・って選んでいたら全部買っちゃったわ」
・・・マジか

「えっと・・・ありがとうございます」
すごい量ですね

どうやって持って帰ろうか

「これなんかね~みてみて、レースで腕の部分が透けていて!
こっちはオフショルダーだし、こっちはマーメイドな感じでしょ~」

いろんな種類の統一性のないドレスを紹介してく

「すまないね、付き合わせてしまって」

ズズズ・・・とお茶を飲みながらジアン母を暖かい目で見ているジアン父

「いえ、うれしいです。ジアンにもこれからドレスは必要になるって言われていたので」

ジアン・・あんたが買うスペースないよわ

「あ!これもよ~」
箱をいろいろと並べ始めた

パカリと開ければキラキラとまぶしいアクセサリーが大量に入っている

「これはジアンとお揃いで用意してみたの!こっちはティアラね、こっちは・・・」
遠い目になるわ・・・

「~なの!どう?」

「・・・・は!はい!!とても素敵で!あたしにはもったいないくらいです」

「そんなことないわ~今度は一緒にお買い物に行きましょうね」

「はい!楽しみです」
もう衣装部屋入らないんじゃね?



「ところで、マキアちゃんはピアノを弾くと聞いたんだが・・・」
ジアン父がもう洋服の話はいいだろうと打ち切ってくれた

「はい!何度かこちらでも弾かせていただいています。素敵なピアノですよね」

「リック?」

「はい。いつでもご準備はできております」
執事さんに声をかけたジアン父

準備ってまさか・・

「その・・・ちょっと聞きたいん「まぁ!!いいわね!!あたしも聞きたいわ~」」
ぐいぐいきたジアン母

ちょっと奥手なジアン父の代わりに代弁しているように見える
いい夫婦だな

「はい!喜んで!」

「マキア様、こちらにお持ちいたしますので、お待ちください」

執事さんが出ていき、客間の扉を大きく開けて窓際の広いスペースに
数人で運び入れてくれた

そんな・・あたしがピアノの部屋へ移動すればいいだけなのに


ここのピアノはグランドピアノ並

音もきれいだし、弦もよくなる
弾きやすくて好きなんだよね


「それでは・・・」

ショパンのワルツ

覚えているかな

人気曲で誰でも知っているような曲だとおもうんだけど
まぁこっちの世界では誰も知らないかw


~~~~~♪
~~~~~♪

窓から入る心地いい風が気持ちい

~~~~~♪
~~~~~♪

いつしかメイドさんたちも集まっている
~~~~~♪
~~~~~♪

~♪


「ありがとうございました」
立ち上がってお辞儀をする

パチパチパチと拍手をくれる

「素敵!」

「本当に・・人属へも何度も行き何度も聞いたんですが、
こんなに弾ける方はなかなか見ません」

へーそうなの??
どの程度なのかな?

って言っても、あたしだってそこまでうまくはないけど
楽譜さえあればねいくらでも弾けるけど

好きな歌手の歌をアレンジして弾いてみたり
あれは友達が歌ってくれたりして楽しかったな


「来月人属へ行く予定なので楽しみです!」

「・・・確かに・・そんなこといっていたわね」
ジアン母なにやら不安顔

「大丈夫です!ジアンもいますし、ガロたちも一緒みたいです」

「まぁ、そうなの?それなら大丈夫よね」

「マキアちゃん、絶対に一人になってはダメだよ」
みんなそういうよね

そんな治安悪いのかな?
「はい!大丈夫です!」


そのあとも数曲弾いて、お昼を軽く食べて午後にはおいとまだ

「泊ってもいいのよ?」「夕食は??」ってすごかった

「ジアンも帰ってきますし、明日の最終確認しなくちゃならないので!」

「そう・・?」
とても悲しみな顔だ

「ドレス一式はあちらに送っておこう」

「ありがとうございます!・・・旅行から帰ったらまたきていいですか?」
お土産も渡したいしね

ぱぁ~~って明るくなる顔

ジアンが笑ったときの目とそっくりだ

「もちろんよ~楽しみに待っているわ!」

「いつでもおいで」

ふたりともいい両親だな~
ジアンもいいやつだし

きっと愛されて育ったんだろうな

自分の環境がひどかっただけにすごく輝いて見える家庭だ


「マキアちゃん、あたしたちはジアンの親でもあるけど、あなたの親にもなったのよ」
何かを感じたのか両手を握られ目をじっと見られる

「ここはあなたの実家でもあるし、私たちはいつでもあなたの味方よ」
っつ・・・涙が出そうになるじゃん

「・・・っはい!!ありがとうございます」

「明日から、気を付けて言ってくるんだよ」
ジアン父も母も優しい



手を振って馬車に乗る
見えなくなるまでずっと手を振ってくれている


いい両親



心が温かくなる
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